【キャンプレポート】4日ぶり2部練習 攻守ともクオリティを追求 ※一部無料

第1次串本キャンプ第8日の22日、和歌山県串本町のサン・ナンタンランドで午前と午後の2部練習が行われた。1対1の対人守備やゴール前の攻防など、実戦で起こりうるシチュエーションが多く生まれるよう設定した。いずれにしても、霜田監督が求めるのはクオリティ。新加入選手のプレーに刺激を受けながら数をこなすことで、質を高めていこうとしている。

そのスタンスが顕著に表れたのは、午後練習の2セッション。サイドでの1対1を設定し、ディフェンス面にフォーカスした。昨季同様に中を切って縦に行かせる原則はもちろん、GKと連係しながらゴールを守ることを確認。それぞれ自分の間合いをつかみながら対峙し、村越や菊井、高井、山口らの仕掛けを食い止めようと試みた。

たとえ幾重にも守備のフィルターをかけても、1対1のシチュエーションはほぼ例外なく発生するもの。そこで食い止めれば失点はしない。自陣深くの両サイドは特にクロスやカットインからのシュートなど、ゴールに関わるプレーが生まれるエリア。失点を減らすためにも、より粘り強く的確な対応が求められてくる。

ただ、実戦での「最適解」は状況によって異なる。霜田監督は「ゲームの中ではわざとボールを取りに行かずに時間を稼ぎ、戻ってきた味方と1対2を作ることも正解になってくる」と言及。この日はあくまで1対1だけを切り出して強調したが、そうした判断も含めて守備の質を高めていきたい考えだという。

そして最後はハーフコート以下のサイズでフィールドプレーヤー11対11。ゴールは各チーム2つで、それぞれGKを置く設定とした。1人あたりのスペースは狭く、速やかな判断と精度の高い技術を要する。ゴールが増えた分だけ必然的にゴール前のシビアな攻防も多く生まれ、ボールを巡って火花を散らしていた。

これも求めるのはクオリティ。判断をキャンセルする柔軟性を定着させていく。例えば攻撃側は、サイドを突破した後に足を振るのかクロスを選択するのか。時間と空間の余裕がないオーガナイズの中で、頭と身体をフル稼働させながらトレーニングに打ち込んでいた。

この中で、山本康裕はしきりに首を振りながらボールに絡んでいた。20日のトレーニングマッチでは30分で約4,300mの走行距離。こまめにポジションを取り直してプレーし続けていたためで、霜田監督は「サッカー選手に必要な動きをすると結果としてそういう数字になる」と強調。コントロールミスもゼロだったといい、身近な手本からクオリティを吸収するよう期待していた。

霜田監督と選手2人(住田、安藤)のコメントは以下の通り。


霜田 正浩監督

――奈良戦の振り返りのミーティングでは、どんなところにスポットを当てましたか?

ケガ人が出なかったのが一つ良かった点です。1本目と2本目は守備がしっかり機能しました。相手が人数をかけてビルドアップしてきたとき、「なかなか前から取れなかった」と思うのか「前進させなかった」と思うのか。それによって受け止め方が変わってきます。

もちろん僕らは前からボールを奪いにいきたいです。ショートカウンターをしたい、攻撃をしたいのが一番です。ただ相手がボールを持っている以上は「自分のゴールに入れさせない」ということから考えると、前進させない、自陣に入れさせない。自陣に入られてもペナルティーボックスに入れさせない、シュートを打たせない。失点をしないために自分たちが目指していることが、1本目も2本目もできていました。そういう意味では非常に締まったゲームになりました。ポジティブな振り返りをしました。

――改善のポイントの提示もありましたか?

あります。ただ、重箱の隅を突いても仕方がありません。60分間の1回だけ(のピンチ)でやられないように改善はしますけど、大枠の中で多少ミスが起きたり、意思が合わなかったり。そういうところはあまり気にしていません。ボールの回し方で「ここに立てばもっと良いサポートができる」とか、「もっとこうしたら良くなる」という振り返りです。

――今日の練習についてうかがいます。最後のセッションは2つずつのゴールを置いて比較的コンパクトなフィールドで11対11としましたが、主な狙いはどこにありましたか?

ゴールが2つあるので、どちらのゴールに行ってもいいです。同サイドで攻め切るか、逆サイドにクロスを上げるか。ゴールが2つあることによって、シュートを打つ場面も2倍に増えるしシュートに絡む人数も2倍に増えます。守備は守備で、両方とも守らないといけません。あえてああいう局面を作ることによって、起こる現象がたくさん増えます。それが狙いでした。

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