【試合後コメント】霜田 正浩監督 第31節 長野戦 ※無料配信

――まずは試合の総括をお願いします。

(長野は)本当に監督が代わってから勢いのあるサッカー、非常にアグレッシブで躍動感のあるサッカーをやられていたので、ハードワーク対ハードワークの勝負だと思っていました。僕らも前からプレッシャーをかけて相手陣地でサッカーをやりたいと思っているし、お互いのストロングポイントをどちらがより濃く強く出せるかが今日の試合のカギだと思っていました。そういう意味では選手たちの気持ちが本当にピッチに乗り移って、非常に魂のこもったゲームができたと思います。今日は1点しか取れなかったしもちろんピンチもありましたが、何回も何回も相手のゴールに向かってセットプレーを取り、シュートを打ち、クロスを上げ、ゴールに向かって前進する僕らのサッカーをちゃんと皆さんに見せられたかなと思います。

もう一つはやっぱり勝ち負けもそうですけど、これだけいい雰囲気を作ってくれるサポーター、これだけいい雰囲気の中でJ3が存在していることに本当に感謝しなければいけません。サッカーで生活している僕らからすると、こういう環境をお互いのサポーターが作ってくれて、来た人に「また見に行きたい」「また応援したい」と本当に思わせられる、感動させられるゲームをしなければいけないと選手たちには伝えていました。もちろんダービーなので「38分の1」ではないですけれども、得点よりも失点をしないこと、あるいは僕らの気持ちがちゃんと皆さんに伝えられるかどうか。そこが今日の一番大事なところだと思っていました。勝っただけではなくて、そういう気持ちも皆さんに見せることができたのではないかなと思っています。どんなにいい試合をしても勝点3以上はもらえませんが、今日は勝点3以上の価値があったと思っています。

――加入後初めて先発で起用された山口一真選手のところで時間が作れて、前半から優位に試合を進めることができたと思います。彼への評価、起用の意図などはいかがでしょうか?

1年7カ月近くピッチから離れていましたが、彼の持っているクオリティやセンスや技術をどうやってチームに貢献してもらうか。タイミング、起用方法、ポジション、システム、組み合わせなど、いろんなことを考えて準備をしてきました。今週1週間の彼の練習を見ていて、「90分はきっと持たないだろうけれども、もう最初から使った方がいい」と思ったのでアタマから行きました。彼の力で時間を作っていたのはもちろんそうですけど、この間の八戸戦の後半で見せた戦い方をしっかり僕らの仕組みとして取り入れて、相手が前から来たときにはこうやってボールを運んでいく、どこで時間を作る、どこでセカンドボールを拾う、というのを仕組みとして取り入れて1週間の練習をやってきました。それが全部が全部できたわけではないですけども、「相手が前から来ても僕らはもう大丈夫だ」という自信を選手たちが培ってくれれば、それが一番の収穫だと思います。

――渡邉千真選手、野澤零温選手と途中出場の選手たちが決勝点に絡みました。特に渡邉選手は長くベンチからも離れていましたが、このダービーで起用した意図などはいかがでしょうか?

注目度が高く、強度の高いゲームになると予想できたので、その中で落ち着いて自分のプレーができるベテラン、経験ある選手が必要だなと思いました。もちろん渡邉千真はずっと悔しい思いをしていて、なかなか彼のポテンシャルを発揮させてあげられなかったんですけど、やっぱりこういう試合には彼みたいな選手が必要。彼がアシストしてくれたことは本当にうれしいと思っていますし、途中から入った選手がどうやってギアを上げるか。今日は0-0だったので勝点1も覚悟しましたけれども、やはりこれだけの雰囲気の中で、最後の最後まで諦めずに勝点3を取るために2トップにシステムを変え、ゴールへの矢印は絶対に変えないと決めていました。そういう意味では、途中から入った2人が結果を出してくれたのは非常に今後に繋がると思っています。

――「八戸戦後半のやり方を仕組みに取り入れた」という話がありました。もちろん小松選手をターゲットにした攻撃は多かったですが、それ以外にもただロングボールを蹴るのではなく足元で前進させていました。前回のダービーに比べると成長を感じられたと思いますし、それも含めた勝利の意義はどのように感じていますか?

成功体験を積み上げていくことが次のステップを上がるためには絶対に必要ですが、やっぱりただボールを繋ぐだけではなく、運ぶだけではなく、相手の矢印を感じながらどこが空いているか、どこに行けば相手が嫌がるかというのを選手たちが学習してくれています。チームとして確実に成長して積み上がっているという実感を、今日の試合で本当に感じることができました。僕はオプションを彼らに提供しますけど、それを実際にやるのは選手。自分たちで「今は蹴った方がいい」「今は繋いだ方がいい」と判断をできる選手を育てたいし、そういうチームにしたいと思っています。

今日はそういう意味では相手のプレッシャーをしっかり折ることができて、僕らのビルドアップで失ってピンチをなることもほとんどなかったと思います。相手がプレッシャーをもうかけられなくなるビルドアップができればいいと思っていますし、もしそれを相手がかけてきたとしたら、それをはがす、あるいはひっくり返す。2つのオプションをちゃんと持てるチームになればもっともっと良くなると思っています。

――オフ明けの立ち上げから「松本のために戦う」と発信してスタートしました。今季これまでの経緯なども踏まえながら、この勝利の持つ意味はどのように感じていますか?

負けたくない。前回負けている。今日は勝たなければいけない。そういう結果に対するプレッシャーを選手たちから取り除かなければいけないと思っていました。もちろんみんな勝ちたいし、勝たなければいけない。でも、それをやるためにはちゃんとしたプロセスが大事だと思っています。しっかり走らなければいけない、戦えなければいけない、ボールを繋がなければいけない、相手の方に向かわなければいけない。その結果としてちゃんと勝利がついてくる試合をやろうと話をしていました。それが僕らが1年間積み上げてきた松本山雅のサッカー。それをちゃんとブレることなくやって、サポーターの方にちゃんと見ていただいて、感動してもらう、喜んでもらう、彼らを幸せにする、そういう意義の方がダービーに関しては大きいと思っています。

――サポーターの思いをどう感じて試合に臨み、勝利したことによってこの試合が残り7試合に向けてどのような影響を与えると思いますか?

向こうのスタジアムに行ったときも感じましたけど、やっぱりディビジョンに関係なくフットボールの魅力が本当に詰まっている試合だと思います。フットボールの魅力はダービーだけではないんですけれども、やっぱりダービーというのは「チーム対チームの戦い」ではなくて「街と街の戦い」。特にここは松本と長野という街の戦いで、僕が以前に経験した東京ダービーと違うと思っています。僕らが松本の代表になる、そして長野と戦う。そういう意義を本当に選手たちもちゃんと理解してくれているし、いつも「応援をしてくれて感謝しています」と口で言うのは簡単なんですけど、その感謝を本当に言葉に表すだけではなくて実際にちゃんと伝えるには、気持ちのこもった試合で勝点3を目の前に見せてあげないと、プロとして感謝の気持ちをちゃんと表すことにはならないと思っています。やっぱり勝たなければいけない、勝つためにちゃんと準備をして、勝ったら松本全体が喜べるような、そういう意義のある一勝になったと思います。

これがどのように繋がるか。残り7試合ですけれども、僕らはもう上のどこが負けてもいいように勝ち続けなければいけません。せっかくいい試合だったけれど、この間はここで情けない試合をしてしまったので、1週間の準備が本当に大事だと思っています。次の試合もアウェイですけれども、来てくれるサポーター、あるいはテレビの前で応援してくれる松本市民のためにも、やっぱり僕らは「松本のために戦っているんだ」という気持ちを忘れないようにして、残り7試合で何かを起こしたいと思っています。