【キャンプレポート】今季初の練習試合 見えた成果と課題は ※一部無料
第1次串本キャンプ第6日の20日、今季初の対外試合となる奈良クラブとのトレーニングマッチ(30分×3本)を和歌山県串本町のサン・ナンタンランドで行った。メンバーはシャッフルしたといい、結果は1-0、0-0、0-1の3本合計1-1。「勝ちにこだわる姿勢を今後も見せ続けていけると感じた一発目の試合になった」と浅川が話せば、ゴールを決めた菊井も「初戦としてはいい内容でいい結果で終われたんじゃないかと思う」と汗をぬぐった。
1本目の開始まもなく、試合が動いた。8分。サイドチェンジを受けた藤谷が右サイドを持ち運ぶと、カットインして左足シュートを放つ。相手GKに弾かれた2次攻撃で、菊井がファーストタッチでDFの逆を取って左足一閃。菊井は自らのプレーもさることながら、「ゴールシーンは2次攻撃、3次攻撃と相手が弾いたボールを自分たちが回収するいい流れだった」とチーム全体としてのパフォーマンスを喜んだ。
このゴールには、昨季とは異なる進化が見て取れる。そもそも自陣で藤谷にサイドチェンジを出したのは、ゴールを決めた菊井。対角に配球してすぐ走り出し、ペナルティーエリア付近まで走り込んでいた。こうしたプレーを今季のテーマに置いているという新たな背番号10。トレーニングマッチではあるものの、早くも一つの成功体験を得た。
そして右サイドバックの藤谷。待ち合わせ場所でボールを受けてから果敢にカットインし、利き足とは逆の左を思い切りよく振り抜いた。得点に絡んだこのプレーのほかにもライン際のデュエルで粘りを見せたり、縦への仕掛けを繰り返したりして右サイドを活性化。「去年はあまりアシストをつけられなかったので、しっかり精度を上げていく必要がある」と話した。
2本目はキャプテンマークを巻いた山本康裕が、最終ラインに落ちて野々村・宮部コンビのビルドアップをサポートした。國分とのパス交換からスピードアップして背後の山本龍平に供給するなど、緩急をつけたプレーでゲームをコントロール。終了間際には佐相と安藤の右サイドで崩して決定機を演出した。
ここまでの60分は決定的なピンチが皆無だった。前線から方向付けするプレスをかけ、刺し込まれた縦パスに対しては安永などボランチが強くアプローチして奪回。4バックの横に張ったウイングへのサイドチェンジに対しては、それぞれのサイドがユニットで連動して難を逃れた場面と、ピンチには至らなかったが後手を踏んだ場面が1〜2本目ともあった。
3本目は自陣で耐える時間帯が続いた。新井-前田の連係などで散発的にチャンスは作ったが、ゴールには至らない。逆に15分、自陣右からのボールをGK村山が弾き、短くなった二ノ宮のクリアを拾われて失点。佐相-村越の右サイドが気を吐いて樋口がファーサイドへのクロスに詰めるシーンもあったものの、ゴールは奪えなかった。
この日はコンディション不良などの3人以外は30〜60分プレーした。これで串本キャンプは後半に折り返し。今後はトレーニングマッチが続くスケジュールとなっており、中3日の24日に関西学生リーグ2部の桃山学院大と、さらに中2日で27日には関西リーグ1部のアルテリーヴォ和歌山とそれぞれ対戦する。
霜田監督と選手3人(菊井、浅川、藤谷)のコメントは以下の通り。
霜田 正浩監督
――試合を振り返っての印象はいかがでしょうか?
ここ(和歌山県串本町)まで来てもらってありがたいし、最初の試合が同じディビジョンの相手ということで、両チームともモチベーションの高いゲームになりました。いい練習試合だったと思います。ポジティブな面もたくさんありました。3本目は押し込まれましたが、1〜2本目は敵陣でサッカーができました。何よりも1〜2本目にシュートを1本も打たれなかったのは、非常に大きな成果。チャンスもたくさん作っているので、課題として決め切りたいです。
――理解度やコンディションなどを含め、パフォーマンスにやや差があったように感じます。
レベルをそろえていきたいです。目もそうだし、技術のレベルもそう。遅れている選手たちには早くついてきてほしいと思っています。サッカーは11人がみんな頑張らないと勝てないスポーツです。レベルの底上げも必要だし、いまは疲労困憊の中で頭を動かして、新しく来た選手とこれまでいた選手が一つの絵を描くことに重きを置いています。それをやりながらも、エクスキューズを言わないでしっかりやるのがこの練習試合の目的。まだまだこれから積み上げていけそうだと感じています。
――1〜2本目にシュートを打たせなかった守備について、どう振り返りますか?
60分もやれば1本くらいはシュートを打たれても仕方ないですが、危ないところで身体を張るとか、優先順位をわかった上で守備をする。ある程度はボールを持たせてもいいところ、やらせてはいけないところ。中で選手たちがよくしゃべってやってくれたと感じています。
ずっと練習で(コンパクトさを)意識させていて、それをしっかりやってみようというメンタリティがありました。それでももっとはめられたり連動してボールを奪えたりすると思うし、物足りなさを感じている状況です。それはすごく良いと思っています。
プレッシングのスイッチが入れば全員でオンになるし、スイッチを切ればオフになる。「ここから取りに行く、ここで奪いに行く」と、取りどころを先に決めようとすることは多いですが、そこで奪えなかったら何もなくなってしまいます。僕は「奪えたところが奪いどころ」だと思っていて、みんなが同じイメージで誘導できていれば、そこではめられると思っています。そういうプレスの連続性はもっと良くなると思います。
ウイングが張っているチームは、よくそこにボールを持ってきます。そこに対してどういうタイミングで行ったらいいのか、行かないほうがいいのか、その都度ケースバイケースで正解はありません。そこは経験しながら守り方をみんながわかってくればいいと思っています。