取材日：2016年6月9日

和也　記念すべき第50回目となる今回の対談は、柴田隆太朗選手がゲストです。大卒で山雅にやってきて２年目。４月に両膝を手術して、現在は別メニューでリハビリに取り組む日々を送っています。どんな思いで苦しい日々を過ごしてきたのか、そしてチームで一番の「イジられキャラ」として最近はどんなイジられ方をしたのか。その辺りを聞いていきたいと思います。よろしくね！

柴田　よろしくお願いします！

和也　まず膝の調子はどう？

４月に両膝を手術 順調に回復中

柴田　回復状況は順調です！内視鏡手術だったのでそんなに負担をかけずに済んだというのも大きかったですね。それに右はもともと悪かったんで、今回で３回目なんです。半月板と軟骨。で左は軟骨。両方軟骨ですね。

和也　俺も両脚の膝を手術して前十字もやっているし半月板も軟骨もいろいろやってきたからわかるけど…。でも両脚一気に、っていうのは生活するのにもつらかったんじゃない？

柴田　そうですね。普通に練習をしていたんですけど痛いなあ…と。そのうちに階段上るのも痛くなってきて「おかしいな」と思っていて病院に行って診断してもらいました。

和也　徐々に痛くなってきたの？

柴田　右はずっと悪くて痛かったんですよ。それをかばってなのか、今度は左も痛くなってきて。それで両脚を同時にやることになりました。

和也　軟骨って、手術をしたから治るってわけでもなくない？

柴田　そうなんです…「多分、完治はしない」って言われました。

和也　俺も言われたもん。でも痛いから「何かしないと」って気持ちになるんだよね。それで踏み切ったわけだ。

柴田　そうですね。４月25日に手術して、その後は10日くらい入院していましたね。手術して３日目くらいから「足をついていいよ」と言われたので、そこからは松葉杖で生活していました。

和也　両脚だと大変だし、筋力も落ちちゃう感じがしない？

柴田　だいぶ落ちている感じはします、自分でも。

和也　じゃあ今は必死に筋力を戻しているんだね。

柴田　最近は下半身（のトレーニング）をようやくできるようになったので、まずはそれをやっています。軽くローパワーくらいなら走れるので走ってもいますね。

和也　サッカーやりたいよね？ウズウズしてこない？

柴田　本当にそうです。やりたいです。ケガをして、普通にサッカーができる幸せというのをより強く感じるようになりました。

和也　それ以前にケガはあったの？

柴田　大学時代に右膝を２回手術したことがありますけど、それ以外はケガすらなかったですね。右膝は気付いたら痛くなっていて。でも何をやって痛くなったのか、よくわからないままだったんですよね。

和也　キツい練習をした時とかかな？でも常にキツいか…（笑）。いずれにしても、付き合っていくしかないね。まだわからないってことだよね、やってみないと痛みが取れているかどうなのか。

柴田　そうなんです。大学時代に１回右膝の手術に失敗して、復帰しないままもう１回手術したという経過もあるんで、ちょっと怖いんですよね。まだちょっとしか走っていないですし。

和也　俺も半月板やったときに「よくなってるのかな？」って心配だったもん。

柴田　まさに今その段階です。大丈夫なのかなと。

和也　１回失敗していると余計に心配だよね…？

柴田　怖さがありますし、危機感もすごく感じますね。でもやらなきゃいけないので頑張ります！

免許を取って念願の車を購入 しかし…

和也　その調子でコツコツとリハビリ頑張ってね！…って、そういえば車を買ったらしいじゃん？車ないとこっちじゃ生活できないもんね。

柴田　４月に買いました。（今まで乗せてくれていた）谷奥がアスルクラロ沼津に行って、いなくなっちゃったんで…（笑）。

和也　って、谷奥がいないから買ったの？

柴田　いやいや、３月の終わりにやっと免許を取れたんですよ。だからもう、取れたらすぐ買うって決めていたんで速攻で買いました。

和也　何を買いたいのかとか、車種は決めてたの？

柴田　決めてました。デカい四駆です！…もう早速擦っちゃいましたけど（笑）。

和也　…で、最近はその車がイジられているって聞いたけど？

柴田　そうなんです。ヒロさん（高崎）とか（工藤）浩平さんとかが、山雅の「One soul」のシールとかマグネットとかを知らないうちに僕の車に勝手に貼ってました…。ハセさん（広報・長谷川）に言って、こっそり入手してたっぽいんですよ。しかもそれ、はがれないんですよ！（笑）。

和也　ハセも共犯なのか（笑）。

柴田　シールははがれないけどマグネットは取ろうと思えば取れるんです。でもなんか、取ったら「申し訳ないな」って思っちゃう部分もあるんですよ。一式そろえるのにまあまあお金かかっているらしいし、それを考えたら逆に外せないな…と（笑）。

長谷川　ちなみに、全部で15,000円くらいです（笑）。

和也　すごいな（笑）。どんななの？

柴田　「One Soul」のステッカーがリアガラスの上に貼ってあって、運転席側のバイザーのところに「新・起動」ってシールがあります。で、屋根にも「One Soul」があって、上空からは見えると思います（笑）。あとは「Supporter in Car」って書いてあるカーサインも内側にありまして…。

和也　ヤバいねこれ、完全にサポーターの車じゃん（笑）。でもまあ、立場は違うけど山雅が好きなわけだからアリだしイジられてオイシイだろうし、誇りを持っているんじゃないの？

柴田　そうですね、そんな感じです（笑）。

和也　これ自体はすごいいいけど、選手が貼っているっていうのが斬新で、おかしくてしょうがないよ（笑）。

柴田　でもこれ、まさか選手が乗っているって誰も思わないじゃないですか。普通なら「すごいサポーターが乗っているんだな」って見られますよね。

和也　だね…。ヤバいこれ、ツボだわ。涙出るくらい笑っちゃうよ。こんなに笑ったの久しぶりなんだけど（笑）。

柴田　よかったッス（笑）。

和也　それをはがさない、っていうのもチーム内での自分の立ち位置をちゃんとわかってるよね。

柴田　それはもう、はがさないです。

和也　こんなにベタベタ貼っていて話しかけられるとかないの？ノーマーク？

柴田　本当にノーマークです、逆に。全然大丈夫です（笑）。

和也　でもまあ、これをやろうっていう発想を持った高崎とか浩平の悪ガキっぷりが面白いね。さすがにイジられキャラがいても、なかなかそこまで考えることはないからなあ。例えばワイバー立てておくくらいの軽いイタズラはあるかもしれないけど、そんなのかわいすぎるね、そこまで行くと。シールを無理やりはがしたら跡が残るし…（笑）。

柴田　タトゥーみたいなもんで、１回貼ったらもう取れないよっていう。

和也　テレビの企画とかなら保障されてるのかもしれないけど、これは何もないもんね（笑）。これ、やられて「オイシイな」と思ったの？

柴田　いや、最初は「マジかよ…」と思いましたよ。どうするのコレ？って（笑）。

和也　彼らからしたら「はがれない」って下調べをした上でやるんだもんね。だとしたら、例えば車が本当に好きな飯田が大事にしている高級外車とかにやったら収拾つかなくなるわけじゃん（笑）。ずっと欲しかった車をようやく買えたわけなのに、そのへんは大丈夫だったの？さすがにちょっとはイラッとした？

柴田　いや、ホントに特にイラッとはしなかったですね。というのも、前々から軽くジャブは入れられていたんですよ。「車を買ったら覚えとけよ？」みたいな。なので「何かをされるんだろうな…」という心の準備はしていたんです。

和也　とはいえ、その発想はアッパレだよ（笑）。ある意味歴史に名を刻んだよね。選手でそれを貼るっていう。

柴田　試合後にアルウィンから帰るときとか、すっごく恥ずかしいですけどね（笑）。サポーターもいっぱいいる中で、この車で出て行くわけじゃないですか。「コイツ何やってんだ？」って絶対思われているハズなんですよね…。

和也　この仕上がりだと、サポーターの中でも結構コアな部類だもんね？

柴田　そうなんです。しかもそれを自分でやったんじゃないかと思われるのが怖くて。「自分で貼ってるの？」みたいな。中には、運転しているのが自分だって気付いて「あー…」みたいな顔をする人もいますし（笑）。

和也　いやいや、好感度は上がると思うよ？

柴田　そうですかね、「コイツ何やってんの？」みたいになりませんかね…。

和也　山雅のサポーターを見ている限りだと「シバリュー応援したくなっちゃうね」っていう方が強いと思うよ（笑）。

柴田　でも嬉しいっすけど恥ずかしいっすよね。やっぱ（笑）。

「イジられキャラ」唯一無二の存在目指す

和也　そんなサポーター仕様の車に乗っているシバリューが試合に出る日が早く来てほしいね！そうしたら一気に中心選手になると思うよ？サポーターからの扱いとか。だって、たとえ自分で貼らなかったにしても、「はがさない」っていうのは自分で決めたことだからね。それだけ山雅に思い入れを持ってやってくれているんだ、っていう。

…って、キリがないからサッカーの話をしようか。まずは膝を治してからだとして、去年までとは違う今季のチームはシバリューの立場からどう見えているの？

柴田　そうですね。見ているだけですごく勉強になるっていうか…

和也　…（笑）。

柴田　…大丈夫ですか？結構マジメに話してたんですけど（笑）。

和也　ゴメン、どうしてもさっきの写真が浮かんできちゃって…（笑）。

柴田　よかったッス（笑）。

和也　ゴメンゴメン、思い出さないようにしておくから。

柴田　で、すごく勉強になっています。

和也　自分が試合に出ているイメージとかも持ちながら見ているんでしょ？

柴田　そうですね、「自分だったらこうするな」という意識を持ちながら見るようにしています。

和也　そうすると今のチームにいいイメージができると思うしね。自分のやりたいこととか、ここに入ってこうしたいなとか思う部分はある？

柴田　あります。ケガをして戦列を離れてから、特にそれを強く感じるようになりましたね。

和也　また試合に入ってそういうのを感じたいってことだね。

柴田　はい、出たいです！

和也　やってみないとわからない状態だとは思うけど、まずは出られるようにケガを治して頑張ってね！…あとはあのステッカーだらけの車で走り回って、山雅のアピールもちゃんとしつつね（笑）。でもこれほんとスゴいよ。プロサッカー選手の中でも唯一じゃない？

柴田　絶対いないと思いますよ（笑）。

和也　逆に誇れるよね。唯一無二だと思うから、それは貼っておいたほうがいいと思うよ。でもまあこんな強めにイジられるのも珍しいよね。山雅に来るずっと前からイジられキャラだったの？

柴田　いや、小学校時代までは結構「オラオラ系」だったんです。でも中学に入って気がついたら、めちゃめちゃイジられキャラになってました（笑）。

和也　そういう扱いをされることに対しては違和感もなかったんだ？

柴田　そうですね、全然苦じゃないです。むしろ「ありがとうございます」的な。欲しがりますんで、何やっても大丈夫です（笑）。

和也　新体制発表会とか公の場でもそういうキャラが定着してきたってことで、サポーターからもイジられたりするの？

柴田　あ、そうですね。結構ムチャ振りをされます。いきなり「グラウンド小さくない？」みたいな（笑）。

和也　どうするの？そしたら。

柴田　ちゃんとやります。「顔がデカいからや！」って（笑）。

和也　もうお笑い芸人だね（笑）。試合に出るようになってもそこは変わらずにいてほしいね。でもそういう選手が試合でも存在感を出してくると、山雅に対してもっと親近感を持ってもらえるかもしれないし。ちなみにヤマ（山本）もイジられキャラだけど「より自分の方がイジられたい」っていうライバル意識みたいなのはあるの？

柴田　他の人がイジられていると、「…オレは？」みたいな感じで顔に出ちゃうらしいんですよね。欲しがるんです（笑）。なのでそれに気付いた誰かがこっちに振ってくれます。

和也　そこまでイジられたい人も珍しいよね。チームの中でも貴重なキャラクターだし、所属チームのステッカーを車にベタベタ貼っているプロ選手という意味でも貴重。これからはピッチの中でもオンリーワンになれるように頑張ってね！

柴田　ありがとうございます！

和也　ということでファッションチェックだけど。私服はどうですか？

柴田　…どうですか、と言いますと？（笑）

和也　コンセプトとか、どこで買ってるのかとか。

柴田　東京で買うことが多いですね。シンプルなのが好きです。

和也　うん、じゃあオシャレも頑張って！

柴田　…えっ、他の人に比べてちょっと雑じゃないですか？

和也　…そう？じゃあ靴。変わった感じだけど。

柴田　夏をイメージして、涼しげなヤツにしました！

和也　何か…うん、いいじゃん？

柴田　やっぱり雑ですよね。本当にそう思ってます？

和也　思ってる思ってる。じゃあ時間も押してるしこの辺で！

柴田　……。

構成／大枝 令