【試合後コメント】名波 浩監督 第38節 新潟戦※無料配信

■名波浩監督記者会見のコメント

――まずは試合の総括を。

ゲームプランとして、相手はボールを握って、センターバックと中央のところでポゼッション能力が非常に高い。その中で縦パス、特に角度のある縦パスが一番怖かったので、佐藤をアンカーに置いて両脇のケアと、出されても外に追い出すということを徹底しようという中でゲームに入りました。先制したことによって自分たちが自信を持って守ること、奪いに行くことをやろうという概念はあったのではないかと思います。ただ、時間とともに前向きで守備して寄せてくるプレッシャーに引っ掛けるシーンが多くなって、なかなかアタッカー陣までボールが行きませんでした。

町田戦もそうでしたが、最終ラインの千葉(和彦)と舞行龍(ジェームズ)をひっくり返す回数が徐々に減っていく中で、後ろに重くなってきました。5バック、1アンカーは破綻はしていないかもしれないですが、まだまだボールアプローチやコース限定が甘くてピンチになりかけたシーンもたくさんもありました。それが最終的に失点にも繋がってしまって、あのあたりは苦しい時間だったと思います。

(榎本)樹の足がつったので、2人交代のところを3人一気に替えて、前線にパワーを持たせようとしました。そこもキックオフして10分くらいと同じ強度にはならなかったので、相手にとってそんなに怖い形は作れなかったと思います。ただ、最後の阪野のヘディングシュートや、セットプレーのこぼれ球から(田中)パウロが2本打ったりと、決め切るチャンスがなかったわけではないです。そのあたりはしっかりと練習からやりたいですし、5連敗で選手たちは相当こたえていましたが、それが止まったという一つの区切りと、まだ3ポイント取れていないということによってまた執着心が生まれるゲームになったのではないかと思います。

最後に選手たちに言ったのは、まだまだ追える立場ですし、諦めるつもりも全くないですし、一番下から這い上がる姿を山雅サポーターに見せていこうというところです。

――粘り強く戦って最低限の勝ち点1という結果については。

最低限という表現が合っているかどうかで言えば、連敗中のチームで、ほとんど先に点を取られているようなゲーム内容の中で、いろいろなものを見つめ直すゲームになるのではないかと思っていたところと、なったのではないかと思います。一つはラインを3メートル下げたと言うところ。これが5メートrでも8メートルでもない微妙な距離ですが、それだけ自分たちの背後に出た時のスタートラインをしっかりと認識しようと。横並列ではなく、ビハインドで追いかけるわけでもなく、自分たちで優位性を持って追いかけていこうという中で、3人の若いセンターバックたちはよく規律を守ってやっていたと思います。

河合とセルジーニョの守備の負担が多くなってきて、本人たちもボールを触れなかったり、前向きな時に自分が顔を出せなかったり、もっと言うとセカンドボールに行けなかったりというところがあったと思います。それでも選手たちがピッチの中で声を掛け合ってサボらせないようにしたと思いますし、集中力を切らさないようにしていました。それがまとまったゲームになった要因だと思います。内容自体は不細工なところも多々あって、もっとつなげただろうし、もっと背後の意識も持てただろうし、そういう数が増えてこないとずっと閉じこもったサッカーになってしまうので、大いに反省しなければいけないです。(ただ、この勝ち点1は)マイナスではないと思います。

――今までの試合では、失点した後に気持ちが落ちてしまうことがありましたが、きょうはそうならなかったと思います。チームとして戦う姿勢が共有できていたと感じますか?

特にスタメンに送り出した11人は、球際も戦える11人ということを考えながら送り出しました。そこが足りなくてこういう状況になっているのかと言えば、そこだけではもちろんないですが、サポーターに一番分かりやすいのは球際や走り切ること、声をかけることだと思います。そういうところを前面に出しながら、コンセプト通り90分間戦おうというところでした。

――勝ち点1から3にするために足りなかったところは。

2点目を取るチャンスが、特に榎本の切り返したシーンですが、前半にありました。ああいうところで決めておけば自信の増幅は多大だったと思います。チーム全体、18人以外を含めたモチベーションを上げるという意味でも、2点差をつけるというのは大事だったと感じます。

――ラインを3メートル下げたというのは、細かな上げ下げでは対応することが難しく、後ろから構えることで失点しないことを大事にしていたのでしょうか。

クリアや自分たちが前に体重がかかった時に、(センターバックの3人が)距離を少し縮めたままスッと上がっていくことと、もしくは広がっているところを縮める努力をしながら上げていくこと。例えば宮部が出た時に1人いなくて、野々村と常田になったときにも2人がくっつきながら、外山も寄ってくるような意識を持たせるという意味では、言葉を悪く言えば適当な感じで上げようと認識している、若さ溢れるラインコントロールがずっと続いていました。そのあたりはバッドシーンとして(試合の振り返りでも)出していますが、今は上げなくても良いとか、センターバック間の横の距離の重要性をみんなが認識して、やっとできたと思います。

まだまだ両ウイングバックも含めてとぼけていたタイミングもありますが、前半は集中してそれができたと思います。声かけの中でもチャレンジ&カバーで、3バックがキュッとなった中でチャレンジして、カバーしてというシーンがありました。それが増えてくれば圍がボールを触る回数も減ってくる。もしくは相手のロングシュートの意識が強くなって、無理に打ってくるのではないかと感じました。

――ラインが下がった中でも3バックの両脇は相手が背中を向けた時にアプローチに行っていました。縦ずれしてサイドで取り切るシーンも出ていて、球際という部分では3連戦の中で大きな改善があったと思います。これを残り4試合でもベースにしていくことが、勝ち点3を残留に繋がるのでしょうか。

相手のやり方や選手の特徴が違ったりするので、一概には言えないですが、それをコンセプトに高い位置からアプローチに行って、ギュッとなったところで取り切る。もしくはサイドを変えられたらガッと帰陣して、コースを限定してそのままもう変えさせないというところを徹底していく中で、空いたままの状況で走られたり使われたりして、それが失点に直結してしまったゲームが何回かありました。

トレーニングはもちろんやっていますし、こちらから提示しているところもありますが、ゲームは生きたものなので、ボールが動いていたり、人がサボっていたりします。そういうところで油断があったり、まだいいという気持ちになったりしているところも何回かあったと思います。それがスタートで前体重になりかける時に3メートルだけという意識がお互いが見合って生まれたと思うので、それが良い方向にさらに言ってくれれば良いです。ただ、語弊があってはいけないのは、下げてズルズルやって良いというわけではないということ。それは選手たちにも徹底しますし、5人をいつも並べて5バックで守り切ろうというサッカーをやる気はないということは伝えています。