【試合後コメント】名波 浩監督 第4節 相模原戦 ※無料配信

――まずは試合の総括を。

高い位置からのプレスがはまる形として、ワンアンカー、2シャドー、2トップの形で持っていきました。1点目は見事にそれがはまったと思いますし、相手がどこまで出てくるかどうか疑心暗鬼の中で先制できたのは非常に良かったです。2点目を取るまでも、押し込まれたと言っても危険なエリアにくさびが入ったりラストパスが通る形ではなく、自分たちのプレスゾーンの周りを回させているような形づくりができたので、守備もそこまで危険なところはなかったと思います。2点目が入った後に1点返された藤本(淳吾)のヘディングシュートの形は、リプレイを見てもブラインド(サイド)のサボり癖というか、リスク管理の中でもう1枚、2枚いるよというところのコミュニケーション不足、正しい立ち位置への帰陣の意識不足というのが見られたと思います。

後半は次の1点が入ったらこのゲームが決まると思った中で、1トップ、2シャドー、ダブルボランチの形に変えて、相手の右ボランチの川上(竜)、途中から入った中原(彰吾)が落ちて石田(崚真)が高い位置という形を消せたのではないかと。一つは我々が思っていた立ち位置、それから菊井と住田を中心に、自分たちで「こういう形にして良いですか」と彼らが僕にコミュニケーションを取ってきて、合致したので1トップ、2シャドーに変えました。その甲斐あってか守備で破綻することはほとんどなく、浜崎が入った後のセカンドボール、それから奪った後の質、ワンタッチパスも増えて、しかも前選択も増えて、形としては非常によかったと思います。昨季までゴールマウスを守ってくれていた圍(謙太朗)を脅かす回数も非常に多かったと思うので、我々としては非常によかったです。「昨季のこのスタジアムでの悔しさを忘れるな」と1週間言い続けてきたので、その悔しさを10分の1とか5分の1かもしれないですが晴らせたと思います。3勝しているとは言えアウェイで3勝なので、この勝ちに浮かれずにホームのサポーターにしっかりと勝利を届けたいです。(今日は)1,000人近く来てくれましたが、本当にありがたいと思っています。

――横山選手が2ゴールを決めましたが、評価はいかがですか?

前節に先発を外されて「なんで?」という感じになったと思いますが、若い選手なので良い時もあれば悪い時もあると。そういうことを自覚してほしいのと、昨季は自分自身が自分のプレーをフィードバックできていなかったので、今季はそれをキャンプからしっかりとイメージを持って受け入れてくれています。サッカーノートの文面を見ると、真摯にサッカーと向き合っていると実感するので、それはポジティブに捉えて良いと思います。早生まれでパリ五輪も意識している世代だと思うので、日の丸をつけるということを意識した文面もありました。個人的には突破とかシュートという形づくりをトレーニングの中でやっていますが、それが良い結果に繋がってよかったです。

――スタメンが全体的に若かったですが、選手たちに伝えたことはありますか?

佐藤がケガをしてこういうメンバーになったことがまず一つ。年齢、キャリアは関係なく競争意識を持たせてずっとやっていたり、システムや立ち位置を変えながらトレーニングしている中で、今日もゲーム中に3回くらいはシステムが変わっています。どんなエリアにいても自分のパフォーマンス、チームの規律を守ってやってほしいという中では、責任感を持ってやってくれたと思います。チャンスを与えられただけで「今日は頑張れませんでした、次頑張ります」というのはないということを試合前のホテルのミーティングで伝えているので、この一戦に懸ける思いはそれぞれが持っていたと思います。

――昨季降格が決まった場所での1勝がチームにもたらすものは?

選手は新加入もいっぱいいるので、なんとも言えないところはあると思いますが、個人的にはそういうものを強く感じました。また次節への奮い立たせる起爆剤になると思いますし、もちろん今日来ていない選手たちのモチベーションアップにも繋がるはずです。明日のトレーニングマッチも非常に楽しみだと思われてくれるようなパフォーマンスを見せてくれました。

――住田選手と菊井選手をシャドーに置いた、その狙いと評価はいかがですか?

プレスのスイッチという意味では、アプローチのスピードとかタイミングは連続性もあったと思いますし、奪った後に前を向く意識が非常に高い2人でした。あとはボールワークで落ち着いてボールの距離を変えたり、ワンタッチでシンプルにプレーしたりというのは非常に小気味が良かったと思います。ただ若いので、次も安定したプレーとかメンタルで戦えるとは限らないです。新人とはいえ、ゲームを重ねるごとにどんどん良くなってくると願っています。期待には応えてくれたと言っていいかなと思います。

――2-0にしてから、もう少し自分たちで主導権を握りながら落ち着いて試合を進められれば良かったと思いますが。

高い位置からはめに行った1点目と2点目のセットプレーを奪う形はシステムがはまったとして、残り20分以上はずっと押し込まれる中でずっと回されるような形でした。ベンチでも上から見ているコーチの指示でも、(前)貴之の左右が使われがちなのと、藤本が右サイドから左足で持つ形が一番作られてはいけないと伝えていても、何回もその形になりました。ただコーチ陣でコミュニケーションを取っていた中では、2-0で帰ってくれば後半はシステムを変えて、相手が面を食らって何もできなくなるというシチュエーションができたと思います。そこは大きな課題かなと思いますし、ボールを奪った後の質をもう少し良くしないといけないのと、(村越)凱光と(横山)歩夢が守備で疲れすぎてしまって、攻撃に入った時のギャップへの顔出しとか背後に抜け出す回数がもう少し上がってこないと、まだまだレベルは上がらないと思います。