【試合後コメント】霜田 正浩監督 第21節 FC大阪戦 ※無料配信

――試合の総括をお願いします。

(試合後の)FC大阪のサポーターの「松本山雅」コールを含めて、悪天候の中にもかかわらず、サッカー専用スタジアムで良い雰囲気をサポーターが作ってくれたことに尽きます。いつもですが、今日も本当に感謝したいと思います。だからこそサポーターには勝点3を届けないといけないと思っていたので、複数得点・無失点という形で勝点3を取れて本当にうれしく思っています。

その原因は戦うことができた、走ることができたということ。ハードワークがすごいFC大阪さんに対して、その土俵でもしっかり勝つことができたのが勝因だと思います。いつもいつもこれをやらなければいけないので、全く満足もしていないし、これでいいとも思っていません。次できなければまた同じことの繰り返しなので、また1週間しっかり準備をして、次の試合も同じように走って戦って、相手のゴールに向かうサッカーをやりたいと思います。

――ハードワークで勝ってしっかりセカンドを拾って、相手の矢印を折るスピード感を持って攻めたことがゴールに結びついた部分もあると思います。相手の戦い方を踏まえ、狙ったポイントを教えていただけますか?

彼らは一つのことを徹底してやってくるのがストロングポイントです。逆に言うと僕らもある程度彼らのやりたいことがわかっていて、「やりたいことをやらせない努力」と「僕らがやりたいことをやる努力」の2つが絶対に必要でした。今日はまず「相手にやりたいことをやらせない」のが先で、ハードワークをしようと。プレッシャーに行けば(ロングボールを)蹴ることは分かってますけども、あえて行って精度を落とさせるようなプレッシングをかけ、規制をかけて「ここに蹴ってくるだろう」「ここに蹴ってくるとここにこぼれてくるだろう」という予測を踏まえてセカンドボールを拾いに行こうとしました。セカンドボールを拾えたところが本当に良かったと思います。

――セカンドボールを拾った後は、スピード感を持って相手ゴールまで一気に迫ることも狙いの一つとしてあったと思います。

行けたときはカウンターになるし、行けなければちゃんと相手陣地でボールを保持する。それはずっと自分たちが取り組んできたことなので、行くのかやり直すのかの判断は選手たちに委ねました。

低い位置から蹴らせると前線には相手の選手がたくさんいますけど、それを跳ね返して拾えれば、今度は逆に相手のディフェンスラインが少なくなります。そこに相手が戻るより早く僕らが行ければ、相手の最終ラインに対して数的優位を作ることができるので、「取った後、拾った後にどれだけスプリントができるかが勝負だ」という話をしていました。

――前節は繋ぐことに固執しすぎた部分もあったという振り返りでしたが、落ち着いて相手が嫌がることを繰り返せばこのように勝てます。一つの自信になった部分もあるのではないでしょうか?

昇格するためにはいろんなタイプの相手にまんべんなく勝たなければいけません。こういう相手と試合をするときも、やはり相手の土俵で負けるのではなくて、相手の土俵でも勝つし、自分たちの土俵にも残れる…という、両方の努力が必要だと思います。今日勝ったことはうれしいですけれども、もうこの部屋を出た瞬間に全て忘れて(次戦の)準備をしたいと思います。

――相手はロングスローを含めてセットプレーも一つストロングポイントにしていて、それに対して非常に入念な準備もしてきました。実際のところ、セットプレーの2次攻撃も含めてほぼ脅威を与えずに守り切れたと思います。その評価はいかがでしょうか?

スカウティングの勝利だと思っています。(セットプレーの攻撃を担当する)武石(康平)と、(セットプレーの守備を担当する)吉本(哲朗)の両コーチが相手のスカウティングをしてくれて、相手のストロングをどう抑えるかという対策まできちんと練習で落とし込んでもらいました。普段より1回多く(セットプレーの)守備の練習をしましたし、彼らがやってくることを前もってほとんど予測してポジショニングして、去年(アウェイで)やられたロングスローも今年は本当にしっかり跳ね返すことができました。「仕組み」と「気持ち」と「スカウティング」が全て噛み合ったからだと思います。コーチの仕事に本当に感謝しています。

――前半で2点先行しました。FC大阪からすると前半2点ビハインドのシチュエーションは今季なかったと思います。その中で後半どうゲームを運ぶのか。(2-0から逆転を許した)相模原戦も踏まえて、しっかり時間を進めながらクローズできました。後半45分間の試合運びについてはどう振り返りますか?

選手たちが自分たちで相模原戦の敗戦からいろんなものを学んで、今回同じ轍を踏まないということで、僕が言う前に彼らがハーフタイムにロッカールームで話をしてくれました。僕は時間の進め方と、逃げ切るとかどうするか。最後の最後に決める時はベンチから指示を出すけれども、基本的にはそれまでは3点目を取りに行くこと。それから相手がもう負けているので、どんどん放り込んでくるけれども、持たせてやらせていいところと、蹴られて嫌なところだけはしっかり整理しました。

後半は相手も能力ある選手がどんどん入ってきましたけど、あまりやらせなかったと思います。高い強度と集中力で守備ができたのは本当によかったと思います。願わくば3点目を取りたかった…というのはありますが。

――相手の枠内シュートはほとんどなかったと思います。3試合ぶりの(失点)ゼロで終えられた守備についての評価をお願いします。

前節も枠内シュートは1本でしたが、その1本でやられてしまいました。少ないチャンスをやられてしまうと、そこをフォーカスされるし僕もフォーカスしますが、そもそもチャンスをそんなに作られていないしシュートを打たれていません。守備がどんどん良くなっている実感があります。ただ1本しか打たれてなくても、その1本が入ってしまうスポーツなので、どれだけ集中してシュートを打たせないか、あるいは相手のシュートを自分の身体に当ててシュートブロックができるか。ゴール前でカオスになったときにかき出せるかどうか。

そういう戦術やシステムと関係ないところで失点を喫してしまうのはもう本当にやめよう、という話をしてきました。選手たちが高い集中力を持ってくれて、今日はかき出してくれたしシュートブロックもしてくれて、やってほしいことをちゃんとやってくれました。これは続けていきたいと思います。

――今週トレーニングの中で「アクション」と言うキーワードを選手たちに伝えていた中で、立ち上がり1分半ぐらいからのシュートチャンスを含めて5分ぐらいの間に3度チャンスを迎えて、アグレッシブな姿勢っていうのを立ち上がりから出せたと思うんですけど、そういう姿勢についてはどのように振り返りますか?

僕ももちろんアプローチはしたし働きかけもしましたけど、やはりプレーするのは選手たちです。「監督に言われたから」ではなくてピッチの中でやっぱりこういう姿勢を出すこと。ゴールは2つ(ファウルとオフサイドで)取り消されましたけど、2回ゴールネットを揺らしました。前向きな姿勢、アグレッシブな姿勢がどれだけ僕らにとって必要なのかを本当に肌で感じてくれたと思います。「どれだけ太い矢印を相手のゴールに向かって出せるか」という勝負でした。今日はそういう意味でも、非常に守備も攻撃も本来僕らがやっていることがきちんとできたと思っています。

――後半戦初勝利となりました。巻き返しへの思いと、サポーターへのメッセージをお願いします。

順位やポイントをだんだん気にする時期にさしかかってきます。ただ、連勝すると順位がガラッと変わるリーグ戦なので、3連勝4連勝とあまり先のことを考えるのではなくて、一つ一つ丁寧に戦っていく。その結果として気がついたら連勝して順位が上の方にいるのが一番いいと思います。自分たちのスタイルををちゃんと貫くことと、対戦相手によって相手の嫌なことをやり切る戦略的な戦いも続ける。そうやって勝点を増やしていきたいと思っています。そういうチームになって、自動的に(J2に)上がれる順位まで最後の最後に上がりたいと思います。