【キャンプレポート】ベテランから若手へ 受け継がれる知識と経験 ※一部無料
第1次串本キャンプ第11日の25日、和歌山県串本町のサン・ナンタンランドで午前と午後の2部練習が行われた。共同生活の時間が経過し、コミュニケーションも活発に。同世代間はもちろん、新加入のベテラン選手が若い選手にアドバイスする場面も頻繁に見られる。
新戦力を迎えた今季、早期に相互のプレースタイルやキャラクターなどを理解していくことは重要な要素。串本キャンプのテーマの一つに「融合」を掲げながら日々を送ってきた。ピッチ外でのコミュニケーションやリアルな息遣いは、クラブ公式YouTubeの人気企画「まこっちゃんねる」が詳しい。
トレーニングマッチや練習の後などにも、盛んにやりとりをする姿が見られるようになった。この日は午前練習の後半でグラウンドに出て軽めのジョギングとストレッチを行い、ホテルに引き揚げる前に複数のグループが自然とでき、プレーについて話し込んでいた。
前日のトレーニングマッチ後、「いろいろ吸収して自分のものにしていきたいし、それをチームの力として出していきたい。そこはすごく強く思っている」と語っていた常田。この日は同じセンターバックの高橋に教えを仰いでおり、高橋は「トキ(常田)はどんどん聞いてくる。僕も話すのは好きなので、思っていることもやってきたことも全部言っている」と明かした。
前日の1本目で右サイドバックを務めた佐相は、大宮時代にもチームメイトだった馬渡から助言を受けた。このポジションにトライしてから日が浅いため不慣れな面も多く、プレスではめられた際の打開策などを聞いたという。「カズくん(馬渡)と(藤谷)壮くんという本当にいいお手本が目の前に2人いる。もっと話していきたい」と佐相。
一方の馬渡も「彼自身が成長して僕に対しても刺激を与えてもらえれば自分のためにもなるし、それでチームが向上して昇格や優勝という目標が達成できればいい。お互いにサイドバックでしっかりとしたプレーをして、あとは監督が選ぶだけ」と話し、惜しみなくアドバイスを送って成長を促す。
前日のトレーニングマッチでの疲労を考慮し、2部練習ながらも負荷は軽め。午後は1時間弱の短いトレーニングとし、攻撃と守備に分かれてメニューを消化した。守備は早川知伸ヘッドコーチが主導し、ゴール前の約束事などを確認。攻撃は霜田監督が手ほどきし、フィニッシュに至る手法に質を求めていた。
霜田監督と選手2人(高橋、藤本)のコメントは以下の通り。
霜田 正浩監督
――午後練習の最後に前線と後ろで分けたメニューで、アタッキングサードの流れを共有していました。ワンタッチを多用して非常にスピーディーでしたが、今年目指すべき「クオリティ」の一つでしょうか?
技術は必要になりますけど、そんなに難しい技術ではありません。誰と繋がるか、どういう身体の向きでもらうとどこが見えるか。落としのミスやワンタッチのミスはありますが、頭の練習みたいなものです。知識を増やして、身体に覚え込ませる。ああいう練習はたくさんやっていきたいと思います。
――精度を高めるために、身体の細かなコントロールも言及されていました。
僕らは(川崎)フロンターレではないですが、どうやって複数人が絡んでコンビネーションで崩していくか。ある程度はセオリーもあるし、必要なスピードのコントロールもあります。感覚だけで今まではやっていたと思いますが、感覚に加えて「こうやってやればボールが止まるんだ」「こういう体の向きで待っていればここが見えるんだ」と体感してもらえればと思っています。試合で出るかどうかは別の話ですが、練習試合での(村越)凱光のゴールも良いコンビネーションで取れました。それをさらに、ということです。