コラソン試合レポート 第12節 ヴィッセル神戸戦

ゴールデンウィークの連戦も終わり1週間準備して臨むヴィッセル神戸戦。

ヴィッセル神戸と言えば2年前J237節アウェイで07という屈辱的敗戦を喫した相手である。僕も出場はしなかったが、ベンチからその悔しい思いを味わった。

当然その日ピッチに立っていた選手にとってはリベンジの気持ちは言うまでもないだろう。

今日のメンバー表に目を移すと、当時山雅を苦しめた神戸の小川。そして何よりも司令塔の森岡が怪我から復帰してスタメンに名を連ねた。

独特のパスセンスを持ち、常に正確なスルーパスを繰り出す彼には注意が必要だろう。しかし、神戸は得点源のマルキーニョスを始めペドロジュニオール、相馬。、安田など主力をけが人で欠いている。

一方山雅は連戦で疲れの見えた選手もスタメンに戻り現状のベストと言える布陣で臨んだ。前節の鳥栖戦は試合終了間際で追いつかれただけに絶対勝つという選手の気持ちとサポーターの思いがあふれるホームアルウインでのリベンジマッチが始まった。

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その思いが積極的な立ち上がりを生む。まずは3分。ボールを受けた岩上が迷わずミドルシュートを放つと、6分には前節の得点シーン同様ハーフライン付近のFKを岩上が横にいた喜山にパスすると左足で正確なロングボールをゴール前へ、飯田がヘディングする振りをして技ありのスルーをすると後ろから走り込んだ田中が右足でクロスボールを送る。

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そこに待っていたオビナが完璧なヘディングシュートを放つがゴールカバーに入っていた神戸の北本のカバーでクリアされてしまう。

「セットプレーも岩上や喜山が工夫してやれている」と反町監督が言う通り、前節につづいて工夫したセットプレーで決定機を作った。

しかし、10分を過ぎてから森岡を中心とした神戸にボールを回される時間が続くと13分には渡邊のミドルシュート。

17分にも森岡の縦パスからフェフージンが落としてフリーになった小川シュートを打たれるがシュートは枠を外れる。

続く23分、前半ロスタイムにも森岡のスルーパスから小川という神戸のホットラインで決定機を作られるが、いずれもGK村山がビックセーブで防いだ。

前半チャンスは作られたものの粘り強く守り0-0で終えると迎えた後半。

立ち上がりから輝きを放ったのがギンギラギン前田。

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ボールを触る回数が増えると、得意のドリブルでゴール前で2回のファウルを誘発すると51分には左サイドでボールを持つとPA内でドリブル。倒されあわやペナルティキックか!と言う場面を作り出し、ホームのサポーターの前で明らかにギアチェンジすると、

61分。相手のクロスボールをキャッチした村山が矢のようなスローイングで、ハーフライン付近にいたオビナの足元に。そこでオビナが倒されFK

そのフリーキックを長いボールを警戒していた神戸の布陣を見ると喜山が横にいた田中にパス。そこからスペースに流れた前田にボールを流し込むと、ギンギラギンドリブル発動。キレキレのフェイントで相手ディフェンスを外すと「居残り練習で1人かわしてシュートというのをしていたのでイメージはあった」と言う前田が左足を振り抜く。

相手の股間を通ったボールがゴールネットを揺らした。

このゴール前半も同じ様な所からのフリーキックがあり決定機を作ったがピッチにいる選手が相手を見て、相手の嫌なことをする。

普通得点になるような位置ではないFKを工夫することで、得点にしてしまう。今の山雅は相手が研究してきてもその上をいく「頭の良さ」の出た得点だった。

そして何よりも「監督人生で得点を取った時選手と抱き合ったのは1回か2回しかない」

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と反町監督が駆け寄ってきた前田と抱き合った。確かに僕も3年間反町監督と仕事してきたが選手と抱き合ってるのを初めて見た。

それくらい反町監督にとっても嬉しいゴールだったのだろう。

更に畳みかける山雅は65分。神戸からボールを奪い岩間から前田、田中、喜山、岩上、再び岩間にボールが入るとスペースに走り込んだ岩上に浮き球のスルーパス。

ワントラップして相手をかわすと狙いすましたシュートで決定機を作るが惜しくもゴール右に外れる。

その後も神戸の攻撃を落ち着いて凌ぐと、後半ロスタイム。

ハーフライン付近で神戸ディフェンダーからからボールを奪ったオビナが独走しキーパーと11に。シュートを打つかと思いきや左から走り込んだ阿部に優しいパスでお膳立て。

これを阿部が落ち着いてゴールに流し込み2-0。歓喜に包まれながら試合終了。

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この2点目誰もがオビナがシュートを打つと思ったに違いない。しかし「チームが勝つために、自分の得点よりもゴールの確立の高い選択をした。阿部は試合でも頑張っていたし、得点に値する選手だから」とその場面を振り返ってくれたオビナ。

この言葉が今の山雅のチームワークを物語っている。

パワーアップした山雅が成長を見せつけ2年前の0-7と言う屈辱のリベンジを果たした。

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飯尾和也

文章:コラソン 飯尾 和也

元 松本山雅FC センターバック。
ヴェルディ川崎、ベガルタ仙台、サガン鳥栖、横浜FCなどでのプレーを経て、2011年 松本山雅FCへ加入。松本山雅FCのJFL→J2→J1昇格へ貢献し、2014年シーズン終了後引退。 現在はメンタルサロン コラソンの代表を務める傍ら、講演会等も行っている。
Jリーグ通算311試合出場
U-16、U-18、U-19日本代表