【試合後コメント】名波 浩監督 第37節 町田戦※無料配信

――まずは試合の総括を。

後半のウォーターブレイクまで0-0で行ければ一番良かったですし、後半の2トップもしくはセルジーニョも含めて、0-0の状況からパワーを持って起用したかったと思います。伊藤にしてもセルジーニョにしても足に不安を抱えていたので、頭からよりも途中から、ビハインドではなくて0-0の状況で送り込みたかったのが残念なところです。前半の立ち上がりから相手に背後や前に来られて、遊びのないチームなのでタッチ数の少ないまま人数をかけられて、後ろに重くなるという前に戻らなければいけないという判断しかできないような状況を作らせてしまったのは、1失点目や2失点目に繋がったと思います。

自分たちが前がかりになろうと守備でスタートポジションのブロックを作った、もしくは作ろうとした時に背後をつかれるシーンが何回かあって、結局ボールホルダーに行けていない状況で、前がかりに行こうと思っても全部ひっくり返されるだけで、そのあたりの判断が少し鈍かったです。2失点目のように自分たちのミスから相手の体重がグッと前になることが多々あったので、もう少し粘り気のある守備をしたかったと思います。60分すぎから特に相手のボランチエリアがだいぶパワーダウンしてくるのは分かっていましたが、そこまでにスコアがビハインドだったので、難しいゲームになってしまいました。そこからの30分は相手が疲れたのもあって、互角の戦いができたと思います。相手のほうがゴールに向かおうとする選手やボールが非常に多かったと思いますし、我々としては時間をかけずにシンプルなプレーからサイド。小手川から榎本に行った1点返したシーンのようなタイミングで、シンプルに使うということをもう少しやりきらないと、手数をかければかけるほど難しくなります。

得点が取れていないとか、ミスの多いゲームになると、手数をかければかけるほどセーフティを選んでしまう状況に陥ります。もっとシンプルに相手ゴールまで向かえれば良かったと思います。次節の新潟もシステムはそこまで変わらず、やっているサッカーもシンプルに前へボールを繋ぎながらフィニッシュに持ってきて、シュートの意識も非常に高い。今日を教訓として、2連戦はアウェイでしたが移動も含めて選手たちはいつも以上に体も投げ出していましたし、ピッチの中でも良くコミュニケーションは取れています。良いものはしっかりと残しながら、フィードバックしなければいけない課題はしっかりと取り組みながら、次節を含めた残り5試合に臨みたいと思います。

――1失点目と2失点目は、いずれも前後半の立ち上がりでしたが、入り方については。

ゲームの入り自体は、試合前にも押し込まれる時間が長いはずだと伝えていたので、メンタル的にもそういうメンタルになったと思います。奪った後のロングボールがほとんどCBに弾かれてしまうような、相手をひっくり返すというよりも前向きに弾かれてしまうようなボールが特に常田サイドは多かったです。

あそこで背後をついたり、タッチラインを割ってGKにバックパスさせるシチュエーションでもう一回リセットするという、技術うんぬんもそうかもしれないですが、心構えが足りなかったと思います。余計に今度は相手がパワーを持って入ってきたり、自由な立ち位置で前残りの両アウトサイドに対して気になりすぎて、前に出ていけない状況になってしまいました。特に捕まえづらい太田と平戸のところで背後をつかれてしまったと思います。

――後半から伊藤選手と榎本選手を入れましたが、その狙いと2得点した榎本選手の評価は。

(鈴木)国友も(山口)一真ももっとアクティブに、ダイナミックに動いてくれたり、もっとボールサイドを受けにきてポゼッションの手助けをしてほしいと思っていました。特に1トップ2シャドーの時は2人ともそういうシーンがなかったですし、2トップにしても動く幅も距離も小さかったです。相手のセンターバックの2人がそんなに動き出さなくても良かったシーンがあったり、高江と佐野の両ボランチがサイドバックの背後までケアしていたので、センターバックの真ん中が動かなくても楽に対応できてしまっていました。シュートシーンも0でしたし、深い位置に入ったのも無理やりのクロスくらいだったと思います。それに引き替えて後半はロストも少しありましたが、榎本にしても伊藤にしても良い関係性と距離感を保てていたと思います。

ダイナミックに動いて、ラフなボールに対してもアグレッシブに、球際や空中戦を戦うという気持ちの入ったプレーが連続してありました。榎本に関してはずっと状態の良い中で、金沢戦で点を取って、その後にアシストもしていましたが、シュートに入れていないという課題が本人の中であったと感じます。シュートで終わるという意味では、1点目は切り返した後に良く自分でねじ込んだと思います。2点目は町田が榎本のヘディングのクオリティを少し軽く見ていたような気もします。

――5連敗で下を向いてもおかしくない状況ですが、試合後には選手たちにどのような言葉をかけましたか。

とにかくサポーターに挨拶に行く時も下を向くなと言いました。良い戦い方ができたかどうかと言えばクエスチョンですが、下を向いたまま2、3日過ごしてゲームとなれば、どよんとしたまま18人でウォームアップしてゲームに入ってしまいます。またいつもの感じで先に取られてから目を覚ます形になってしまうと思うので、そうならないように前を向こうということです。松本に帰るまで、そして帰ってからもコンディション調整や体のケアはしていこうと伝えました。

――チームとして怪我人も多くてフィジカルの状態が上がらず、相手のほうが動き出しが早いことが多いように感じます。今日も前半はそのように見えましたが、フィジカルの状態を鍛えられていない状況については。

もどかしさはもちろんあります。遠野キャンプから秋田戦まで1週間くらいが、唯一まとまって体を鍛えられた時でした。そこしかできなかったのは残念だと思いますが、怪我人が多く出てしまったり、毎節のように90分プレーできるような状態ではない選手が出てきてしまうのは、マネジメントとしては難しくなるのが当たり前だと思います。

試合に終わった後、選手たちには相手のほうが完成度が高く、選択もいつも前に持っていて、リスクを犯す、リスクを管理するというジャッジも正しいプレーが多かったと伝えました。ただ、それは自分たちもやれるはず。今の状態でそれを求める必要性は全くないですが、走ったり球際で行き切ったり、ボールを追いかけたりという当たり前のところが、60分までの町田と我々の差が圧倒的にあったと思います。

アクションだろうがリアクションだろうが走り切らなければいけないですし、悪いところは中でコミュニケーションを取って修正しなければいけません。そういうところの差を痛感したゲームだったので、やれることをしっかりとやっていこうと伝えました。