【イベントレポート】新加入選手発表会見@ザ・ブライトガーデン ※無料配信
取材日:2018年1月13日
攻撃的スタイル確立へ 思い切った補強
2018年シーズンのトップチーム新加入選手記者会見が13日、松本市のザ・ブライトガーデンで開かれた。かつて山雅に所属した前田直輝、岩上祐三らを含む新戦力13人が一堂に会し、報道陣と抽選で選ばれたサポーター150人の前で決意を表明。それに先立ち、チーム編成のコンセプト説明や分析担当のコーチ就任発表なども行われた。
昨年からサポーターも招いて行っているこの会見。今回は2部構成に短縮したうえ全てを一般公開とした。まず第1部では、GM兼任の加藤善之副社長が編成のコンセプトを説明。大枠の方針は昨季と変わらず「J1仕様」「競争原理」「新陳代謝」などがキーワードに挙げられたが、「攻撃的スタイルの確立」という要素も掲げた。「J1仕様から比べるとまだまだだが、全体的な若返りという部分では思い描いていた選手に来てもらえた。その意味ではまずまず」と力を込めた。
人員増強で組織を再編したチーム統括本部のうち、会見には新任の柴田峡編成部長が出席。「新旧交代を踏まえた上で33人全員がゼロからのスタートラインでやってもらいたいと思っている。プロの世界なので簡単でないことはわかっているが、気持ちとしては1人も欠けることなく一枚岩になって戦ってほしい。(J2は)個人の力だけで勝てるほど甘いリーグではないが、皆さんとともに喜びを分かち合ってJ1に定着したい」などとあいさつした。
補強がスムーズに進んだ理由について、柴田編成部長はアルウィンの存在を挙げて「今回はほとんどがアルウィンで試合をしたことのある選手。その熱気をそもそもわかっていて意気に感じてくれている。それは口をそろえていたし、こちらもアピールポイントにしていた」と回答。予算について問われた神田文之社長は「選手関係に使った費用は過去最高」と述べ、加藤副社長が「今年はかなり無理をしており、人件費の比率がかなり高く過去最高の赤字予算を組むことになる」と補足した。
期待の新戦力13人 それぞれの決意語る
その後は設営を組み替え、新加入選手13人が入場。一人ずつ自己紹介や抱負などを述べた後、報道陣とサポーターからの質問に応じた。J1時代の2015年に所属した前田は「神戸に負けてJ2降格が決まってしまった試合を今でも鮮明に覚えている。本当に悔しかったし、今年はその悔しさを晴らすために来た。本当にJ1に昇格したい」「J1で途中から出て(シーズン通算で)4点を取ることは誰にでもできるが、山雅をJ1に上げて残留させることは自分にしかできないと胸を張って言えるようになりたい」と力説。岩上は「皆さんに早く顔と名前を覚えてもらえるように頑張ります」と、手短なあいさつの中にも独自のユーモアをにじませた。
大阪商業大4年だった昨季に特別指定選手として8試合に出場した下川陽太は「去年も少し試合に出させてもらったが今年はまた新しい自分を見せ、開幕からスタメンで出られるように頑張りたい」と話した。高卒1年目の2013年に所属し、仙台大を経て加入する山田満夫は「(13年は)本当に右も左もわからなかったし、素晴らしいサポーターの前でプレーできず悔しい思いをした。こういう舞台に戻ろうという気持ちで4年間やってきたので、今回は絶対に後悔のないプロ生活を送っていきたい」と力強く決意を述べた。
名古屋から加入したストライカーの永井龍は「去年はグランパスでJ1昇格を決めたが、自分にとって納得のいく昇格ではなかったのでシャーレは触らずにスルーした」とエピソードを明かし、「今回は納得のいくJ1昇格をしてがっちりシャーレをつかんで掲げたい」「ゴールを取ることは誰にも負けない」とJ1昇格を誓った。
昨季金沢で背番号10を背負っていた中美慶哉は「本当に素晴らしい雰囲気とサポーターで相手ながらにびっくりしたし、ぜひアルウィンで試合をしたいと思っていた。運動量やゴールに絡むプレーを見てもらいたい」。安東輝は「素晴らしいサポーターの皆さんの前でプレーすることを楽しみにしている。特徴は積極的にボールを奪いに行くこと。チームの力になれるように努力したい」と語った。
愛媛から来た2人もそれぞれに秘めた思いを明かした。センターバックの浦田延尚は「僕のプレーの特徴は走力。チームの力になれると思うのでそこを見ていただければうれしいし、力になれるよう精一杯頑張る」と話し、ボランチの藤田息吹は「あまり目立つプレーをすることはない」といい、「喫茶山雅に行ったが声をかけてもらえなかったので、プレーで認知されるように頑張りたい」と会場を笑わせた。GK守田達弥は「サポーターの声援を背にゴール前に立つのが今からすごく楽しみ。毎試合無失点にこだわってJ1昇格に力を注いでいきたい」と語った。
初めてプロチームでプレーする新卒の3人も意気盛んに長所をアピール。法大のサイドバック武藤友樹は「積極的な攻撃参加と正確なクロスを見てもらいたい。J1昇格のために少しでも力になりたい」、関東学院大のセンターバック森本大貴は「アルウィンでサポーターの皆さんの声援を聞いて、ここでプレーしたいと思った。泥くさく戦うことが自分の持ち味」。新加入で唯一の外国籍選手となる高卒の韓国人センターバック・ジョジヌは「ストロングポイントはヘディング。よろしくお願いします」と日本語であいさつした。
また会見では、昨季まで主に相手チームの分析を担当していた貝﨑佳祐氏が長崎に移籍したのに伴い、鹿屋体育大卒1年目の今﨑晴也氏をコーチに迎えることも発表。それに併せ、もう1人コーチを採用する方針であることも明かされた。そのほかコーチ・スタッフ陣の顔ぶれは昨季と変わらない。チームは期限付き移籍から復帰した前田大然、志知孝明も含めた総勢33人で14日に初練習を行って本格始動する。当サイトではキャンプ全日程密着レポート、新加入選手紹介などのコンテンツを随時展開していく。
編集長 大枝 令 (フリーライター)
1978年、東京都出身。早大卒後の2005年に長野日報社に入社し、08年からスポーツ専属担当。松本山雅FCの取材を09年から継続的に行ってきたほか、並行して県内アマチュアスポーツも幅広くカバーしてきた。15年6月に退職してフリーランスのスポーツライターに。以降は中信地方に拠点を置き、松本山雅FCを中心に取材活動を続けている。