【キャンプレポート】霜田体制2年目のキャンプイン 失点減へ意欲 ※一部無料

山雅の第1次串本キャンプが15日、スタートした。27日まで13日間の日程で、昨季の反省を踏まえた新たな肉付けとスタイルのリマインドをしていきたい考え。初日からゴール前とセットプレーの守備システムを確認したほか、午後練習の最終セッションではラントレーニングを盛り込んだ。失点減を改善ポイントの一つとし、耐えるべき時間帯やシチュエーションで失点しないチームづくりをしていく。

和歌山県串本町に到着した前日。ミーティングで昨季の収穫と課題をまとめ、リスタートを切ることを確認した。その中の要素として失点を「1試合平均1」に減らすことが最低限のミッションとして挙げられ、実際に初日のトレーニングから自陣ゴール前の守備に主眼を置くメニューがメインとなった。

「ボールを中心とした攻撃と守備」というコンセプトは不変。それに沿う形で、守備の局面に関してまず肉付けを試みている。攻撃時に従来から使用しているユニットの着想を守備にも援用。昨季頻発した左右サイドバックの裏を取られないことをはじめ、ペナルティーエリア内には人数もかけながら相手の自由を剥奪していく。

ゴール前6対6、ハーフコート8対8などを午前と午後の2部練習で実施。まずはユニットごとの適切な距離感をつかむことに加え、最終局面で自由にプレーさせない原理原則も改めて強調された。選手の身長などを考慮してマイナーチェンジを加えたセットプレーの守備も初日から盛り込み、失点減に向けたメッセージ性をにじませていた。

午後練習の最後にはラントレーニング。いわゆる「素走り」だ。選手たちはスパイクからランシューズに履き替え、グループごとに割り当てられた設定タイムでクレーの外周を走る。400mトラック2周半を1セットとし、これを3セット消化。新たなスタイルの浸透を最優先した昨季とは様相の異なる初日となった。

このほか午前練習に先立って串本町の歓迎セレモニーがあり、串本町の坂本善光教育長は「今年は暖かい日が続いて冬芝が順調に成育した。快適にキャンプをしてもらえるよう施設管理に努めていきたい」とあいさつ。串本町からは地元特産の紀州みかん3箱(15kg)と花束、500mlの水20本入り20箱(400本)が贈られた。

霜田監督と、取材に応じた選手3人のコメントは以下の通り(一部無料)。


霜田 正浩監督

――初日はセットプレーも含めて守備に主眼を置いていたと思います。どんなメッセージを込めましたか?

去年と大枠を変えるつもりはありません。変えてしまうと、せっかく積み上げてきたものがゼロからになってしまいます。ただし、アプローチの仕方は変えてもいいと思います。僕らがボールを持っていないときにどうサッカーをするか。そこは少しバージョンアップしたいし、セットプレーで失点をしたくないこともあります。「アプローチ=僕の思い」なので、そこが選手にしっかり伝わればと思っています。

――新たに肉付けする守備の基本的な考え方はどのようなものになりますか?

僕らがユニットでサッカーをやることは、去年からずっと続けています。それを守備のところでも取り上げたい。個人の能力や感覚に依存することなく、みんなで守る。ボールは1個しかないので、ボールサイドにどれだけの人数をかけられるか、みんなが帰ってこられるか。そういう意識をつけたいと思っています。

――今日はボールトレーニングだけでなく、素走りも行いました。

今日の走りはフィジカルトレーニングというよりは、みんなでつらいことを乗り越える側面もあります。設定としてもものすごく速いスピードではありません。素走りには素走りの良いところもあって、ケガをするリスクを最小限にできます。ボールを使ってフィットネスをどんどん上げていきたいですが、この1〜2月にあまりケガ人を出したくない思いもあります。ケガ人を出さずにどうやってコンディションを上げていくか。いろんなアプローチをしている最中です。

――串本キャンプの13日間は、どんな時間にしていきたいですか?

昨日の夕食後に、長めのミーティングをしました。去年できたこととできなかったことをもう一回みんなで共有する。去年いた人も今年新しく入ってきた人も、スタートラインは一緒にしたい。それは身体のコンディションもメンタルのコンディションも、戦術的な理解度もスタート地点をそろえたいと思っていました。去年のデータや映像を見せて、去年にできたことと足りなかったこと、それを踏まえて何にチャレンジするかというすり合わせをしました。和歌山キャンプは「予習・復習」で言えば復習をメインにして、それを踏まえて今年はどうするのかを際立たせたいと思っています。

――「できたこと」「できなかったこと」を具体的に挙げるとすれば、どのような要素になりますか?

印象論で語ってしまうと危ないので、データ・数字が必要です。その数字をしっかり出してもらうと、攻撃ではもう少し点を取りたい。ではなぜ点を取れなかったのかと言えば、決定的なチャンスを逃してしまう。最後のラストパス、クロス、シュート。点に繋がるプレーの質を上げていかないといけません。チャンスの数、シュートの本数、クロスの本数はJ3の中でもトップクラスを叩き出せています。そのわりには点数が少なかったし、もっとたくさん取れたと思っています。そこはさらに仕組みの精度を上げていきながら、個人の力で数字を上げていく。両方からアプローチをしたいと思っています。それが編成にも表れています。

僕は「個人に依存しない」とずっと言ってきていますが、最終的に決めるのは個人でもあります。チームの仕組みをしっかりと作って、その中で輝ける個人。去年の小松蓮のような選手をたくさん増やすことが、勝点に繋がると思っています。攻撃面で言えば、チャンスの数は去年以上に増やして決定率を上げていく。チームの仕組みもそうだし、個人の力でそれを上げていってほしいという希望もあります。

守備は印象とはまた違って、しっかりとしたプレッシングがかかって、組織だった守備ができているという数字は出ています。ただ個人の対応だったり軽いプレーがあって、失点に繋がってしまう。今日のセットプレー練習もそうでした。そういうところで十分に減らせると思っています。ここは個人の力だけでなくチームのやり方も含めて、ゲームのコントロールも含めて失点を減らしていきたいです。

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