【試合後コメント】名波 浩監督 第7節 沼津戦 ※無料配信

――まずは試合の総括を。

ゲームの内容としては、自分たちのコンセプト通り、想定した通りの形で運べなかったのは悔やまれるところです。システムを3つ使った90分でしたが、変更してから選手たちがこれまでで一番スムーズに変更できたというところ。それからゲームのポイントだった球際のところも五分五分、もしくはそれ以上に戦えたところが、勝ち点3が転がり込んだ要因だと思います。ただ、セカンドボールを拾ったり、奪った後のファーストプレーの質が悪すぎて、自分たちの時間が作れなかったのは大きな反省で、選手たちにも強く伝えました。そこで相手をひっくり返して、帰陣させるようなエリアまでボールを運べるか。もしくは奪ったところからまた相手の攻撃が始まってしまうのか。そこでメンタリティーも違ってくると思うので、質を徹底しなければいけないと改めて感じました。とはいえ完封勝利というのが、何よりも我々にとって一つひとつ階段を上るという意味では前に進めるポイントだと思います。それから、決めるべきエース(横山)が体がボロボロの中で決めてくれたので、その虎の子の1点を守り切ったという意味でも、総合力で勝てたゲームだと思っています。

後半は追い風になって、前のめりになった時に2トップが疲労がありましたし、(小松)蓮も足を痛めていたので、(榎本)樹と(村越)凱光を入れました。イージーなミスもありましたが、アグレッシブさという意味では先に出ていた2人よりも良くやってくれたと思います。凱光は自分のミスを自分で取り返してマイボールにするとか、ファウルをもらうとか、そういう仕事を全うしてくれました。欲を言えばしっかりと(足を)振って得点やシュートの記録でも付けてくれれば、次節以降の自信になったと思います。そのあたりの課題も含めて、彼にチャンスを与えて良かったと感じます。(吉田)将也に関しても、先々週くらいからモチベーションの高さと戦術理解度が合致してきて、和歌山(キャンプ)で見たトレーニングマッチと比べればプレーエリアは相当広がっています。ブラインドのケアという意味でも、見ていて安心できました。クロスのシーンは最後までスピードを上げすぎて、狙いどころが曖昧なまま上げてしまったのが反省点。左足で振ったところも含めて、もう少し精度を上げたいと言っていたので、そのあたりの反省も本人の口から出るという意味では、しっかりとゲームに入れたと思います。若いチームなので、一番てっぺんにいるとかはあまり考えずに、謙虚さを持ってやっていきたいです。

――前半の途中に3バックに変えましたが、その狙いと効果は?

守備のはまりが悪かったのと、奪った後の分散を大切にしていましたが、距離が離れすぎていて、ボールホルダーのところに顔を出す選手がいなかったので、そのあたりの改善も含めてです。それから最終的にパウロ(パウリーニョ)をアンカーにしましたが、(沼津の)シャドーの選手にスッと出てこられた時に、4バックだと出づらいシチュエーションがあったので、3バックで(大野)佑哉が余るような形。もしくは佑哉が渡邉(りょう)をつかんでいる時に、3バックの外の選手が空いている選手に行けるような形。縦ズレ、スライドという意味でも、特に前半の変えてからの20分は非常に幅広かったと思います。システム変更の後に選手たちがよく理解してくれましたし、毎週のトレーニングで繰り返しやっているので、従順に正確にやってくれたと思います。

――横山選手は得点以外にも、自分で何とかしようという気概が見られましたが。

まだまだレベルを向上させないといけないところは多々ありますが、振る意識が非常に出てきましたし、振れば入るという気持ちを持っていそうなくらい、思い切ったプレーが多いと思います。そのほかの突破のシーンも、自分の形に持っていくのが非常にうまくなったと思いますし、スピード、テクニック、パワーとアイデアというものがリンクすれば、シュートなりクロスなり、最後のプレーを完結させるところまで行けるようになるのではないかというのは、大きな成長だと思います。コンディションだけを考えると、(U-19日本代表候補の)キャンプに行って戻ってくるまで、誰一人知っている選手がいない中で緊張感があったと思います。それが体の硬直に繋がって、19歳の選手が背負うような疲労感ではないというのは選手もベンチもみんなが感じていたので、どのタイミングで変えるかは悩みました。

――チームとして無失点に抑えたことと3バックへの評価は。

(前回ホームの)宮崎戦の幻影が僕の中でずっとあって、そのメモリーカードを違うメモリーカードに差し替えるという意味でも、早く動こうと決めていました。(ロッカールームの)ボードに3バック時のシステム変更は書いていて、選手に伝えてからキックオフしたので、そのあたりもスムーズに行けた要因だと思います。あとは球際のところで行き切るとか、ビクトルだったりセンターバックを助ける帰陣のエリアとか、セカンドボールへの反応。そういうものを連続してやった結果だと思うので、選手たちをしっかりと褒めてあげたいです。

――キックオフの前にエンドを変えたのは、流れを変えるという意味合いもあったと思いますが。

コイントスに勝ったのは大きいと思うので、パウリーニョにありがとうというところがまず一つです。前半は向かい風の中で先制できたのは大きかったですし、ゼロで抑えたという自信が後半に繋がったと思います。見ていて怖いシーンも1、2回ありましたが、それは奪った後の質のところだけで、守備のバランスとしてはコンパクトにラインコントロールできていました。オフサイドかどうか微妙なシーンも何回か作っていたと思うので、それも含めて積極的にチャレンジしてくれたと思います。

――これで首位に立ちましたが、どのように受け止めていましたか?

てっぺんにいれば気分が悪いことはないので、選手もうれしさはあると思います。連戦が続きますし、カップ戦も含めてホーム3連勝を合言葉にやるように選手たちに伝えています。残り2試合もしっかりと勝って、(5/15の)宿敵パルセイロとのダービーに乗り込みたいと思います。