【試合後コメント】霜田 正浩監督 第26節 琉球戦 ※無料配信
――まずは試合の総括をお願いします。
前節悔しい思いをして、ホームに帰ってきました。これだけのサポーターが来てくれた中でちゃんと戦ってサポーターに勝利を届けたいと思っていたので、今日は本当に「いい試合」ではなくて勝点3を届けられてとてもうれしく思っています。
内容的には前半は本当にいいゲームができて、決めるべきところを決めていればもっと楽なゲームになりますが、ああいうチャンスを作ることが僕らに求められています。それを全部決められるようなスーパーなストライカーはいませんけれども、たくさんのチャンスを作ることによって自分たちのリズムでテンポでサッカーができていました。
1点は失点しましたけども非常に落ち着いていて、失点さえしなければ2点目が取れると僕は確信していました。今年はセットプレーでも点が取れるので、流れの中から1点、セットプレーから1点。失点も最少失点に抑えることができたので、とても良いゲームだったと思います。
――トレーニングしてきた攻撃が前半から出せていたのではないでしょうか?
1週間の練習でテーマとして挙げていたこと。ちゃんと立ち位置を取ってボールを回す。あるいは回すだけではなくて相手のラインをブレイクする。それがクロス一辺倒になるのではなく、中からも外からもどう裏を取るのかということをずっと練習でやっていて、それが今日、1つ2つと形になっていました。中からも外からも形になったということは選手の成長を感じますし、練習は嘘をつかないと思っています。
――後半に失点するまでの時間帯で相手もやり方を変えて、ボールに行けない時間帯もありました。
前半1-0に終わってしまったので相手も元気になって、最初の10分〜20分は相手のリズムになってしまいました。長いボールを蹴ってセカンドボールを拾う。そこで僕らもセカンドボールを拾えればよかったんですけど、どっちに転ぶか分からないようなボールが相手に転がってしまう時間帯があるのはサッカーではよくある話。そこで失点をしなければいい話なのですが、そこで失点してしまったので、そこからどうやって自分たちのリズムを取り戻すか。そこだけにフォーカスしました。
そういう意味では90分の中で流れが相手に行ったり自分たちに来たり、点を取ったり取られたりがありますけども、90分間僕たちのサッカーをできているかというところまで行っていないと思いますので、我慢するところは我慢する。逆に言えば1失点で我慢していたので、2点目が取れたと思っています。守るところは守る、我慢するところは我慢する――というところがチームの成長に繋がると思っています。
――上位からはまだ離れている状況で、連勝が必要になってきます。その観点から今日の勝利の意義、課題などはどのように感じていますか?
連勝は内容が伴っていないとできないです。ただ偶然勝っているだけでは何連勝もできないので、僕らは内容にしっかりこだわらないといけません。「いい内容だけど勝点を取りこぼしている」という試合が続いていたので、そういった意味では今日のゲームは最後の最後まで我慢くらべをして勝ち切った。追い付かれたけどまた突き放したというゲーム展開は悪くないと思っていますし、追い付かれても相手のリズムになってもしっかり耐えれば2点目を僕らは取れるのだから、選手たちに自信をもってほしい。
どこのチームとやってもある程度ボールを動かせる、チャンスを作れる。決め切れるかどうかはわかりませんけどチャンスを作れるようにはなってきたので、自分たちのサッカーをやり続けて目の前の勝ち点を取り続けて、どこまで上に肉薄できるかというチャレンジを残りの1/3でできればと思っています。
――ロングスローについて伺います。アクチュアルプレーイングタイムが短くなって試合がぶつ切りになるなどの理由で従来は積極的ではなかった印象があります。その部分については考え方が変わったのでしょうか?
「僕が変わった」というよりは、チームが成長する中で武器は増やし続けなけらばならないと思っています。あれだけ警戒してあれだけ1週間準備した中で失点した前節を考えると、逆にセットプレー、ロングスローで点を取りたいと思ったのは事実です。投げられる選手もいますし高さで勝てる選手もいますし、ああやって飛び込める選手もいます。あれをスタンダードにするかは分かりませんが、僕らが点を取る武器がクロス、ショートカウンター、セットプレーと、繋いてはがして中央突破だけではなくて、ロングスローでも点が取れる。セットプレーでも点が取れる。それは武器としては良いと思います。
――見ている人に戦っていることが「伝わる」かどうかに力を注ぎ、強くアプローチをして臨んだ試合でもありました。その意味では球際の戦いやルーズボールを追うことなどを表現して、それが勝利に繋がった側面もあるのではないでしょうか?
僕らが戦っているかは皆さんが判断してくれればいいと思います。戦っているのが伝わるか伝わないか。ただの勝ち負けではなくて本当に戦っているプレーはどういうプレーなのか、どういうプレーをしたら戦っていないと言われてしまうのか。それはこの1週間、選手たちに言い続けてきました。ミーティングでもかなり強く厳しく、選手たちにメッセージを言ってきてきましたけど、今日はそういう意味では勝っただけではなくて、本当に僕らが戦っているというプレーを皆さんが感じてくれたとしたら、それは勝点3以上の重みがあると思っています。
最後に一つだけいいでしょうか。
個人的なことで恐縮ですけれども、昨日の夜、三浦知良、泰年氏のお父さんの納谷宣雄氏が亡くなりました。僕が18歳でブラジルに行ったときに、納谷さんが「ブラジルでの父親」になってくれて、僕にとっては今僕がここで監督として立っていられるのも、今から35年前に僕をブラジルで引き受けてくれた納谷さんのおかげだと思っています。
本当に納谷さんのご冥福をお祈りしたく、今日の試合は僕の勝手な個人的なことで申し訳ないんですけど、本当に納谷さんに捧げたいと思っています。自分の人生の中でやっぱり感謝しなければいけない人はたくさんいると思いますけども、そういう人が亡くなった次の日の試合で、選手たちやチームには全く何も関係ないですけれど、個人的には非常に感慨深いものがあったので、故人を偲びたいと思います。
以上です。ありがとうございました。