【キャンプレポート】明暗を分かつ セットプレーとクロスを確認 ※一部無料
第1次串本キャンプ第9日の23日、和歌山県串本町のサン・ナンタンランドで午前練習が行われた。関西学生リーグ2部の桃山学院大とトレーニングマッチを前日に控え、負荷をコントロールして1部練習。セットプレーの確認のほか、クロス対応のメニューなどに取り組んだ。
晴天でも空気の冷たさが染みる一日。普段通り30分ほどウォーミングアップの時間を確保し、じっくり筋肉に刺激を入れていく。ポールやラダーなどの器具が置かれた各セクションで、方向転換やジャンプなどの動きを繰り返す。霜田監督によると、この時間を長めにとっていることが筋肉系トラブルの少ない要因の一つだという。
ロンドを経てセットプレーの練習。このキャンプに来て5回目となる。トレーニングマッチを見据えた内容で、左右のCKとボールの位置に応じたFKを入念に確認していた。キッカーは菊井、山口、安永、高井などが務め、それぞれ球質の違うボールを供給。正面の直接FKを作る際のカベは今回、全員がボールに正対して顔や身体を背けず跳んでいた。
最後はコンパクトなフィールドで6対6。クロスが多く供給される設定とした。攻撃面ではクロスからのゴールは武器の一つとしたい要素。昨季は総得点51うち21.57%に当たる11得点で、さらに高めていきたい。守備面では昨季12失点で、総失点47のうち25.53%。サッカーにおいてセットプレーとクロスは大きな得点源で、この2要素を攻守とも制することは勝敗に直結する。
午後は専門の講師を招いてチームビルディングを実施。昨季から定期的に続けている取り組みの一つで、研修やワークショップなどを通じて目標達成に向けた機能性の高い組織を作っていくという。この日までにJ3とルヴァンカップの日程が発表され、霜田監督が取材に対してカップ戦の捉え方や日程についての受け止めを話した。
霜田監督と選手2人(宮部、橋内)のコメントは以下の通り。
霜田 正浩監督
――24日は桃山学院大とのトレーニングマッチになります。どんな狙いを持って臨んでいきたいですか?
相手は関係ありません。J3だろうが大学生だろうが自分たちのやることを突き詰めていく。実戦の中で球際のところは大学生も一生懸命やってきます。ケガをしないで戦って、どうやって勝つかにこだわっていきたいです。
選手同士がお互いに知り合うのが大事です。こういう選手はこういう特徴があるとか、今だからこそできることがあります。まだ横一線なので、序列はあまり気にしていません。与えられた時間とポジションで全力を出してほしいです。
――宮部選手がセンターバック、藤本選手がボランチ、佐相選手はサイドバックにチャレンジしています。
適性なポジションというのは、「誰が見てもここだ」という選手もいます。佐相を右サイドバックで使うとか藤本をボランチで使うとか、新しい彼らのストロングが出ればいいと思っています。コンバートという意味では、両方できるような強みにも繋がっていきます。「ここしかできない」というスペシャリストも欲しいですけど、いろんなポジションができるポリバレントな選手もいたほうがいいです。
選手が嫌々やるのは絶対にダメだと思いますが、基本的に宮部はセンターバックでチャレンジさせたい。本人も頑張るつもりなのでセンターバックがいいと思っています。藤本も意欲的に取り組んでくれています。そちらのほうがストロングが出るし、ウィークが出なくて済むというプラスマイナスもあります。もちろん、そこでずっと使い切ると決めているわけではありません。
――体調不良は出ましたが、ケガでの離脱はここまでゼロです。
それは皆さんに声を大にして言ってほしいです(笑)。なぜゼロなのかは、しっかりした理由があると思います。ケガをしないさせないことをテーマにやっていますけど、それでも普通は出てくるもの。これだけバチバチやっていてもケガをしないことに関しては、キャンプの成果だと思います。
――その要因はどのような部分にあると考えていますか?
去年と大きく変えているわけではないですが、今まで僕が見てきたチームも含めていろんな情報を聞いていると、うちはウォーミングアップにかける時間が長いと思います。最初のトレーニングに入るまでに30分くらいはかけています。スパイクを履いてスネ当てをしてピッチに出てから、筋肉の温度をどれだけ上げるか。そういうところをケアしていることが、ケガ人の少なさに結びついているかもしれません。
トータルの練習時間も長くなってしまいますけど、塁(國保塁フィジカルコーチ)のパートが終わってボール回しをしても、また塁のパートに戻る。こまめにスモールフィジカルを挟む。本人の意識もそうですが、チームとしての取り組み方としても、ケガ人を絶対に出さないためにみんなやってくれています。