【キャンプレポート】「先に触る」ために アラートさを追求する日々 ※一部無料
第1次串本キャンプ第7日は28日、和歌山県串本町の串本総合運動公園サン・ナンタンランドで午前と午後の2部練習を行った。最終日のトレーニングマッチを控え、この日はセットプレーの練習などを実施。「先に触る」ことを主眼とし、細かな規律とアラートさを求めた。
昨季のセットプレーからの失点は10。全失点数45のうち22.2%だった。このうちポイントはセットプレーから一撃で食らったのは1回だけ――という部分。第14節北九州戦の後半アディショナルタイム、ニアサイドからFW永井龍のヘッドを許したシーンだけだった。FK直接の失点もない。
つまり、残り9回は基本的にこぼれ球などのセカンドプレーから発生してきた。まず最初のボールに対して先に触ることはもちろん、2〜3次攻撃やゴール前の混戦に対しても同様であることが求められる。そのためにはオープンプレーと変わらず、常に頭と身体をアクティブにしておく必要がある。
早川監督は「ボールを触るために、予測して頭が動かないと身体は動かせない。オープンプレーとセットプレーは絶対に繋がっていると思うので、ボールが動く瞬間、相手が触った瞬間にどうなるのか。予測も含めてプレーを止めずにやらせるかどうかは、こちらにかかっている」と力を込める。
つまり、セットプレーの練習だけ警戒を強めようとしても習慣化しづらい。トレーニング全てにおいて日頃から緊張感を持ち、常にアラートな状態を保つ。そうして、シビアな状況で結果を引き寄せるしたたかさを備えた集団に生まれ変わろうとしている。
その根源となるのは「規律と基準」。大卒5年目の野々村は「(ピッチ外の)規律は当たり前のことだし、そういう部分はもうみんな意識してやれてると思う」と話す。菊井も「僕は(流通経済)大学の時にそういうことを求められていたので、あまりストレスは感じていない」という。
そうした日々を丁寧に送っていくための一里塚となるのがこのキャンプ。練習時間はコンパクトでも、強度と集中力を高く保ってアラートさを保つ。それを習慣化させると同時に基準を厳密に運用し、強靭な組織を練り上げていく。それが指揮官の青写真だ。
このほか午前中には、フィジカルのテストも行った。30m走、反復横跳び、シャトルラン、垂直ジャンプの4項目について数値を計測。トップスポンサーのセイコーエプソンが開発した小型GPSデバイス「M-Tracer」を活用したもので、昨季に続き3回目となった。継続的なデータ蓄積をトレーニングに生かしていく。
早川監督と選手2人(大内、菊井)のコメントをお届けする。
早川 知伸監督
――午後はセットプレーの練習を行いましたが、どのようなコンセプトを持っていますか?
当たり前ですが守備だと失点の確率をどう下げるのか。自分たちがボールを相手よりも先に触らないといけないというのは、絶対にあると思います。去年から引き続きやっているところではありますけど、「ファーストボールを絶対に自分たちが触る」というのは変わらずやっていきます。
そこで「絶対に触れよ」で終わらずに、触れているのか、触れていないのかはこちらが言わないといけない。今日も簡単に先に触られていたシーンがあったので、そこは押さえていかないといけません。
最初にどれくらい触らないといけなくて、触ることによってどれだけやられずに済むのか。成功体験も含めてシビアにやっていく必要があります。大事なところ、譲れない部分です。
――セカンドボールで先に触られるパターンもしばしばら見られたことです。日頃からアラートさを保つことによって、そこへの反応も早めたいイメージでしょうか?
その通りです。順番的に言えばボールを触るために、予測して頭が動かないと身体は動かせません。オープンプレーとセットプレーは絶対に繋がっていると思うので、ボールが動く瞬間、相手が触った瞬間にどうなるのか。
予測も含めてプレーを止めずにやらせるかどうかは、こちらにかかっています。そこはオープンプレーもセットプレーも続けてやっていきたいです。
まだまだもっとできると思うし、みんなでアラートに公式戦のようにできると、練習も集中力があって活気のあるものになると思います。セットプレーは特に雰囲気づくりもそうですが、もっとアラートにできることも必要だと思っています。
――明日はアルテリーヴォ和歌山とのトレーニングマッチです。
攻撃の部分もみんなで目を合わせてチャレンジしてほしいところです。ゴールを奪えないと勝てないのは間違いないので、点をどう奪っていくか。自分たちが意図的にできるかにはチャレンジしたいと思っています。
もちろん攻撃だけではないし、攻撃して取られるけど即時奪回して、すぐにゴールに向かってショートカウンターとか。「もう一回押し込む」ことを繰り返しできるのを望んでいます。