コラソン試合レポート 第6節 モンテディオ山形戦

アウェイ、モンテディオ山形戦。

皆さんもご存知の通り、去年まで同じJ2の舞台で凌ぎを削った相手である。

因みに去年の対戦成績は「0-0」「0-0」。それぞれのホームとアウェイで行われた2戦は、どちらも共にスコアレスドローに終わっている。…と言うことは、今回の試合も0-0、か(笑)

勿論、サッカーがそんな単純なものだったら誰もサッカーを見ないだろう。

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しかし、2回戦ってどちらも結果が「0-0」と言うのは何かしらの要因があるのも事実。まさに、そこがこの試合の見所である。

まずは両チームのシステム。3-6-1と同じシステムであり、さらにどちらもお互い難しいことはしない。しっかりと守って、手数をかけずシンプルに速くゴールを目指す。

ミラーゲームのような形となるため、まずは対面の相手に『負けない』ことが大切。『負けない』とは…『単純な1vs1で負けない』『ボールを失った後の切り替えの速さで負けない』といった点がこれにあたる。あとはお互いのゴール前で決められるか、体を張って守れるか。この様な事をベースに対戦する中で、お互いがミスをせずにしっかりと戦ったからこそ、双方が一歩も譲らずスコアレスドローに終わったのが去年の2戦である。当然、お互いがJ1に上がった今季も同じシステムの戦い方をしている両チームなだけに、先ほど挙げたこれらの点が勝敗を分けることになるだろう。

そして心理的側面からもう1つ。

去年は昇格を目指すライバルだった両チームだが、今年はお互いJ1に上がり現実的に残留を目指し戦っているライバル同士。

絶対に勝たなければいけない相手だが、同時に絶対に勝ち点を与えたくない相手でもある。どちらにもとっても負けが許されないのは言うまでもない。最悪でも引き分けなければ…と言う心理もある筈だ。特に長距離移動を経て試合に臨むアウェイの山雅の方が山形よりもこの心理は強かったかも知れない。

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そんな色々な心理がある中、負けられない山形戦が始まった。

この日、試合会場となったNDソフトスタジアム山形(天童市陸上競技場)は強風。風と言うのはサッカー選手にとっては難敵だ。実際、僕も風が強い日は正直試合をしたくなかった(笑)。

当然、上に上がったボールは処理しづらいのはもちろんのこと、特に風下に立つと必然的に風に向かって走ることが多くなるため普段の何倍も苦しく、体力的な消耗も激しかったことを覚えている。

そんな中、コイントスで勝ったモンテディオ山形は風上をとった。これは、山形は立ち上がりから風も利用し、押し込んで先制点が取りたい!と言う意思表示でもあるだろう。

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しかしそんな山形の思いとは裏腹に序盤早々、山雅がチャンスを作る。5分、岩上のスルーパスに反応したオビナからグラウンダーのクロス。これを今季リーグ戦では初先発の前田が左足でシュート。惜しくもゴール右に外れると、17分にはまたも岩上のパスから今度は左サイドで起点となった前田が右足でクロスを上げる…と、見せかけて切り替えし左足でクロス。そこに待っていたオビナがヘディングシュート。これも惜しくも外れるが、リーグ戦初先発の前田がその期待に応えようとする意気込み、結果を出そうとする積極性が山雅を牽引。風下に立った山雅が序盤を優勢に試合を進める。

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しかし自らが風上に立つ前半のうちに先制点が欲しい山形も35分、37分と立て続けに山雅ゴールを襲った。だが、ここは何とか凌ぎ00で前半終了。

逆に風上に立った後半。立ち上がりから得点を奪いにかかる山雅は、左サイドで相手からボールを奪ったオビナが中に切れ込んで右足でシュート。恐らくイメージ通りのシュートだったのだろうが、右ポストを叩く。こぼれたボールに岩上が右足を振りぬくが、枠をとらえ切れない。

65分には喜山の風も計算したクリアパスを相手ディフェンダーと競り合いながら右足を振りぬくが、GK山岸のセーブにあう。

67分には上がっていた酒井がタッチライン際で粘りボールを奪うと、そのボールが前田の足元に。グラウンダーでクロスを送ると岩上が狙いすましたシュート。入った!…と思ったが、ゴールカバーに入った山形のDF西河に間一髪クリアされる。

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更に攻勢を強めたい山雅は、前節今季初ゴールを決めた阿部を投入。圧力をかけにいったが、ホームで是が非でも勝ち点3の欲しい山形もロメロフランク、中島を投入し、ロスタイムにはキムボムヨンが決定機を作るなどお互い攻め合ってゴールに迫る展開の中、00で試合終了。

この「勝ち点1」は山雅にとってどういう意味を持つのか。遠いアウェイ山形での試合、残留を争う山形との試合、リーグ戦連敗中…色々な要素を踏まえ考えてみたが、僕はかなりポジティブな勝ち点1だと思っている。

さーらーにー!今季リーグ戦で先発を入れ替えた山雅。その前田選手もまだ課題はあるものの積極的な姿勢で決定機を創出していた。

後は決めるだけだぞ、前田!(笑)

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そしてこの試合で田中隼磨選手がJ1J2通算400試合出場を果たした。まさに鉄人・隼磨!僕も1年山雅で一緒にプレーしたが、弱音など一切吐くことなくチームが勝つことを常に考えプレー、行動していた。

ありふれた言葉かもしれないが彼こそ「プロの鏡」。これからも特に若い選手には彼の背中を見てもらいたいと思う。

そのためにも500試合、600試合と試合数を重ねて行って欲しい。おめでとう。これからも頑張れ隼磨!

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最後に山形県天童市という遠い場所まで選手と共に足を運び、共に戦ったサポーターの皆さん。

この勝ち点1を次のアルウインで更に大きいものにするために戦い続けましょう!

飯尾和也

文章:コラソン 飯尾 和也

元 松本山雅FC センターバック。
ヴェルディ川崎、ベガルタ仙台、サガン鳥栖、横浜FCなどでのプレーを経て、2011年 松本山雅FCへ加入。松本山雅FCのJFL→J2→J1昇格へ貢献し、2014年シーズン終了後引退。 現在はメンタルサロン コラソンの代表を務める傍ら、講演会等も行っている。
Jリーグ通算311試合出場
U-16、U-18、U-19日本代表