【試合後コメント】霜田 正浩監督 第1節 奈良戦 ※無料配信

――まずは試合の総括をお願いします。

聞いてはいましたが、アウェイの地にこれだけのサポーターが来てくれる。これがどれほど我々の力になるかは、実感してみないとわからないなと思っていました。公式戦で彼らの前で勝ち点3を取ることができて、結果に対して本当に満足しています。ただ、まだ開幕戦で、我々が目指しているフットボールにはまだまだ遠いところがあります。ここから試合をやりながら、勝ち点を積み上げながら、もっと成熟していきたい。もっとチームとして強くなっていきたいと思います。

本当に長いキャンプで寝食をともにしてきて、鹿児島から昨日来ましたが、ベンチメンバーも含めていい雰囲気でチームが固まってきています。これを勝っても負けても最後まで続けていきたいと思います。

――特に守備の強度や連続性のところで、相手にやりたいことをやらせずに、結果的にそれによって2点目も生まれました。90分を通しての評価はいかがですか?

5人交代ができるルールを生かさなければいけないと思っていました。前からプレッシャーを行くと当然はがされることもありますし、長い距離を帰ってこなければいけないときもありますが、基本的に我々は向かっていく姿勢を90分選手に求めています。点を取ってもそれを続けて、疲れて足がつったら代わりの選手に代わればいい。18人いて、きょうはバックアップで1人多く連れてきてるので19人。この19人で戦うことをしたいと思っていたので、疲れたら交代する。試合を始める11人、それから試合を決める7人。その18人で勝ち点3を取るということがきょうはできたと思います。もちろん我々がボールを握って、もっと綺麗に崩せればよかったですが、そうじゃなくても守備からでも点が取れるというのを今年は目指しています。前から行って、奪ってカウンターで点が取れたというのは非常に良かったと思います。

――欲を言えば、より主体性や連動性をもって戦いたかったところもあると思います。それができなかった理由についてはどう考えていますか?

グラウンドや風の影響もあったかもしれませんが、まだまだみんな初戦ということもあってか硬かったと思います。選手間の距離も微妙に離れていました。もっと距離が近ければ、我々はもっとボールを回せるチームだと思いますが、キャンプでやってきたことの半分ぐらいしか出せませんでした。それでもこうやって2つ点を取ってゼロで抑えたということが、公式戦では一番大事なことです。それにまさるものはないので、今日は本当に選手たちが頑張ってくれたなと思います。

――チャレンジする姿勢というのは、初戦で硬さがある中でも出せたのではないでしょうか?

自分たちの思ったこと、やりたいことが100%できることは、この世界ではありません。相手も勝ちたいと思ってきますし、自分たちのフットボールをやりたいと思っています。自分たちがやりたいことを相手にやらせないというお互いのやり合いの中で、全部が全部やりたいことができるとは最初から思っていなかったですが、それが何割できるか、それを勝ち点に繋げられるかどうか。そこが一番のポイントだと思っていたので、そういう意味では前の推進力とか、ミスをしてもその後に追いかけるとか、カウンターを食らいそうになったときに戻る人数だとか、キャンプでやってきたことを愚直に、真面目に選手たちがやってくれたと思います。

――プレスの強度の点については、奪ってカウンターまで行けたということで及第点なのか、より突き詰めていきたいのか。そのあたりの見通しはいかがですか?

もっともっと行きたいと思います。もっと相手がうまくなればはがされることもありますが、その中で心折れずにどれだけ前に行けるか。そういうサッカーをやりたいと思っていますし、そういうことにチャレンジをして、怖がらずに前から行くことによって、相手がミスをしてくれるというご褒美も出てきます。自分たちからミスを待つのではなくて、ミスを誘うように圧をかけたいと思っています。

――2点とも良い時間帯にゴールを取れましたが、試合運びについてはいかがですか?

ああいうPKは、レフェリーがしっかりと見てくれていれば1試合に何回かは起こるだろうというスカウティングがありました。きょうはしっかりと見ていてくれたレフリーに感謝したいと思います。もっと早い時間帯で点を取れればゲームを楽に運べましたが、1点取るのに時間がかかってしまったり、2点目を取るのに少し時間がかかって、相手のチャンスもできてしまう。相手に絶対にチャンスを作らせないというのはサッカーの世界ではなかなかないので、そこをビクトルあるいはDF陣が身体を張って防いでくれたということが、2点目に繋がったと思っています。

――開幕戦で勝てたということは、今後のチームにどんなことをもたらしそうでしょうか?

やはり勝って学ぶことは多いので、勝ちグセをつけていきたいです。長いキャンプの総決算ではないですが、キャンプでやってきたことをきょう出そうという話をしていました。なかなか全部が全部は出せなかったですが、結果という最高の贈り物が手に入ったので、それはすごく次に繋がります。またここからこの道を進んでいけるという元気に繋がってくれるといいと思います。

――小松選手を1トップに起用した狙いと評価を聞かせてください。

トップの選手にはもちろんゴールを期待していますし、点を取ってほしい。だけど、我々のプレスの矢印の先頭なので、彼からプレスのスイッチを入れてもらえるという意味で、きょうは開幕戦なのでボールをしっかり握って保持するところからではなくて、ボールを繋ぎたい相手に対してまずはこちらから先制してプレスをかける。

そのときに一番迫力を持ってプレスがかけられるのが小松です。あのPKも身体を張って倒されて、しっかりと決めてくれたので、ストライカーとしての仕事は100点満点だと思います。まだまだテクニックやボールを収める技術や、いろいろなところが足りないですが、私が(山口で)一緒にやっていた頃よりもはるかに良くなっているので、ここからの成長を期待したいです。

――途中出場の村越選手が結果を残しましたが、彼への評価を聞かせてください。

村越はずっと練習から調子が良くて、期限付き移籍で青森から戻ってきて、気持ち的にも技術的にも体力的にもすごく充実したキャンプを過ごしていました。そういう選手を信じて使うのは絶対に大事だと思っていたので、トラップミスしたときは「入れて失敗だったかな…」と思いましたが(笑)、ああいう素晴らしいシュートを彼は持っています。試合を決める2点目を取ってくれたので、すごくよかったです。

――稲福選手の投入の意図も教えてください。

本当はボランチをそのまま変えようと思いましたが、菊井がだいぶプレスをかけて体力的に消耗していました。稲福はサッカーセンスの高さで、サイドバックをやったり、ボランチをやったり、サイドハーフもできます。あの時間帯にやるべきことをやってくれる選手なので、まだ若いですが思い切って投入しました。できないことはできないし、できることはやってくれたので、勝利に貢献してくれたと思います。

――サポーターの前に初めて立って、どんなことを思いましたか?

あのサポーターが喜ぶ顔を見たくて監督をやっているようなものなので、長い帰りの道を考えれば、勝って帰ってもらうことがすごく嬉しいですし、ああいう笑顔をたくさん見せたいと思います。