【試合後コメント】霜田 正浩監督 第38節 奈良戦 ※無料配信

――試合の総括と、シーズンの総括をお願いします。

今日の試合の振り返りは、今シーズンの振り返りと同じです。シーズン当初から相手のボールを奪いに行くプレッシングを続け、相手陣地でサッカーをやるようにしてきました。それができた時間帯もたくさんありますし、プレッシングが効いて相手のボールを奪ったところまではよかったんですけども、相手のゴールにボールを入れる、得点をする。そういうところが足りませんでした。PKは仕方がないんですが、肝心なところでゴールが取れずに1回のミスで失点してしまう。そういう試合をシーズンに何回もやってしまうのはいろんなところに原因があって、ちゃんと修正していかなければいけないと思っています。

もちろんそれは監督の仕事で、選手たちは自分の持っている力を100%出してピッチの上で戦ってくれたと思います。それでもいろんなところが足りずにこういうシーズンになってしまったことを本当に悔しく思うし、応援してくれて期待をしてくれた人たちには本当に申し訳なく思っています。

ただ、できたことも多く、できるようになったことも多く、全く希望がなかったシーズンではないと思っています。最後の4試合は勝てませんでしたが、勝つチャンスも十分ありました。そういうどちらに転ぶかわからない勝負をものにできるような強さを身につけなければいけないと思っています。「良いチーム」ではなく「強いチーム」にならなければいけないと改めて思った1年です。

そして先ほどのセレモニーでもお話しましたが、そうやって選手たちが頑張ってる姿をホームもアウェイも変わらず期待をしてくれ、変わらず応援してくれたサポーターやスポンサーの方、ボランティアの方、そういう人たちに本当に頭が下がる思いです。そういう人たちの期待に応えなければいけない。ここはそういうクラブ、そういうチームだと痛感しています。今年はこういう結果で終わってしまったので、ちゃんと振り返りをしてまた考えたいと思います。

――奈良は開幕戦の相手でもありました。今お話しされたように選手たちもチームももちろん成長したと思うんですけれども、他のチームも当然努力をしています。「成長度」という部分ではもっと余地があったのかもしれないし、相手が成長度で言えば山雅を上回ったのかもしれません。成長スピードや伸びしろという観点で1年間を振り返るといかがでしょうか?

右肩上がりのチームになるのはなかなか難しいと思っています。上がったり下がったり。「ここでこんないいゲームができてるのに、ここでこんなゲームをしてしまう」というのは他のチームもあることなので、どのチームも少しずつ少しずつ上がっていくチームが多いと思います。その中で僕らも「すごく成長していい試合ができた」と思えば、なかなか自分たちが思った通りのサッカーができない試合が続いてしまっていました。そういう安定感が成長度とはまた別に本当に積み上がって安定してそれを出せるようになるには、まだまだ力が足りなかったと思っています。

――少し言葉尻を捉える形にはなってしまいますけれども、「ちゃんと振り返ってまた考えたい」という言葉がありました。受け取る側からすると来シーズンへの意欲を感じますが、その部分はいかがでしょうか?

僕らは今日の試合が終わるまでは今シーズンですから、現場の人間としては今日勝つことしか考えてませんでした。クラブが今年の戦い方を踏まえて来シーズンはどうするか判断するということです。

――毎年シーズン最後の大詰めにこそ、立ち返るものがあるか、しっかり準備ができているのか…といった積み上げの成果が出るものだし、追い詰められた局面でこそ人間の本性も出るものではないかと感じています。その意味で言うと、残り4試合から勝ちがなく、3試合連続ノーゴールで終わったのは非常に残念ですが、そこに対する振り返りはいかがでしょうか?

残念以外の何物でもありません。点を取るサッカーをやってきて、最後は点が取れずに終わってしまった。チャンスをたくさん作ってゴール期待値も上がっている中で実数が増えていかないという結果や状況に関しては、全く納得できるものではありません。なのでそういう終わり方をしてしまったシーズンをどう振り返って、どう分析して、次にどう繋げていくかという作業は、これからやっていかなければいけないと思っています。

――今日のゲームに関して言うと、取り組んできた内容は表現できていたようにも感じます。「最後で決めるか決めないか」に帰結してしまえばそれまでですが、今日に限るとその要因はどう振り返りますか?

相手が前からプレッシャーが来ているわけではなかったので、ビルドアップはもう少し運べると思っていましたし、ペナルティエリアの中に人もボールも入っていく仕組みはある程度できたかと思います。ただやっぱりラストパスの精度だったりラストのクロスのタイミングだったり、GKと1対1になった部分もそうですけど、そういうところが決められない。なのでゼロで終わってしまう。ひょっとしたらひっくり返せたかもしれない試合をものにできるチームが本当に強いチームだと思うので、そういう強いチームを目指していかなければいけないなと思います。

――小松蓮選手がJ3得点王となりました。改めて今季を振り返って小松選手の成長についてどのようにみていますか?

今年大きく成長した選手の中の一人で、それはもちろん彼が生活、思考、準備などいろんな部分を変えて、彼を使い続けようという信頼を自分で勝ち取った結果だと思っています。これだけたくさん試合に出てこれだけたくさんゴールを決めてくれるということに関しては彼の努力が大きいし、能力が開花したと思っています。僕らはセンターフォワードに点を取らせる仕組みでサッカーをやっているので、そこでちゃんと決めてくれたことは、とてもチームへの貢献度としては非常に大きかったと思います。普通に練習をしていれば自然と試合に出られるわけではなく、いろんな準備で僕らコーチングスタッフの信頼を勝ち得て、多少調子が悪くても多少得点が取れなくても、「彼がうちのエースだ」という信頼を僕らに感じさせてくれたことが今年彼のブレイクに一番繋がったと思っています。

もちろん技術的にはうまくなったしシュートもうまくなったし、前のチームで一緒にやっていた頃よりは本当に精神的にも技術的にもすごく成長しました。彼がゴールネットを揺らした数は誇りに思うし、彼がやってきた努力を見ればある意味で必然だったと思います。