【試合後コメント】霜田 正浩監督 第3節 YS横浜戦 ※無料配信

――まずは試合の総括をお願いします。

長いキャンプの後にアウェイ3連戦で、3連戦とも大勢の方々に来てもらったことが確実にこの勝ち点につながっていると思います。今日の試合は内容としてはあまり褒められたものではなく、自分としてもこういうサッカーで今までチームを作ってきたわけではないので、なかなか内容に関しては改善の余地がたくさんあると思いました。結果に関しては(後半)ロスタイムに2ゴールということで相手のゴールに向かう姿勢をきちんと見せてくれましたし、何よりも途中から入れた選手たちがチームを救ってくれました。(渡邉)千真のアクシデントもありましたが、試合を始める選手と試合を決める選手と、本当にチーム一丸で戦えたと思います。19人目の宮部を含めて、全員の勝利です。

――内容の部分で、特に前半はなかなか動きの流動性がなくてボールも停滞している形が多かったと思いますが、一番よくなかった要因はどんな部分でしょうか?

うちの2センターバックに向こうの2トップが来て、うちのダブルボランチに向こうの2インサイドが来て、うちのトップ下も向こうのアンカーに捕まって…という、想定された相手のプレスの形でした。その中で必要以上に少し怖がってしまって、ボールを動かすことに消極的になってしまった印象があります。前半は風下だったのでなかなか風を受けてボールが綺麗に転がっていかないこともあり、パスを回しながらリズムを作ることができませんでした。それならそれで割り切って相手の裏に長いボールを蹴って、長いボールと短いボールを使い分けて相手のゴールに向かっていこうと言ってたんですけれども、なかなか前半はそれができなかったなと思います。

ただ90分勝負で考えていたので、相手が元気なうちはホームで勝ち点を取ろうと一生懸命やってくるので、そこをしっかり耐えていけば必ず自分たちの時間が来ると思っていました。「我慢比べだ」という話をハーフタイムにもしました。しっかりボールが繋がるようになればチャンスは作れるだろうと思ってたので、最後に3つゴールが取れてよかったです。

――渡邉千真選手が初先発で、山本龍平選手、鈴木国友選手とベンチ外だった選手を途中出場で起用しました。狙いなどを聞かせてもらえますか。

「勝っているチームはいじらない」という鉄則もありますけれども、より高いレベルに行くためにこれから長いシーズンを戦っていくために、やはり決められた11人と18人だけでは戦えないと思っています。練習から調子が良かったし試合に出たくてウズウズしていてメンタル的なモチベーションも最高潮にある2人がきょうは結果を出してくれたので、チーム力の底上げという意味では、リーグ戦の序盤はいろんな選手を使いながら、調子の見極めは大事ですけれども、練習で調子の良かった選手は思い切って使う、信じて使うのが大事だと思っています。きょうは彼らが結果を出してくれて非常に満足です。

――左サイドは下川選手-榎本選手のユニットを途中で入れ替えました。左サイドの課題なども含めて、現状はどう分析していますか?

それぞれの選手のストロングポイントが違います。「誰から初めて誰で終わるか」という部分の問題で、最初にスタートで出る選手だけが序列で一番上かどうかというとまた別問題。90分勝負の中で最初は守備ができる人間を置いて途中からクオリティのある人間を置いて、クオリティもハードワークも両方求めている中で、どちらを先に出すか…という選択がきょうはたまたまあの形になったというだけです。

――先制ゴールを挙げた菊井選手についての評価などを聞かせてください。

調子自体はきょうはそんなにトップパフォーマンスではなかったと思います。ただあんまり入りが良くなかった中で、チームの調子も良くなかった中で、プレスもプレスバックも顔を出すところもそうだし、我慢して忠実に、地道な目立たないことをしっかりやっていくことによって自分のリズムがだんだんできてきたと思います。「相手が落ちてくる、こちらが上がっていく」というそのキワみたいなところを、きょうの菊井は自分で感じながらトータルですごく良かったと思います。最初はあんまり良くなかったんですけどだんだんだんだん調子を上げてきて、決定的な仕事に絡むという点ではすごくチームを作ってくれたと思います。

――アウェイ3試合で勝ち点7となりました。この結果に対する受け止めはいかがですか?

欲を言えばキリがないので(勝ち点)9で行ければ一番良かったです。ただ、キャンプからずっと続けていく「負けない」「勝ちグセをつける」という意味で、内容が悪くても勝ち点が取れて、自分たちの意図した形で点が取れなくても違う形でも点が取れるということはすごく大きいと思います。本当にきょうは「来週はホームにやっと帰れる」というところで、絶対に勝って帰ろうという気持ちが選手たちにすごく強かったと思います。来週は松本で待ってくれているサポーターの皆さんの前で一緒にやりたいと思います。

――前半にもし得点がもっと生まれているとしたら、勇気を持って中で繋いでいく選択肢も、サイドで攻めきって迫力を出して行くという選択肢もあると思いますが、そこはどんな見立てでしょうか?

中から崩すか外から崩すか。どちらでもいいですけど、それはもうずっとずっと準備してきたことです。中がなかなか難しいのであれば、うちのサイドバックには攻撃的な選手を置いているので、彼らがいいクロスを中に供給するとか、彼らが相手のウイングバックの裏を取るとか、そういうところで点を取れそうなシーンがいくつかあったと思います。点を取る引き出しをいくつか用意している中ではセットプレーでも取りたかったですし、サイドからも崩して点を取りたかったです。それがうまくいかないときは我慢してやり続けることが大事だと思っています。

――YS横浜のようにしっかり繋いでくる勇気のあるチームもいる今季のJ3について、改めて受け止めなどはいかがでしょうか?

僕らも繋ぎたいし、彼らも繋いでくる。ただ苦し紛れに蹴ってくるチームではなくて、ちゃんと向こうも意図を持った攻撃をしてきました。逆に言うとそれが僕らにとってはありがたくて、しっかりプレスではめられた部分もあります。ちゃんと繋ごうとしてくれているチームの方が僕らは守備がやりやすいと思います。

――小松選手のパフォーマンスについてはどのような受け止めですか?

急遽の投入になりました。「途中から行くぞ」という話をしていましたが、心と身体の準備ができてない中で行って体力的にもちょっとしんどかったと思います。けれど今、彼はすごく自分の課題にずっと取り組んでいて、点を取ること以外にどうやって前で起点になるかっていうところを今考えながらやってる最中なので、今日はあんまりそういう意味ではうまくできなかったなと思いますが。ただFWとして点を取るということができました。PKを(鈴木)国友に譲ったおかげで国友が最後パスをしてくれて自分が点を取りましたし、チーム一丸となって、誰が点を取ってもいいけど点を取っていくというスピリットはすごく良かったと思います。ストライカーとしては、89分全然ダメでも最後の1本で点を取るのがストライカーですから、そういう意味では点を取り続けてほしいと思います