【キャンプレポート】FCソウルに4－0快勝 攻守に確かな手応え ※一部無料
第2次鹿児島キャンプ第11日の10日、韓国Kリーグ1部のFCソウルとのトレーニングマッチを鹿児島県立サッカー・ラグビー場で行った。45分×4本で0－0、3－0、1－0、0－0の合計4－0と快勝。90分間のゲームマネジメントを含めて勝ち切ることにフォーカスし、格上相手から大きな成果を得た。
鹿児島に来て4試合目で初めての1本あたり45分の設定。これまでとは異なる「公式戦モード」にシフトチェンジし、試合運びも含めて90分単位での勝利を強調して臨んだ。中2日の連戦4試合目とタフなシチュエーションに置かれながらも、どれだけ遂行できるか――が問われた。
1本目。相手のスピードとパワーに面食らってか、球際で上回られるなどして守勢に回る。ここで必要なのはまず、失点せずに耐えることだ。ミドルゾーンからコンパクトに構え、狙いを定めて奪取。ボールは持たれても、決定的なシーンまでには至らせない。自陣サイドやゴール前など、局面に応じておおむね適切に対処した。
「最初は攻め込まれたり、カウンターで危ないシーンもあった。それでもじれずに守備ができて（失点）ゼロで推移できた」と常田。ゲームを落ち着かせた10分すぎからは山雅が主導権を確保。センターバックとボランチの4人を軸にテンポよく出し入れしながら前進を図る。斜めの大きな展開も織り交ぜ、アタッキングサードに入れば3人目も絡んで厚みのある攻撃を繰り出す。
1本目を0－0で折り返すと、2本目はほぼ一方的な展開に持ち込んだ。右サイドバック馬渡は「周りの味方をうまく動かしながら、みんなが『誰がフリーになるのか』を考えて探しながらプレーしていた」と話す。マンツーマンの色が強い相手の特性も逆手に取りながら、テンポよく流動的にボールを出し入れ。イメージの共有と具現化が進んでいることをうかがわせた。
そして10分に先制。菊井の縦パスに反応した浅川が、得意の裏抜けで1対1。冷静にネットを揺らした。この一撃で満足せず、チームとしてもさらにアグレッシブさを増す。「前は行くけど後ろは下がるとかバラバラになってしまうとチームとして成り立たない部分があると思うけど、『行こう』と共通認識を持てていた」と浅川。
そう話すストライカーが、さらに仕事をした。20分、常田からロングフィードを受けて再び裏を取り、追走してきた相手DFを切り返しでかわして追加点。1分後には藤谷の縦突破からのクロスに反応した。相手DFが触ってイレギュラーな軌道となったが、身体をひねりながらねじ込んだ。相手の運動量が落ちていたことも手伝い、その後も藤谷、菊井らがチャンスを得た。
3本目からフィールドプレーヤーをほとんど入れ替え、8分に佐相がゴール。國分のCKからデザイン通りにネットを揺らした。欧州系の選手や元韓国代表などをそろえた相手に対して守備に回る時間も多かったものの、決定的な場面はほとんど作らせず。メリハリと要所のタイトさを示し、GKが大仕事を余儀なくされるシーンはなかった。
4本目の途中から、イングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドで長年プレーしたMFジェシー・リンガードが出場した。左サイドのアイソレーションから仕掛けやシュートを狙ってきたものの、村越や前田、佐相らが対応。ゲームマネジメントをテーマに入れて180分間を理想的なスコアで切り抜け、大きな自信を得た。
「練習試合なので相手のコンディションもあるが、球際でしっかりファイトできた。僕らのやろうとしていることもできたし、できなかったときにもしっかりガマンした。いろんな意味で収穫が多かった」と、霜田監督も納得の表情を浮かべる。この日は57歳の誕生日。選手たちに祝福もされ、感無量の様子だった。
霜田監督と選手3人（常田、浅川、神田）のコメントは以下の通り。
霜田 正浩監督
――「90分×2回」という枠組みで、トータルして手応えは得られましたか？
90分で勝点3を取る練習として、ゲームコントロールや試合の入り、締めで公式戦と同じような準備をしようと入りました。（一方的に押し込まれた）藤枝戦のラスト20分などの失敗体験もあるので、もし同じようなシーンが出たときにどうするのか。最初はなかなかうまくいかなかったですけど、その時間帯を0―0でしのいで、後半（2本目）に3点取ることができました。非常に良いゲームだったと思います。
テクニックがあってフィジカルの強いチームに対して、前からプレッシャーをかけられても臆することなく繋ぐトライをしていました。それでゼロに抑えたし、被シュートを抑えることをテーマにしていた中で、あまりシュートを打たれませんでした。だいぶ頭の中が整理されてきたと思います。
――3月の連戦を想定した4連戦だったと思います。得られたものはありますか？
10日で4試合。中2日で練習もしっかりやっているので、選手たちは本当によく頑張ってくれたと思います。こうやって勝って4試合目が終われたので、本当に自信を持ってもらっていいし、彼らをたくましく頼もしく思っています。
――Kリーグ1部のチーム、元韓国代表や欧州の第一線でプレーしていた選手もいる相手に勝ちました。
日本の3部リーグも韓国の1部リーグと互角に戦えるということは、日本のサッカーのためにもなると思います。もちろん練習試合なので相手のコンディションもありますけど、球際でしっかりファイトできました。僕らのやろうとしていることもできました。できなかったときにもしっかりガマンできました。いろんな意味で収穫が多かったゲームだと思います。
――誕生日に良い結果をつかむことができました。
選手たちが頑張ってくれるのが一番いいプレゼントです。今日は最高のプレゼントをいただきました。（最後に選手たちから祝福された際の）水は冷かったですけど…（笑）。でもうれしいです。
――ここから先の鹿児島キャンプはどんな時間にしたいですか？
序列がだんだん決まってきますけど、3〜4本目に出た選手たちも非常に良いパフォーマンスをしてくれました。まだ開幕のスタメンは決められません。純粋な競争をしてほしいし、その競争がチームのためになればいいと思っています。今年はみんなで優勝したい、みんなで勝ちたいという気持ちが強いです。「誰が出てもいいサッカーができる」のではなく「誰が出ても勝てる」チームにしたいと思います。
