【試合後コメント】名波 浩監督 第2節 YS横浜戦

――まずは試合の総括を。

松本から1,500人以上のサポーターに来ていただいて、(前節の)讃岐にも450人以上来ていたので、この2節で2,000人近くが松本から応援に来てくれました。昨季の悔しさをともに噛み締めながら戦うシーズンということを再認識させてくれましたし、今日も選手の背中をバンバン押してくれたと思うので、頼もしく素晴らしい存在です。そしてこのアウェイ2連戦、最高でも最低でも勝ち点6ということを考えると、ギリギリですがなんとか公約通り勝ち点6を持ち帰って、ホーム開幕戦を迎えられることには少し安堵しています。ゲームの内容でいくと、最初はシステムの噛み合わないところで少し後手に回ったり、セカンドボールを拾われてボールの距離を変えられる、もしくは縦に差される。ボールが小気味よく繋がれて、後ろに重くなってしまいました。ルカオと(横山)歩夢のスペースの使い方も淡白というか、単発的というか…。なかなかうまくいかない中で決定的なシーンを作られて、ビクトルがファインセーブをしていなければ…というシーンがあったと思います。そこからセカンドボールを拾えるようになって、中盤で余裕ができて、佐藤、住田あたりが前を向いてボールを触った時にはスピード感と多少の迫力が生まれました。決定的なシーンは生み出せなかったですが、ボックス脇を掴む回数やタイミングというのは徐々に良くなっていったと思います。

その中で後半の立ち上がりにルカオが右サイドで粘って良いクロスを上げて、逆サイドバックがクロスに飛び込むと。練習でも何回かやったり、3バック時のウイングバックの飛び込むエリアということも含めて、徹底とは言い切れないかもしれないですが、そういうことをやっていこうという中で形が生まれました。(外山)凌も2試合連続ゴールとなりましたし、しっかりと面を作って叩き込んでくれたと思います。そこから我々の時間が多少増えて、相手のパワープレーが多少増えました。膠着した状態で少しセットプレーも含めて押し込まれている印象はありましたが、その辺りは粘り強さとしっかりとしたコミュニーションをパウロ(パウリーニョ)を中心にできたと思います。少し劣勢が多くて重たくなるかという時に追加点を奪えました。練習通りの外からの崩しと前選択の中で、良いクロスから良いシュートでした。

いただけないのはCKからの失点。ビクトルのキャッチミスからCKになってしまったことがまず一つ。その責任を取ろうとして被ってしまったのが一つ。あとはパウロと常田のあたりのエリアでしたが、パウロもビクトルの声によって人任せになってしまったところが一つ。去年はセットプレーで相当苦しんだ中で、立ち上がり5節くらいまではやられたくないと思っていましたが、早々にやられたのでまた反省材料が増えました。前節の3バックへの変更は、残り時間で攻撃的に高い位置にワイドを張らせたかったのがありました。今節の3バックへの変更は、守備的に人数を揃えたかったというのがあるので、立ち位置が違う可変システムにはなりました。従順に選手たちがやってくれたかといえばクエスチョンですが、特に右サイドはだいぶ守備のところで機能していたと思います。左サイドは縦ずれが少し外山と常田のところでできれば、もっと攻撃的な守備ができて、相手がボックス近くで差すボールが減ってきたのではないかと思います。ともあれ最後は3ポイントを取れて、連勝して久々に松本に戻れるのはよかったです。

――守備面で深い位置に入り込まれて、CKを取られるシーンが多くありましたが、その要因はどのように分析していますか?

相手のビルドアップでCBのワイドもしくはボランチのアンカーのような選手から、あれほど差されるとは…というのが一つ。あとは(YS横浜の)開幕戦はロングボールが多かったですが、ビルドアップしてきました。そこで選手たちが戸惑ったところもありましたし、我々の左サイドの受け渡しのタイミングや、ワイドの人間もしくは自分の前の人間を捕まえすぎて、中を突かれるシーンがありました。ゲーム中の修正で行くとヨネが前後半を通して、スライディングでなんとか…というくさびのボールが取れていない。守備の改善という意味では、誘っておいて出させてインターセプトというのがもう少し出てくると、攻撃的な守備が成り立つと思います。差されすぎているという意味では、開幕戦とは違うやり方を相手がやってきたと思います。

――小松は山雅で初ゴール、ビクトルはファインセーブを見せましたが、2人の評価はいかがですか?

小松に関してはウォーミングアップをさせておいて、(後半の)立ち上がり10分で横山と代える予定だったので、体が温まった状態で出てこられたと思います。スクランブルにはなりましたが、入りは良かったと思いますし、ダイナミックに動いて最後に点を取ってこいと伝えた中では、よく結果を出してくれました。決定的なシーンを決めて3-1にしていればもう少し楽な展開になったと思うので、利き足ということもあって確実にネットを揺らしてほしかったです。ビクトルは相変わらず声も出ていますし、パンチングの判断も距離もよかったですし、ロングボールも安定していたと思います。あとは何ということのないミスから直接失点に繋がってしまったということを彼自身は大きく反省してくれると思うので、今後また期待したいです。GKで言うと村山は元気いっぱいですが、薄井と神田もケガから戻ってきたので、しっかりと競争して、良いところを盗みあって切磋琢磨してほしいです。

――勝ち点6でホーム開幕戦を迎えられますが、どのような収穫がありましたか?

セットプレーで2点を取った讃岐戦とは違って、今回は流れの中から点が取れました。しかも自分たちがトレーニングでしている形。完璧な形ではないかもしれないですが、形が見え隠れしたというのは選手たちも自覚しています。それから奪った後に徐々に前選択が増えてきて、ひっくり返されるであろうという恐怖心を相手に与えたからこそ2点目は生まれたと思っています。ああいうルカオと歩夢の背後に出続ける動きは今後も継続してほしいです。開幕戦でも言いましたが、90分やっている選手が少ない中で、凌がよく最後まで持ったところはあります。体力的には足をつる選手もいなくて問題なかったというのは、次節以降も十分に自信を持って戦える要素だと思います。

――讃岐戦も含めて、自分たちがやりたいことをやれる時間は決して多くなかったと思います。それでも勝ちに持ってこられたのは、主導権を握るところ以外で良い要素があったのでしょうか?

自分たちの形というのは、攻撃でこう入って、ここから迫力を持って…というようなことをイメージしていると思います。我々がイメージしているのは良い守備が良い攻撃に繋がるというところなので、攻撃の順序立てで言えばレベル1から5までがフィニッシュの形だとしたら、レベル1は守備。攻撃的な守備から良い形を求めていく中では、ゲームの中でパウリーニョと何回も話をしたり、3バックの中で2トップ、1トップ下の形を彼らが1トップ、2シャドーに変えたほうが良いのではないかと言ってきて、それで行こうと。そういうコミュニケーションの中でレベル1、レベル2というものが生まれていると思います。もちろんパーフェクトではないですし、J1からJ3までパーフェクトにやれているチームはまだまだないと思うので、ゲームコンディションも含めて上向きだとは十分に感じます。きれいな形、自分たちが求めている形というのは、もっと良い守備ができればもっと良い形ができるのではないかと思います。

――久々の連勝となりましたが、どのような勢いをもたらしてくれると思いますか?

チーム全体に負のオーラではないですが、トレーニングマッチも含めて勝つという自信の上積みがなかった中で我々はこのシーズンに入りました。それはコロナの関係で3試合飛んでしまったのも大きかったですが、成功体験というのは小学生だろうがプロアスリートだろうが積み上げれば積み上げるほど自信が生まれると思います。今日がデビュー戦の選手がいたり、やったことがないポジションの選手がいたり。そういうことがあった中でも勝てたことによる自信はチーム全体に間違いなく生まれると思います。サポーターも3ポイントを取った中では、間違いなく気分よく帰れると思うので、また来週も(応援を)お願いしたいということと、選手もこの上積みをどれだけ続けられるか。戦国J3だと思うので、差のない中で最後にどう3ポイントに繋げていくか、1ポイントを逃さないかということにも繋がってくると思います。だからこそ失点の前のぬるいプレーは許してはいけないというのは、選手たちにも伝えました。