山雅戦士×飯尾和也 #8 岩上 祐三

取材日:2015年5月28日

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和也 今回はMFの岩上祐三選手にいろいろお話を聞きたいと思います!先輩、どうですか?(笑)

岩上 何がですか(笑)

和也  J1の1stステージもそろそろ終盤を迎え、ちょっと振り返ってもらいたいと思います。シーズン前はどんな心境だったのかな?不安?それとも始まるのが楽しみだった?

岩上 不安はなかったですね。寧ろ楽しみだったくらいで。もちろん、それまで戦ってきたJ2とJ1ではレベルが違うのは分かっていたので、そのための身体づくりを怠らないように心掛け、開幕のために準備をしていました。

和也  J1のために、新たに特別な練習メニューを加えたりしたの?

岩上 いや、それはないですね。練習内容的には、去年よりも楽になったように僕には感じられました。その辺はけが人が出てしまった昨シーズンの反省があったのかも知れませんね。

和也 じゃあ、「あー、キツい!明日の練習も憂鬱だ〜」なんてなることもなく…(笑)

岩上 ええ。しっかりと練習して、夜は爆睡し次の日に備えられましたね(笑)。練習がキツくて辛い思いをしている新規加入選手を励ましたり…そんな余裕もありました。

和也 余裕だなあ〜。…その余裕が走りにも出ているよね。祐三は本当によく走るッ!

岩上 「対戦チームも含めて、ピッチ上の誰よりも多く走ろう」ということをどの試合でも心掛けています。僕が走ることによって、それがチームの力になるのならやっぱり嬉しいですし…。でも、まだまだ得点に結びついてるとは思えないので、もっとその辺を考えていきたいですね。

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和也 そして、祐三といえばロングスロー!あれ、昔からあんなに飛んだの?

岩上 投げるようになる前から「自分がやれば(ボールが)飛ぶだろうな」とは思っていたんですよ。で、大学時代に実際に投げてみたらやっぱり飛んで(笑)。…これは武器になるな、と。

和也 いや、試合を観てると「ここで祐三にロングスローを投げさせればチャンスが生まれる!」という場面が多々あるんだよね。相手も油断してるじゃん、「まさかここまでは来ないだろう」って。その油断を突く感じで…ちょっと反町監督に提案してみてよ(笑)。

岩上 いや、僕の口からは何とも(苦笑)。でも、自分にこういったオプションがあるということは、選手として嬉しいですけどね。

和也 これまでの試合で、特に印象に残っているのは?

岩上 自分で得点を決めた仙台戦は、やはり印象深いですね。それと、開幕戦となった名古屋グランパス戦です。あのスタジアムの雰囲気、そしてサポーター…。J1、思っていた以上にすごいな、と。それと、名古屋というチームもすごかったです。3対1というスコアで、そのまま勝てれば良かったのですが、最後のパワープレーで同点にされてしまって…。本当に悔しかったけれど、これがJ1のチームか、と思い知らされました。今まで戦っていたJ2のチームにはないものを感じましたね。

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和也 選手で言うと誰?

岩上 ガンバ大阪のパトリック選手や宇佐美選手には個の力を感じましたね。あと、横浜Fマリノスのアデミウソン選手。…あれは違いました(苦笑)。身体のあて方ひとつ取っても、違う感じなんですが、何なんですかね、あれは。ブラジル人特有の身体の使い方なのかな。うちのオビナもそうですけれど…一見、身体が硬そうに見えて実は柔らかいんですよね。

和也 J2とは選手のランクが違う感じ?

岩上 ええ、それは感じます。これがJ1か、と。やっぱり日本の最高峰ですよね。そんな選手たちと戦えるのが今は単純に嬉しいです。

和也 強豪が揃うそんなチームを相手にするJ1の舞台で、祐三の頑張りはすごいしチームの力になっていると思うんだよね。

岩上 いやいや、そんなことないですよ。

和也 そんなことあるって!だから、この対談のゲストだって、キャプテンの飯ちゃんに続き2回めにして早くも登場だもん(笑)。冗談はさておき、祐三のチームに対する貢献度は高いと思うんだ。それは、アシスト数とかシュート数といった数字には出ない部分での活躍も含めて。今、俺はこのサイト用に山雅の戦評を書いているんだけど、とにかく祐三の出現回数が半端なく多いんだよ。「岩上が…」「岩上からの…」って感じ。

岩上 そんな風に思ってもらえるのは嬉しいですね。(ボールが集まるのは)周りが気を遣ってくれている部分もあるかも知れません。でも、自分としてはまだまだだと思っているし、もっと上を目指したい。精度は上がってきていると思いますが、それでも何本かに1本はキックミスしてしまうことがあります。そんなミスをJ1のチームは見逃してくれません。ミスをなくすように、しっかりとやっていく必要があると感じています。

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和也 俺が観戦しててすごいな、と思ったのはサガン鳥栖戦で見せたオビナ選手へのクロス。残念ながら得点にはつながらなかったけど、唸らされたよね、あれは。

岩上 ああ、あの時は思い通りのボールを上げることが出来ました。事前にオビナ選手とのアイコンタクトもしっかり取れていて…それだけに決まって欲しかったんですけれど、残念でしたね。

和也 船山選手が抜けた穴を心配する声も聞かれたけれど、その辺はどう?今は前田選手で固まりつつある感じなのかな?

岩上 そうですね。どの試合を観ても分かる通り、(前田)直輝はドリブルが上手いんですよ。あのドリブルは十分、武器になると思います。それとオビナの強さ、ですね。(オビナ選手にボールが)入れば、先ず競り負けることはありませんから。もうそこは信頼して入れることが出来ます。オビナの存在は大きいですよ。後は池さん(池元選手)と。僕たちのこの距離をもっと近付けていきたいですね。そうすれば更に得点のチャンスも増やせると思います。

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和也 期待してます!試合に向けて、これからの抱負とかあるの?

岩上 いやー、それはいろいろあります。ありますけれど…1番は、失点をゼロに抑える試合を増やしたいってことですかね。1-0の勝ち試合を多くしていきたいです。

和也 0で抑えるのは大きいね。

岩上 そう思います。先に1点取られてしまうと、どうしてもモチベーションが落ちるんです。そこをやらせることなく失点をゼロで抑え、1点取ることを目指したいですね。

和也 さて、ちょっと話は変わって、プライベート関係もちょっと教えてもらおうかな。仲の良い選手というと誰ですか?

岩上 いやー、それはもうアラちゃん(荒田智之選手)ですね。イジリ甲斐があります(笑)。

和也 やっぱりらアラちゃんが祐三のご馳走なんだ?

岩上 もう大好物です(爆笑)。それと、最近は(塩沢)勝吾とか(阿部)吉朗さんとかですね。でも、プライベートでは、選手とはあまり会いたくないんです。

和也 その辺、祐三はマイペースだよね。俺とお風呂屋さんでよく会ったりもしたけれど、そんなに深い会話もしなかったからなあ。お風呂も自分のペースで入りたいんでしょ?

岩上 そうですね。お風呂は大好きなんだけれど、みんなでワイワイ入るというよりも一人で行って勝手に入って好きな時に出て…っていう感じがいいんです。楽なんですよね、その方が。

和也 確かに、のんびり出来るよね。それじゃあ最後、山雅のアツいサポーターの皆さんにメッセージをお願いします!

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岩上 いつも応援から大きな力をもらっています。ありがとうございます。特に後半の辛い時間帯の声援には本当に助けられています。結構、身体的にキツい時でも、あのアルウィンのサポーターの皆さんの大きな声を聞くと「走らなければ!」という気にさせられるんですよね。…プレッシャーをかけられるというか(笑)。でも、そんなプレッシャーは大歓迎なので、これからも宜しくお願いします!

和也 はい、というわけで今日は岩上選手からお話を…

岩上 あ、ちょっと最後にいいですか?  サポーターの皆さんに是非、伝えたいことがあって。

和也 え、なになに?

岩上 えーと、これからはますます暑い時期を迎えます。アツい応援を僕らにくれる際には、必ず適切な水分補給を心掛けてください!

和也 あ、それは大事だね。特に夏場は熱中症とかもあるし。

岩上 はい。それと、試合開始前のシュート練習の時などはボールの行方をしっかり見ていて欲しいと思います。選手も勿論、気をつけてはいますが、どうしてもボールがスタンドに入ってしまうこともありますし、当たると思わぬ怪我にもつながり兼ねないので。一人ひとりが気をつけて、スタジアムで怪我などしないようにして欲しいと思います。僕たち選手は、サポーターの皆さんを本気で12番目の選手だと思っています。90分、試合の間ずっと声を上げ跳ね続けて…本当、ピッチ上の選手よりもキツいんじゃないか、と思うこともあります(笑)。これからも楽しく元気な応援を宜しくお願いします!

和也 サポーター思いの岩上祐三選手でした。ありがとうございました!

岩上 ありがとうございました!

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飯尾和也

Interviewer  コラソン 飯尾 和也

元 松本山雅FC センターバック。
ヴェルディ川崎、ベガルタ仙台、サガン鳥栖、横浜FCなどでのプレーを経て、2011年 松本山雅FCへ加入。松本山雅FCのJFL→J2→J1昇格へ貢献し、2014年シーズン終了後引退。 現在はメンタルサロン コラソンの代表を務める傍ら、講演会等も行っている。
Jリーグ通算311試合出場
U-16、U-18、U-19日本代表