【キャンプレポート】J2藤枝と3-3 疲労の中でも攻守に成果 ※一部無料

第2次鹿児島キャンプ第5日の4日、J2藤枝MYFCとのトレーニングマッチ(40分×4本)を鹿児島県霧島市の国分運動公園多目的グラウンドで行った。1-0、0-2、1-1、1-0の合計3-3。1〜2本目は守備の時間帯が長くなったものの、霜田監督は「十分に予想された課題なので、何も問題はない」「いいレッスンになった」と受け止めた。

前回の実戦から中2日、再びトライアンドエラーの貴重な時間が来た。「(横浜F・)マリノスとはビルドアップが違うのでプレッシングも変わってくる。さまざまな相手とやれるのがキャンプの一番の収穫だし、実戦が一番の学びになる」と話していた霜田監督。約1時間のバス移動を経て、薄曇りの午前11時にキックオフした。

1本目、まず守備は大きな穴を開けずに切り抜けた。自陣サイドに流し込まれても左右サイドバックが最適なタイミングでアプローチしたり、時には吸収してセーフティに対応したり。安藤は「ボールを持たれる時間は多かったけど、守備はやろうとしていることがはっきりしていて、エラーが起きても話して解決できていた」と話す。

それでも中盤で奪われ、鋭いカウンターを繰り出されるシーンも。26分にはクイックリスタートからピンチを招いたが、相手の強烈なミドルを村山がセーブした。チーム最年長36歳の守護神は2本目の20分と23分にも枠を捉えたシュートを防ぐなど、水際で立ちはだかった。

一方で攻撃は獰猛なプレスを受けるなどし、自陣から抜け出すのに苦心した。今季は前線でタメを作るタイプのプレーヤーはおらず、ラフに蹴っても難なく回収されるのが関の山。2本目も含めて個の能力で打開しながら前進するシーンは散発的に見られたが、チームとして厚みを持って押し込めた時間帯は限られた。

それでも少ないチャンスを生かす。36分。山本康裕の展開から馬渡が右サイドで受けて好機を演出。ハーフレーンの裏に抜けた安藤が折り返し、中央の浅川がワンタッチできっちり仕上げた。浅川はこれで3試合連続ゴール。得点に至る過程も含め、再現性のある一撃だった。

2本目は運動量が落ち始め、相手のフレッシュさが際立つ展開に。打開策を見出せないまま自陣で耐える時間帯が続き、米原は「前半にあれだけ走らされていたのはあるけど、自分たちの簡単なミスが多くてリズムを持って来られなかったのが要因」と振り返る。奪った後のファーストパスも繋がらず、守備のフェーズが続いた。

23分にドリブルが奪われた局面からカウンターで失点。36分にもサイドチェンジからの展開で再び失点した。失点後のリアクションを含め、たとえ空元気でも覇気を強めてピッチ全体に伝播させたいところ。GK村山は「リズムが悪くなったりすると一気にトーンダウンしてしまう。そこはハッパをかけて盛り上げないと」と話す。

逆に3〜4本目は山雅が躍動。3本目の終盤に喫した失点は余計だったが、2ゴールを挙げた。3本目33分の得点は住田のパスをライン間で受けた村越がすかさずターン。持ち運んで大外の藤谷に展開すると、クロスからファーサイドの前田が豪快にGKのニアをヘッドで撃ち抜いた。4本目の22分には住田が長い距離を走って仕上げた。

この日の試合には、左膝の前十字靭帯損傷と外側半月板損傷が発表された高井も訪れ、観客席からチームメイトの戦いぶりを見守った。滝は「(高井)和馬くんの分までやらないといけないし、帰ってきたときにいい状態で入ってこられるように自分の力を全て出したい」と話していた。

霜田監督と選手2人(村山、滝)のコメントは以下の通り。


霜田 正浩監督

――押し込まれる時間も多い試合となりましたが、トータルで見た収穫と課題はいかがでしょうか?

1本目に1―0で勝って2本目にひっくり返された理由は、ラスト20分間で押し込まれる流れをなかなか変えられなかったことが大きいです。サッカーではそういう試合も絶対にあります。いい練習、いいレッスンになったと思います。

3―3で終わりましたけど、点を取る形は全員の共通理解が進んでいます。技術の問題でなかなか点が取れなかったですが、やろうとしていることを頭の中でわかってきた選手が増えてきた気はします。

――できればガマンの時間を短くしたい中で、ハーフウェイラインを超えるような場面をもう少し増やしたかったのではないでしょうか?

2本目は途中で選手が代わってから、どうしてもゴールキックから止まって、探して、セットして、相手のプレッシャーをもろに受けてしまっていました。今年はロングボールで打開する選択肢がなかなかない中で、どうやってはがしていくか。そういう練習もたくさんしているしみんなも頭ではわかっていますけど、どうしても流れの中でリカバリーできないところがあります。それは十分に予想された課題なので、何も問題はありません。

――ひとつ預けどころがあるかないかで、変わってくる部分もあるように思います。

ただ、それを1トップに求めているわけではありません。前で起点を作ってほしいというよりは、相手が準備する前にボールを動かしながら立ち位置を取っていく。そこから前進していく、サイドを変えていく。そこが目指しているところです。その20分でできていなかったことより、他の60分でできていた時間のほうが多かった気はします。

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