【編集長コラム】必勝祈願! 「J3おさかな紀行」のススメ
2022シーズンのJ3日程が21日、発表された。ざっと試合スケジュールを見渡しても、目新しい対戦相手が多い。どのアウェイに行こうか――と算段を立てるのもまた、この時期ならではの楽しみではないだろうか。やはり海なし県の民たるもの、せっかく行くなら海の幸に舌鼓を打ちたい。そこで今回は、初めて山雅が訪れる土地を中心に独断と偏見で5カ所を選び、地元漁協に取材をかけてその時期の「旬」を調査。自身の知見なども加味しながら、日程順にその成果をまとめていく。
ガイナーレ鳥取 6月5日
9年ぶりに訪れる鳥取といえば、県西部の境港が有名だ。松葉ガニ(ズワイガニ)の水揚げで知られるが、漁期は11月〜3月の冬期。冷凍保存して夏場に提供する旅館などもあるとはいう。だが6月に鳥取県漁協が大プッシュしてくれたのは、「岩ガキ」だ。養殖物は一切なく、全て天然。食べやすいサイズのものから、大きいものでは1キロ(殻を含む)まで幅広いサイズを取りそろえているという。
鳥取県沿岸部は砂丘から奥丹後半島の網野海岸(京都)まで山陰海岸国立公園に指定され、多くの川が中国山地から日本海に流れ込む。その川に運ばれた栄養分が沿岸部に溜まり、岩ガキが大きくぷっくりと身を育むのだという。採取は全て漁師が海に潜って行う。深場だと海水温があまり上昇しないのも好条件。味が濃厚で、「海のミルク」という表現にふさわしい食味が楽しめるとのことだ。
この岩ガキは資源管理をしながらブランドとして打ち出されている。一定の条件を満たすと「夏輝」と銘打って高騰。殻の長さが13センチ超で、なおかつ平型で身入りの多い特別な岩ガキにその名が冠される。その中でも大きく500グラム以上の特段に大きな岩ガキは「ボンベ牡蠣」と呼ばれる。沖合の水深15メートルほどの漁場でボンベを背負って採取するためだ。その漁をできる人間が限られているため希少価値が高い。
まだある。さらにその中でも殻の胴囲が33.5センチを超える特大の岩ガキは最高位ブランド「砂丘の誉」(さきゅうのほまれ)を名乗ることが許される。1日1回の競りで10個出るか出ないか――というレアな逸品だということで、出会えた人はラッキーだろう。ちなみにもちろん、お値段もそれなりに張る。いずれにしても6月は身入りが良い時期で、岩ガキを目当てに訪れる観光客も多いという。