【試合後コメント】霜田 正浩監督 第34節 YS横浜戦 ※無料配信

――試合の総括をお願いします。

非常に難しい試合でした。意図した形で点が取れて、相手に退場者が出て数的優位になりました。本当であれば僕らは同数でもボールを動かして相手を疲れさせて――というサッカーをできますが、システムを変えた影響もあり、どうしてもセーフティになってしまった部分もあると思います。

それでも今日は本当にガマン比べ、とにかく勝点3だけを考えました。2点目を取りに行くのであれば後ろを削って4枚にするという話もありましたし、(相手の)1トップに対して(センターバックが)3人いる必要はないのもセオリーではあります。けれどもそういうセオリー以上に、今日は「無失点で必ず勝つ」というところ。非常にガマンして、ガマンして、それで2点目を取ってくれたので、複数得点の無失点という次に繋がる勝利になったと思います。

これで全然満足はしていないし、僕らはあと4つ勝たなければいけない。こういう難しい試合になっても目標を絶対にぶらさず、勝つことに集中をして勝点を取り続けたいと思います。

――「意図した形で得点が取れた」というお話の部分で、狙いはどのようなものだったでしょうか?

相手のスカウティングをして、自分たちの強みは、パスを出せる選手も裏に走れる選手もいる。相手が前から来るのをひっくり返す。どこでひっくり返すかを前もって練習していました。退場者が出たのは本当に偶然ですけれども、それでも完全に狙った形で裏を取れたので、出し手の(高橋)祥平と裏に走った(安藤)翼が、自分の持ち味を出してくれたと思います。

――その後の試合運びについてはどのように振り返りますか?

11対11でも僕らの意図した攻撃がたくさん今日は出ないかもしれない。それでも先に失点をしない、失点をしない時間帯を長くするということが今日の一つのテーマでした。

先に点が取れたので、10人相手になかなか良い形が作れない、あるいはカウンターを食らってしまうという反省はもちろんありますけど、それでもポストの力を借りたり、みんなでかき出したり、そういうゼロにこだわる、勝点3にこだわる気持ちを出すということが、今日の試合では一番求められたことなので、それをちゃんと完遂してくれたなと思います。

もちろん、もっといい攻めができるし、後ろを削って前を増やせばもっと僕らはボールをしっかり動かせるチームですけれど、今日はそれで起こるリスクすらも取りたくなかったです。

――5バックを継続しましたけれど、少し動きがなくなっている時間帯もありました。

やる前からある程度は予測できたことなので、攻撃に停滞感が出てしまう、ましてや相手が1人少なくなって後ろがボールを持つ時間が長くなって、セーフティにやろうと思えばいくらでもできます。1-0で勝っていて、相手が1人少ない。そういう意味でリスクを冒す、アグレッシブにいく姿勢が少しずつピッチの中で削れていくのは仕方がないと思っていました。

そうなったらそうなったで時計の針を進めるだけだと思っていて、後半から(中村)仁郎を入れましたけれども、ああいうクオリティを持っている選手が最後に精度の高いクロスを入れてくれる。3点、4点、5点と取るのが一番理想的ではありますけど、やっぱりあそこで2点目を取れれば相手はガックリくると思うので、0-0のつもり、11対11のつもりで先制点を取るということだけを考えて、後半は戦い方をそう設定しました。

――前節から先発を5人入れ替えて、並びも変えて勝利となりました。その意味では今後に生まれてくる影響もありますでしょうか?

やってはいけないプレーをやってしまうと、このチームでは試合に出られない。その基準は誰であっても平等だと思っていますので、今日出た選手も前回みたいなミスをすれば、また自分の席を失うかもしれません。

それが開幕5試合目だったら成長させて待つために、ガマンして使うという考えもありますが、もう残りはこの試合数です。勝つことを優先で「選択」と「集中」ということを考えれば、やっぱりチームの勝点を失ってしまうミスをした選手はまた、練習から信頼を勝ち取るようにやってもらえればと思います。

――3枚をキープした理由はお話いただきましたが、それと同時に後半のゲームプランと一緒に入り方のところで(中村)仁郎選手を入れた交代のメッセージはどのようなものだったでしょうか?

どうしても1トップ2シャドーだと攻撃に枚数が少なくなって、菊井も下りてきてゲームを作りたくなります。そうするとセンターフォワードが1人しかいない。でも1人しかいなくても、そこにピンポイントでボールを運べるクオリティ。今日は仁郎の方がそれを出せるだろうと思ったのでクオリティに懸けました。「1本繋げてくれればいい」と思ってその1本が出たので、今日は良かったです。

――従来の霜田監督であれば、序盤に1-0で数的有利となってから、ある程度早く4バックにして早く2点目を取って試合を決めたい、あるいは自分たちでもっと主導権を握ってアグレッシブにやりたいと考えるのではないでしょうか。その中でもガマンしてコントロールする試合運びを選び続けた理由はどんな部分にありますか?

僕のことを知っている方はそう思うだろうなと思いながら試合をやっていました。でも、それで今までどういう結果が出てるのか…ということを考えれば、やはり自分が変わらなければいけない。勝つために自分がいろんなものを捨てなければいけないとか、そういうことも絶対にあると思っています。

「もっと早くからやっておけばよかった」と思われるかもしれません。でも、それでも、このタイミングだからこそ、賭けに出るタイミングだと思っています。

――最終的に何を重んじてこのような選択肢を選んだのでしょうか?

僕はやはり、山雅を昇格させたい。それだけです。自分のやりたいサッカー、自分が求めている理想のサッカーが、山雅が昇格するために一番適してるとずっと思ってやってきて、その中で選手も相当成長してくれました。結果ではなく成果は出ているなと思いますが、やはりこの世界は見える結果が必要です。その結果を出すためにフラットに考え、「どうしたら山雅を昇格させることができるか」。その原点に戻っただけです。

今まで良い試合をやりながらも勝点を落としてきました。今までと同じだと今までと同じ結果に終わってしまうと思ったので、どこかで何かを変える勇気を僕自身が持たなければいけないと思って今日は3バックからスタートしました。