【試合後コメント】霜田 正浩監督 第11節 鹿児島戦 ※無料配信

――まずは試合の総括をお願いします。

7,500人のサポーターに本当に申し訳なく、きょうは何を言われても仕方がないと思っています。試合の内容よりも結果を取りたかった試合で、一番欲しかった結果が自分たちのミスによるプレーで相手にあげてしまった。今年シーズンの勝てない試合はほぼ自分たちのミスや自滅で、相手に勝ち点を与えていることが多かった。もちろんミスはありますが、みんながカバーできるようなミスであればチームとしてカバーできるんですけれども、それが致命的なミスになってしまうとなかなかカバーできず安い失点をしてしまう。それが今年の僕らの一番の課題です。

こんなにたくさん失点するのは松本山雅ではありません。松本山雅が培ってきた守備の厳しさは、人が替わっても時代が変わっても継承されるべきだと思っていて、それにプラスして攻撃のところで新しいものを作りたいと思っていました。でも単純にこうやって安い失点をしてしまうと、内容よりも勝負の結果が逃げていってしまいます。もちろん4点を取るチャンスも作れたので、4点取れなかった僕らと、3〜4点目を与えてしまったということがきょうの反省の全てだと思っています。もちろんヒューマンエラーはありますが、そのエラーも含めて選手をピッチに送り出したのは僕の責任。結果の責任については監督の責任だと思っています。

――1点リードで後半を迎えましたけれども、後半のマネジメントについてはどう考えていましたか。また、比較的早い時間に追い付かれてまだ40分以上残っている中で、2-2からの試合運びについてはどう思い描いていましたか?

後半の立ち上がりは僕らのプレッシャーがうまくハマっていたところがあって、相手に蹴らせることがたくさんありました。風下になりますが、もっと相手のウイングにボールが入ってくるだろう、そこでしっかり遅らせることができればと言っていたのですが、そこで1対1からのカットインシュートを決められてしまいました。藤谷壮の1対1の対応もそうですけれども、カバーリングを含めて簡単にシュートを打たせてはいけないと思っています。

2-2になってからは、時間の流れとともに3点目を取るチャンスがたくさんありました。3点目を取った方がゲームの残り時間を優位に進められると思ったので、形を変え選手を替えて3点目を取りに行きました。ただ、なかなか途中から出した選手のギアがきょうは上がりませんでした。

――霜田監督はかねてより、選手がピッチに立つための条件を明確に提示しています。主観が入るかもしれませんが、きょうのゲームを見ると、18人全員がその条件を満たしているのかどうか疑問符がついてしまう部分もあります。

(試合が)終わってから選手たちにも言いましたけれども、その選手たちが18人いないのであれば、もうこれからは18人を使いません。やっぱりその基準を下げてはいけないと思っています。もちろん、やってみないとその選手がきょうどれぐらい活躍できるかどうかということはわからないですけども、2週間ちゃんといろんな準備をしてきた中できょうの18人なら戦えると思いました。(実際に試合をして)そういうときもあるし、途中から入れた選手が活躍するときもあるし、そうではないときもあります。ただ、きょうみたいな自滅のゲームをしてしまうと、その基準をしっかり普段の練習から当てはめなければいけない、選手たちにそこの厳しさを要求しなければいけないと思っています。

――この2週間は、原点をリマインドしながらいろんな取り組みをされていたのを見てきました。少なからずピッチで表現できている部分もあったと思います。だからこそ勝ちたかった部分が非常に強いでしょうし、内容と結果がリンクしない悔しさもあると思います。結果が出なかったのは前提ですが、そこについての評価はいかがでしょうか?

もちろん結果が全てなんですけれども、結果を出すためにどんな準備をしてきたか、どんなプレーモデルをやってきたかという部分に関しては、4点取るチャンスをたくさん作れたところもあります。内容と結果がリンクしないもどかしさは感じています。ただやっぱり結果が優先されるべきです。それにチャンスは作りましたけれど、必ずしも本当にそんなにいい試合だったか。もう少しこの強風の中でもしっかりボールをコントロールすること、自分たちでしっかり人とボールが繋がりながら前進していくことが、もう少しできればいいと思っていました。

それでもやっぱり相手の裏を取る、相手のゴールに向かっていくという姿勢はすごく見えたし、CKもクロスも多かったです。そういう攻撃のスタッツは狙い通りできたかなと思っています。

――その中で、せっかく先制点を取ったけどすぐ取られてしまう。前半終了間際に勝ち越しても、後半にすぐ失ってしまう。そういった、チーム戦術やゲーム戦術とは別のレイヤーにある「ゲームマネジメント」であるとか、そういう部分について何か改善を加える必要性は感じていますか?

チームの戦術とか仕組みとか約束事とか、そういうことはもちろん大前提ではあります。けれどもそれをやるのは個人個人の選手なので、選手たちが簡単に1対1で抜かれてしまうとか決定的なシュートを外してしまうとか。選手たちのクオリティに依存する戦い方はしたくないと思っていますけれども、そのクオリティが足りなかったときに「あとは何でカバーをするんだ」という部分が、まだまだチームとして足りていないと思っています。

――信州ダービーに敗れてからの2週間、どのようにチームを立て直してこの試合に向かったのかを改めて教えてもらえますか?

信州ダービーに負けたのはそんなに引きずっていません。皆さんに言われている通り、もちろん僕らみんな悔しいですけれど、「悔しい」という感情だけではサッカーはできないので、次の鹿児島戦に勝つために2週間準備をしてきました。できた部分もあるし、全然準備してこなかった関係ないところでやられてしまった部分もあるし、そういう意味ではサッカーの難しさはもちろんあります。けれども、気持ちも入っていたしいい準備もできていたし、みんなそれぞれ一体感を持ってやってました。ただ、いろんなものがちょっとずつ、個人の部分もチームの部分もいろんなものが足りなかったなと、まだ力不足だなと思っています。

――2週間やってきた中で勝てませんでしたが、ここからまた原点に立ち返っていくのか、あるいは何かを大きく変える可能性もあるのでしょうか?

変えません。これから積み上げていきます。

――4月以降に失点が急増している原因をどう考えていて、これが改善しないと勝ち点を取れないように感じますが、そこについての考えはいかがでしょうか?

毎試合2点取りたいと思っていますが、毎試合1点以上取られたくないとも思っています。ここのところの失点は個人のミスももちろんありますけれども、蹴られた後にちゃんと僕らが組織的にプレッシャーをかけたり、僕らがちゃんと意図的に守備をしたときはやられていません。けれど、例えばセカンドボールが増えたり、急にロングボールを蹴られたりした時に「どうしたらいいんだ」という判断力をもっともっと上げていかなければいけないと思っています。

そこでも「キレイに繋げ」と言っているわけではないので、そこはもう簡単に蹴るなら蹴ってもいいし、失点さえしなければ、サッカーを知っているか知っていないかで、そこは外にクリアしてもいい。ヘディングを中に返すのではなくてそのまま誰もいなかったら触らないでGKに渡してもいい。そういう個人戦術の判断を、もっともっと上げるようにしていかなければいけないと思っています。

練習の中で意図的にカオスな状況を作ったりロングボール蹴らせたりセカンドボールの拾い合いをやらせたり…ということをやっていますけど、まだまだそこは足りていません。それをやり続けないと、カオスな状況になったときに「今は繋ぐべきなのか蹴るべきなのか」「ヘディングのクリアをどこに落とすべきなのか」ということを選手個人がなかなか最初から決められないので、その判断力を養っていくアプローチをしていかなければいけないと思っています。

――勝ち点を見ると上位から離れてかなり厳しい水準になってきました。現状についてはどう受け止めていますか?

まだどこが上に立つのかどうかは誰もわかりませんし、僕らは「ポイントが離れたから今シーズンは終わり」と思うつもりも全くありません。後半戦で連勝していくために、チームの土台をきちんと作っていかなければいけません。僕らはきちんと守備から入って、1点以上取られないこと。事故で1点取られる可能性はありますけど、1点以上取られないというところから、なおかつ毎試合必ず2点取ろうというチーム作りをしています。

なのでまず、安い失点を減らしていかなければいけません。ただ、安い失点を減らすのに「みんなで守って、攻撃を犠牲にして…」というつもりはないので、やはり個人の判断のところ。あるいは誰かがミスした時に誰かがカバーできるような仕組みを、もう少しチームとして成熟させていかなければいけないと思っています。