【キャンプレポート】地道な積み重ねの途中 変化の兆しも随所に ※一部無料

第2次鹿児島キャンプ第2日は9日、午前と午後の2部練習を鹿児島県立鴨池補助競技場で行った。午前は崩しとフィニッシュのイメージ共有に焦点を当て、午後はクロス対応のディフェンスを主題に設定。勝敗を分ける攻守のゴール前を洗練させる局面に入った。それと同時に、トレーニングの蓄積による変化の兆しも見え始めた。

どのようなサッカーを志向するのか、これまで日々のトレーニングで概念を共有してきたチーム。「ボールを中心に考える攻撃と守備」という基本コンセプトをベースとし、全体像を落とし込みながら実戦でトライしてきた。徐々に、しかし確実にそれらは浸透している。

例えば午前練習、崩しからフィニッシュまでにフォーカスした対人のトレーニング。前を向いたボランチを起点に出し入れする最初の局面では、受け手がディフェンスを見てこまめにポジションを取り直す。受ける、出す、動く。頭が整理されてきたからこそ、連続性を持って動ける。機を見て背後を取り、ゴールに迫っていく。

ポイントになる要素の一つはワンタッチ。ペナルティエリア幅に設定されたフィールドでも、選手たちが同じ画を描いて適切な距離感をキープすれば、小気味よく繋がることもある。最終セッションではワンタッチが5本繋がってシュートに持ち込む場面も。もちろんゴールからの逆算であって背後が優先されるものの、変化の兆しを感じさせた。

午後はクロスのディフェンスに力を注いだ。守備側は自陣の左右サイドでまず対応し、クロスが入ったらきっちり跳ね返す。従来通り、身体を張るのは大前提。誰を捕まえるべきか、ボールとマークを同時に視界に入れられない状況でどうするか。さまざまなシチュエーションが生まれる状況を設定し、トライを繰り返していた。

一朝一夕に劇的な変化が生まれるわけではない。こうした日々の積み重ねが、いずれ大きな結果に繋がっていく。少なくともチームはその成功イメージを共有しながら、鹿児島の地で汗を流している。

チームの受け止めなどはどうか、霜田監督と選手2人に話を聞いた。


霜田 正浩監督

――きょうに限らずですが、狭いエリアでワンタッチのパスが繋がるようになってきている印象があります。手応えはいかがですか?

選手のクリオティに依存しない中でパスを繋ぐためには、適切な距離を保つのが大事です。近くに味方がいれば判断も早くなるし、多少ミスをして取られてもその場でもう一回奪い返せます。人海戦術ではないですが、「ボールを中心に攻守をしたい」というのが今年の山雅です。

ただ、それは諸刃の剣。狭くなれば相手も楽だし、相手の視野の中でサッカーをやることになります。それだけだとボールは繋がるかもしれないけど、相手の裏を取れません。ボールを動かしながらどこで相手の背中を取るかという練習で、フルコートを使ってみんなが理解してくれると、もっといいタイミングで「作りなのか、突破なのか」というのが出てくると思います。

もう世界中でそうですが、少ないタッチでボールを回していく、テンポを上げていく。それもどんどん後ろに下がっていくポゼッションではなくて、どんどん前進していく。右から前進できなければどこかで左に変えていく。そういう使い分けがもう少しできるようになってくるといいと思います。

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