【イベントレポート】新加入選手・スタッフ発表会見@ザ・ブライトガーデン ※無料配信

取材日:2017年1月14日

「J1仕様」へ 苦戦の中でも着実な補強

2017シーズンのトップチーム新加入選手・新スタッフの発表記者会見が14日、松本市のザ・ブライトガーデンで開かれた。今季から仲間入りする選手10人、コーチ3人らが出席。公募から抽選で選ばれたサポーター100人も見守る中、それぞれに意気込みや決意などを語った。

event0114_1

会見は3部構成。まず一般非公開の第1部では、トップチーム編成のコンセプトなどについて加藤善之副社長が「J1仕様」「競争力」「新陳代謝」の3項目をキーワードに挙げて説明。「J1で戦える選手をターゲットにアプローチし、相応の選手に来てもらえたと思っている。長丁場のシーズンは11人だけではなくチーム全体の総合力で戦っていかないと安定した力を発揮できない」などと話し、「(新陳代謝については)誤解されやすいが、力のあるベテラン選手がいるうちに若い選手を引き上げていきたいということ」とした。

昨季J1昇格プレーオフにもつれた末にJ2残留となったことにも触れ、「編成が遅れたということはない」と強調。その半面「やはりJ1かJ2かという中でチームの事情や選手の考え方の面が契約にも影響してくることが多く、非常に苦戦をした年でもあった。今までにはないような状況だった」とも明かした。

event0114_2

このほか新たにフィジオセラピスト(理学療法士)に中條智志氏を迎えたことついては、南省吾テクニカルダイレクターが「昨年はケガ人が少し多かったということを踏まえ、ドクターからの提案もあって採用した。フィジカルコーチとトレーナーの間を担うような形になる」などと説明した。

event0114_14

公開された第2部は新スタッフのうち石丸清隆コーチ、貝﨑佳祐コーチ、古邊考功フィジカルコーチが登場。石丸コーチは「山雅で仕事ができることは大変光栄。J1昇格に向かって監督と選手をサポートしていきたい。アルウィンは他のアウェーとは全く違う戦いにくさがあったが、味方として後押しをしてくれるのは非常に心強い。ボールを持ちながらのゲームコントロールが少し課題かなと感じている部分もあり、上乗せしていければもう少し魅力のあるものができるのではないか思っている」。古邊フィジカルコーチは、昨季まで5年間務めた前任のエルシオ氏に触れ「エルシオさんは僕の師匠。後を継ぐのは大事な役割だと思うが、反町監督をサポートしてJ1昇格に向けて歩んでいきたい。シーズンを通してなるべくけが人を出さないようコミュニケーションを取りながらやっていければ」と力を込めた。

2013〜15年に山雅のテクニカルコーチを務めた貝﨑コーチは、筑波大大学院を修了して2年ぶりの復帰。「僕を応援してください」と会場を和ませ、「去年はサポーターとして全力で山雅を応援していた。勝つことにこだわって1年間選手などに働きかけをしていきたい」と話した。

新戦力10人 それぞれに熱い決意を語る

第3部では新加入選手10人が勢ぞろいし、それぞれ自らの持ち味や意気込みなどを披露した。

event0114_3

村山智彦

湘南から2年ぶりの復帰となる村山智彦は「いろんな人がいろんなことを思って迎えてくださったのは重々承知している。最後に昇格してみんなで笑顔で終われる1年にしたいので、結果にこだわっていきたい」。昨季まで鐡戸がつけていた背番号「16」を受け継ぐことについては「山雅をある程度知っている選手につけてほしいという話を(クラブ側に)頂いたのですごく悩んだし、勝手につけられる背番号ではない。鐡ちゃんにも相談して、快く『いいよ』と言って頂けた。ミスター山雅と呼ばれる男の背番号を汚さぬよう一生懸命やろうという決意を持った」と明かした。

event0114_5

藤嶋栄介

event0114_8

ゴ ドンミン

GKは4人中3人が新加入。鳥栖から期限付き移籍の藤嶋栄介は「この街とこのチームとともに成長したいと思って決断した。ストロングポイントは身体能力を生かしたゴールキーピング。見た目は怖いが(実際は)そんなに怖くないので、どんどん話しかけてほしい」とあいさつ。高卒ルーキーの韓国人ゴ ドンミンは「サポーターの皆さんがすごいという話を韓国で聞いていて、実際に観戦したら感動して絶対に来たいと思った。一番若いので一生懸命頑張ります」と話した。

event0114_7

ヨ ソンヘ

event0114_11

橋内優也

DF登録は4人で、このうちセンターバックはヨ ソンヘと橋内優也。鳥栖で5年間プレーして母国から再び来日したヨ ソンヘは「チームもサポーターも熱意がすごい。違う面で成長ができると思って(移籍を)決断した。昨季はケガが多かったので、今年はケガなしでチームに貢献して昇格できれば」と話し、徳島から加入した橋内は「昨シーズンは(個人として)伸びたと思っているが、トレーニングの厳しい松本でまだまだ伸びると思う。目標は昇格以外ないので、そのために普段からできることをやる」と決意を述べた。

event0114_12

星原健太

event0114_9

ジエゴ

サイドは右に星原健太、左にはジエゴを補強。J3降格の北九州で右サイドバックを務めていた星原は「自分のアシストがもっとあれば(J2に)残留できたはず。ストロングポイントは攻守のスピードで、練習から全力でやって試合でも出し切れるように頑張りたい」などと語り、初めて母国を出てプレーするジエゴは「海外でプレーするのが夢だったし、松本山雅の噂は聞いていて良いイメージしかなかったので決めた。ストロングポイントは1対1の強さとスピード。松本山雅の皆さんを笑顔にさせるために一生懸命頑張る」と話した。

event0114_4

岡本知剛

event0114_10

セルジーニョ

MFはボランチに岡本知剛、2列目にセルジーニョを迎えた。鳥栖、広島でJ1に76試合出場した岡本は「中盤でゲームをスムーズにし、皆さんが見ていて楽しめるような舵取りをできれば。昇格の力になれるよう日々何ができるか考えながら過ごしたい」、166センチと小柄ながらテクニックとシュート力を兼備するセルジーニョは「日本でプレーするのは子どもの頃からの夢。2016年は本当にいい年だったが、17年をもっといい年にできるよう早く日本に慣れたい」といい、サポーターへ日本語で「ともにJ1に行きましょう」と呼び掛けた。

event0114_6

岡佳樹

FWは唯一の大卒ルーキーとなる岡佳樹。緊張の面持ちだったが「すごいサポーターの方々がいるチームで活躍して声援を浴びてみたかった。開幕戦からしっかり試合に絡み、出た試合で点を取ることを目標に頑張りたい」などと初々しく意欲を語っていた。

チームは15日に初練習を行い、22日の新体制発表会を経て24日からキャンプを張る。当サイトではキャンプ全日程密着レポート、新加入選手紹介などのコンテンツを随時展開していく予定。

編集長 大枝 令 (フリーライター)

1978年、東京都出身。早大卒後の2005年に長野日報社に入社し、08年からスポーツ専属担当。松本山雅FCの取材を09年から継続的に行ってきたほか、並行して県内アマチュアスポーツも幅広くカバーしてきた。15年6月に退職してフリーランスのスポーツライターに。以降は中信地方に拠点を置き、松本山雅FCを中心に取材活動を続けている。