【イベントレポート】新加入選手発表記者会見@ザ・ブライトガーデン ※無料配信

取材日:2019年1月12日

J1で戦いながら 若手育成にも注力

2019年シーズンの新加入選手記者会見が12日、松本市のザ・ブライトガーデンで開かれた。現時点で発表されている新戦力13人が一堂に会し、抽選で選ばれたサポーター150人と報道陣の前で決意を表明。それに先立ってチーム編成のコンセプトや現状説明と背番号の発表、長島裕明コーチの就任あいさつなども行われた。

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まず第1部では、チーム統括本部の柴田峡編成部長が編成などについて説明。チーム全体の平均年齢が2年前は27.33歳だったのが昨季は26.64歳となり、今季は12日現在で26.38歳とさらに若返った。外国籍選手枠の拡大とホームグロウン(HG)制度というリーグの制度変更は、新興の市民クラブである山雅にとっては向かい風。まず外国籍選手の捉え方については「枠が増えたからと言って中心にするわけではなく、ウイークポイントを補っていく補強を考えた」と説明した。

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HGは、2019年のJ1から適用される新制度。「12〜21歳の間、3シーズンまたは36カ月以上、自クラブで登録していた選手」などをHG選手と定め、規定人数を満たない場合は不足人数分だけ翌シーズンのプロA契約枠25名が減らされる。制度導入1年目の今季はJ1で2人以上のHG選手がいることが規定されている。山雅では前田のほか小松蓮と永井堅梧がHG選手に当たるが、小松が金沢に、永井は徳島に期限付き移籍。「来年のA契約が減らされるのは承知の上でも、2人の将来性を考えて判断した」「若手に出場機会を与えることを優先した。鍛えて戻すのがクラブとしての考え方」と説明した。

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背番号も発表され、今井が50から5に、永井が38から11に、ゴドンミンが30から21にそれぞれ変更。期限付き移籍先の大分から復帰する宮阪は35と決まった。新戦力でともに昨季10を背負っていた杉本は20、町田は25。背番号10は現状では欠番となっている。最終的にはあとFW2人が加入予定であることも明かされ、うち大卒の1人はJ2以下のチームにすぐ期限付き移籍するという。ともに相手クラブの意向を受けて未発表となっている。

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コーチングスタッフは1人増員。徳島で監督を務めた長島コーチを招聘し、アカデミーとのパイプ役を含めた若手育成がメインの役割に据えた。長島コーチは「幼稚園児からトップチームまで担当したことがあるが、元々は育成をずっとやっていた。クラブや松本市に少しでも貢献できるよう、皆さんとともに戦っていければ」とあいさつ。サポートスタッフはポルトガル語の通訳とトレーナーが1人ずつ増えたほか、トレーナー3人と副務が新任となる。

新戦力13人 強い決意と覚悟を語る

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町田也真人

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溝渕雄志

その後は壇上を組み替え、新加入選手13人が登場。千葉から来た2人はともに「覚悟」という言葉を口にし、町田也真人は「初めての移籍で緊張もしている。ジェフを離れる決断を自分はしないと思っていたが、サポーターの雰囲気と反町さんとやりたいという気持ちと強化部が熱心に誘ってくれたので、覚悟を持ってプレーします」。期限付き加入の溝渕雄志は「特徴は対人の守備の強さと前へのスプリントや攻撃参加。何より終盤まで落ちない運動量も絶対にこのチームで生かせる特徴だと思う。強い覚悟と決意をもって臨む」と話した。

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高橋諒

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杉本太郎

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エドゥアルド

J1クラブから完全移籍してきた選手たちも意気軒昂だ。湘南から加わった高橋諒は「J1での戦いは厳しいものがあるが、松本山雅のために勝利に貢献したい」と話し、昨季まで2年間期限付き移籍先の徳島でプレーした鹿島の杉本太郎も「狭いエリアでも前を向いてゴールに向かうところが特徴。スタジアムの雰囲気がすごくいいので早くやりたい」。川崎のエドゥアルドは「僕の目標はたくさんのサポーターの笑顔を見ること、タイトルを取ること、街のために命を懸けて戦うこと。よろしくお願いします」とあいさつした。

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服部康平

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塚川孝輝

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米原秀亮

昨季のJ2で冴えた3選手もそれぞれの決意を語った。アマチュアからJ1まではい上がる形となった栃木の服部康平は「ヘディングで誰にも負けないように頑張るので応援よろしくお願いします」。昨季の山雅戦で鮮烈ミドルを決めた岡山の塚川孝輝は「自分の持ち味は『強さ』だと思う。しっかりピッチで相手に負けないように頑張る」と話した。育成組織から熊本一筋だった米原秀亮は「自分の特徴は長短のパスが出せるところ。山雅はスタジアムの雰囲気が良くて熱いサポーターがいっぱいいるので、早くそこでプレーしたい」と力を込めた。

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那須川将大

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田中謙吾

このほか大分から2年ぶり復帰となる那須川将大は「また自分を必要としてくれたことに本当に感謝している。持ち味の左サイドで攻守に躍動する姿を見せたい」と捲土重来を期した。J3長野から2カテゴリー上がった田中謙吾は「長野県は8年目だが、山雅は8年前からずっと大きな存在だった。街のために体を張って勝利に貢献できるよう1日1日を大切にしたい」と語った。

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榎本樹

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山本龍平

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大野佑哉

初めてプロになる3選手もそれぞれに秘めた思いを口にした。前橋育英高から加入した榎本樹は「前橋育英と聞いたら松田直樹さんを想像すると思うが、榎本樹を想像してもらえるように頑張る」と言い、山本龍平は「(サンプロ アルウィンは)声援がすごいので、早くそのピッチに立って1日でも早く勝利に貢献したい」。唯一の大卒ルーキーとなる大野佑哉は「素晴らしいサポーターを僕の熱く激しいプレーでさらに沸かせられるように毎日を積み重ねていく」と話していた。

チームは現状で発表済みとなっている34人の体制で13日に初練習。14日には新体制発表会をキッセイ文化ホールで行う。松本山雅FCプレミアムでは16日以降、新加入選手の自己紹介動画を順次公開する予定。21日から始まるキャンプも例年通り完全密着し、J1のシーズン開幕に向けたチームの現状を伝えていく。

編集長 大枝 令 (フリーライター)

1978年、東京都出身。早大卒後の2005年に長野日報社に入社し、08年からスポーツ専属担当。松本山雅FCの取材を09年から継続的に行ってきたほか、並行して県内アマチュアスポーツも幅広くカバーしてきた。15年6月に退職してフリーランスのスポーツライターに。以降は中信地方に拠点を置き、松本山雅FCを中心に取材活動を続けている。