【試合後コメント】名波 浩監督 第11節 鳥取戦 ※無料配信

――まずは試合の総括をお願いします。

「今季最悪、最低最悪のゲームだったな」というのが率直な感想です。相手が連敗しているとはいえ、自分たちが負けていないとはいえ、もっともっと相手が嫌がること、それから謙虚さを持って戦わなければいけなかったのに、前々泊を許してくれたクラブ、もしくは今日も何十台と松本ナンバーの車を見ましたけれど、松本から来てくれた何百人のサポーターに本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。こうしたゲームになった大きな理由として、やっぱり「色気」という言葉が出てくるのかなと。「もっとうまいことやってやろう」「目の前の敵を一回逃がしてから、はがしてからやってやろう」それから「きれいに崩してやろう」「相手を背負ってポイントを作って待ってあげよう」とか。さまざまな局面で攻撃の色気を出したことによってプレイスピードが遅くなる、それからゴールに直結する動きがなくなるの連続でした。

逆に後半残り15分、鳥取の方が圧倒的にゴールに向かっていたと思いますし、奪った後どんどん前に湧き出てくるような、そういう前サポートが増えてきて、自分たちが3バックの中で5バック気味になっていって、それでも人数足りないようなシーンが何度もあって、恐ろしい時間だったと感じています。こうなった原因はちょっとまだわからないですけれど、やっぱりもっともっと自分たちが推し進めている、ゴールに直結する速さのあるサッカーをやっていかないといけないと思いますし、そのためには起点を作るボールの質とか、皆さんご存知の通りクロスの質とか、それから入る中でのパワーを持ったクロスの中への入り方とか、工夫というよりももっともっとシンプルさで相手を圧倒しなければいけない、そういうシチュエーションが多かったんじゃないかと思います。

きょうのこの0-0について選手たちに言ったのは、「(勝ち点)2を失ったんじゃなくて、1をもらったゲームだった」ということ。最後は完全に鳥取のゲームだったのでそれをちゃんと肝に銘じながら、きょう6-0で勝っている藤枝が次節の対戦相手。もちろん横山もまだいないし、アタッカー陣の奮起をしっかりと促したいと思いますし、もっともっとリスクを冒すプレイが出てこないと自分たちは点を取れないんじゃないかと思っています。そういう意味で最後ですけれど、3バックのワイドが出ていくシーンが一度もなかった。宮部が1回インナーラップしていきましたけれど、あれも自分の声によって出て行ったシーンだったので、自発的に出て行ったことではない。それを踏まえると春先からやってきた事ができなかったゲームだったと痛感しています。

――おっしゃった通り、相手をリスペクトするということはこの試合に限らず今年冒頭からチームに浸透してきたように見えていたんですが、それがきょうは出せなかった。試合が終わった直後ですが、それができなかった要因は?

ゲーム強度的に今治戦とか(長野)パルセイロ戦は非常にあったと思いますし、北九州戦も点こそ入らなかったですけど押し込みながらも、守備で危なげないシーンがなかったということを考えると、自分たちのピッチのほうの修正力ともちろん走力が合致していたと思います。

それを踏まえるとはきょうは圧倒的に鳥取の方が走力もイマジネーションもあって、それからゴールを奪いたい、ゴールに直結する動き、その最短距離をイメージしながらプレーしていた節があるので、そこで最終的にはちょっと後手後手に回りました。あとはやっぱり前の選手が動かないとか前の選手が決定的なところにいる機会が少ないとか、そういうところがラストパス、パサーに対しての受け手と出し手のイメージの共有ができなかった原因じゃないかなと。先ほど言いましたけれど、もっともっとゲームの中で修正する力をつけなければいけないと思います。

――きょうは4-3-3でウイングを置く形でスタートしました。その狙いと、ハーフタイムで3バックに戻した理由を教えてください。

鳥取はセンターバックにそんなに大きさがないので、小松ひとりで深みをつくれるんじゃないかというところでいくと、菊井にしても佐藤にしてももちろん榎本にしても、背後から出ていったらチャンスがあるんじゃないかと。よって小松がポイントを作ってすぐゴール前に逃げる、の連続性を求めていたんですけれど、プレーエリアが狭かったりそれからロストが多かったり、もちろん止まってプレイしたり。合格点にはほど遠い出来だったと思います。途中で入ったルカオもそうですし、山本にしても菊井にしてもボールに触りたいのはわかりますけれど落ち過ぎていました。危険なスペースでもっともっと受けて、世瀬(啓人)と新井(泰貴)の脇をもう少し取ればうちのウイングバック、もしくは前半のサイドバックが高い位置からクロスというシーンが生まれたんじゃないかなと思っています。

――J3でここまでやってきて、なにか特徴を感じていますか。また、今後チームを引き上げていく上でなにか自分とかチームに求められることは?

よく話すのは、分析はJ2が圧倒的に難しい。その次にJ3、分析はJ1が一番簡単なんです。それは個の能力と監督の性格、性質。そこでそういう基準を自分の中で、自分の中でというか、すべてのカテゴリを経験したほとんどの監督は言うと思うんですけれど、その難しさで言うと、多少のメンタルでやっぱりゲームの浮き沈みというのは圧倒的に変わってしまいます。「落ち着け」もしくは「自分たちでボールを動かしながら休もう」と言ってもその通りなかなかいかないなと。これは最近見かけますが、J3で見ていてよく感じるところです。あとは(ペナルティー)ボックス近くのクオリティは圧倒的にカテゴリが落ちれば落ちるほど悪くなってくると思うので、そこの精度の高い選手が上のカテゴリにいるなと。どのポジションでも、そう思います。

――チームとしては連戦の中でオフがなかったり移動距離が長かったりしました。その面でコンディションに不安などはありましたか?

前々泊しているのでコンディションは間違いなく悪くはないと思います。(4日前の天皇杯)ジュビロ(磐田)戦のスタメンで出た選手は(先発11人の中に)誰もいないし、そんなに難しくなかったと思います。コンディションに関しては、です。

――次の藤枝戦に向けて真っ先に手をつけなければいけないことはなんでしょうか?

やっぱり湧き出てくる回数が圧倒的に藤枝は多いと思うので、正確に正しいエリアに帰陣しなければいけないのはもちろんですけど、その前に失い方。クロスを上げてフィニッシュまで行くとか、シュートで終わるとか、もちろんスルーパスも前選択で。きょうも横パスとバックパスが増えて、最終的にそのエリアでボールを失ってはいないけれど、確実に意図があるボールが前線の動きとともに出たシーンが少なかったです。ちょっとジャッジの難しい、ボックス脇をめがけたボールが野々村から出て(小松)蓮がバーに当てたような。先ほど言いましたけれど、鳥取の方が最後の15分はその質が急激に上がって、やっぱり「走られたな」「起点を作られたな」「突破されたな」という感じがしますね。あれをうちがやらなければいけないと思います。