【キャンプレポート】疲労の中でトレーニングマッチ 課題と収穫と ※一部無料

第1次串本キャンプ第11日は1日、JFL鈴鹿ポイントゲッターズとのトレーニングマッチを和歌山県串本町のサン・ナンタンランドで行った。45分×2本とし、2-0、1-1の合計3-1。1次キャンプ終盤で前日も追い込んだため、時間とともにシャープな動きは影を潜めた。一方で狙い通りの形からゴールを奪うなど収穫もあり、チームの前進を感じさせた。

45分で選手を総入れ替えし、22人+交代2人の合計24人がピッチに立った。疲れている中でも何ができるのか、前回のトレーニングマッチでできなかったことにトライする姿勢を示せるか――。前の試合から中2日で組まれた今回の主なテーマだ。

ただしそれは、状況を踏まえて最適解を選ぶのが前提でもある。この日は強風が吹き抜け、ピッチコンディションもグラウンダーのパスが走りにくい状態。さらに相手も強度を持って前線からプレスをかけてくる。それに対してビルドアップにはこだわらず、むしろ4バックやボランチから対角に大きく展開して攻略を図った。

1本目の21分、小松がCKに合わせてヘッドで先制点を奪う

1本目。米原が田中に斜めのパスを入れ、さらに菊井が受けて前を向く。同時に全体が押し上げる。藤谷のクロスで得た21分のCKを、小松がヘッドで押し込んで先制。その後も米原-田中とつないで榎本が左足シュートを放つなど、攻勢を維持する。そして38分。相手のミスを逃さず高い位置で奪い、最後は菊井が追加点を挙げた。

1本目の38分、追加点を挙げて喜ぶ菊井

2本目も同様のスタンスで攻める。9分に失点したものの、21分にゴール。左サイドで奪取に成功すると、山本が滝に預ける。裏へ絶妙なスルーパスを流し込むと、鈴木が抜け出してチャンス。最後はフリーの渡邉が左足で冷静にネットを揺らした。

2本目の21分、左足でゴールを奪った渡邉

この日はセットプレーからのゴールを一つの狙いとしており、1本目の先制弾でそれが実現した。高さのある選手も多いため、武器として研ぎ澄ませていきたい考え。2本目に決めた渡邉の得点も、奪ってからのファーストパスやターゲットとする裏への配球、フィニッシュの形とも狙いを具現化した。

一方で疲労が蓄積した状態でもあり、立ち位置を取って前進したりプレス強度を維持したり――といった部分は十分には表現できず。守備では相手のビルドアップに対して後手を踏む場面も散見された。ただ、それも霜田監督にとっては想定内。ゲーム特有の現象の中で、それでも何ができるかが肝要だという。

課題と収穫の両面が出た90分間。チームはどう感じたか、霜田監督と選手3人に話を聞いた。


霜田 正浩監督

――きょうはトレーニングマッチでした。率直に振り返っていかがですか?

想定内がたくさんありました。疲労がある中でも45分全力でやってくれたので、ペース配分することなく前からプレッシャーをかけて、ゴールを目指す。省エネのサッカーはやっていないので、「こういう現象が起きるだろうな」というのは想定内でした。その中でも狙いとしてどう点を取るかという部分で、ゴール前やセットプレーなどでチャンスを作れたのはすごくポジティブだと思います。

――落とし込んできたビルドアップで崩すというよりは、長いボールを多用していました。

全てにおいてビルドアップを下からつないで点を取るというのを理想としてはいません。できればもちろんいいでしょうけど、相手もそれができないようにプレッシャーをかけてくる中で、判断が必要だと思っています。短くつないだほうが良いのか、裏が空いていれば裏に蹴ったほうがいいのか。相手のゴールに向かうための方法論がいくつかある中で、きょうはショートパスでつなぎながら相手を崩すというのはなかなかできませんでした。

逆に言うと「奪った後に早く攻める」とか、点にはつながらなかったですが「少ないパスでゴール前まで効果的にボールを運ぶ」ということはできていました。全部ができれば最高ですけど、全部ができなかったとしても何か一つ、あるいはいくつかの手段から一つを判断してできれば、こうやって点を取れるということです。

パスの本数とか、相手のビルドアップに対してなかなかボールが取れなかったりとか、そういう側面だけで評価をするのであれば、きょうはなかなかうまくいかなかったと思います。逆にそんな試合はこれからたくさんあるので、その中でもどうやって自分たちのストロングを出していくか。それは練習ではできない部分です。そういう意味ではできなかったこともまだまだたくさんありますけど、いい判断ができて、それが効果的な攻撃につながった回数を考えると、「まずまず」という感覚です。

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