【キャンプレポート】横浜F・マリノスに挑み 現在地を知って次戦へ ※一部無料
第2次鹿児島キャンプ第2日の1日、横浜F・マリノスとのトレーニングマッチが宮崎市のアミノバイタルトレーニングセンター宮崎で行われた。30分×4本で、1-1、1-2、0-4、1-0の合計3-7。洗練してきたボールの動かし方からゴールを奪うなど収穫が得られた半面、ディフェンス面の課題もあぶり出された。
オフを挟んで鹿児島に移動し、3日目で早くも訪れた大きな一戦。コンディションはもちろんトップフォームではないうえ、宮崎県の会場まで片道2時間半の道のりがかかる。それでも、問答無用の格上と対戦することで得られるものは何物にも代えがたい。本降りの雨に濡れながら、果敢に挑みかかった。
1本目、ハイプレスが機能して素早く主導権を握る。1分に菊井、2分には安藤が高い位置でボールを奪い、すかさずショートカウンターを打つ。時おり相手の強烈な外国籍アタッカー陣に脅威を与えられながらも、GK神田の好セーブなどでゴールは許さない。
すると20分に先制点が生まれる。自陣左サイドでボールを動かし、相手がスライドしてきたタイミングを見て山本康裕が右サイドへ大きく展開。背後を取った馬渡がボールを受けると、ゴール前に走り込んでいた浅川がぴたりと合わせて勢いよくネットを揺らした。
昨季のアウェイ鹿児島戦で藤谷が先制弾を決めたような、斜めの大きな展開からゲット。サイドを変えながら裏を取り、きっちり中央で仕留めた。十八番のワンタッチゴールを決めた浅川は「カズくん(馬渡)から本当にいいボールが来たので僕は流し込むだけだった。僕らにとっても大きな自信になると思った」とうなずく。
2本目は1点ビハインドの23分、右サイドを鮮やかに切り裂いた。ボールを確保したGK大内からスタート。右サイドの藤谷が長い距離をドリブルすると、菊井に預けて最後は滝が仕留めた。すかさずスプリントをかけて右に開いた菊井が相手DFの対応を惑わせたのも大きかった。
4本目のゴールも斜めへの大きな展開からだった。右サイドハーフに入った村越が受けると巧みに相手DFと入れ替わり、そのままカットインして得意の左足一閃。120分をトータルして、霜田監督は「4本目も含めて多くの得点チャンスを作れた。総じてずっと打たれっぱなしで守備をしていたゲームではなかった」と話す。
その半面、やはり失点が気にかかるのではないだろうか。強烈な能力を持つ相手の攻撃陣に対し、普段ならつぶせている強さのコンタクトが通じずに前を向かれたり、スピードで置き去りにされたりして後手を踏んだ。ゴール前でシンプルに力負けした失点もある。
ただ、クオリティで上回られるのは織り込み済み。組織としては、左右サイドの深くに侵入された際の対応などに改善の余地を残した。とりわけ3本目の集中的な4失点。中には相手のスーパーミドルなども含まれているものの、そこに至る過程でサイドの2人とボランチ、センターバックがより密に連係しながら水漏れを防ぎたい。
とはいえ国内の上位を走るチームに対し、勝利を欲して真っ向からぶつかったこと自体にも価値がある。数々の課題も、まだ「収穫」と言い換えられる時期。常田は「今後同じようなシーンを作らないためにも、いろんな人とコミュニケーションを取りながら一つずつつぶしていく」と話し、修正を急いでいた。
霜田監督と選手2人(常田、浅川)のコメントは以下の通り。
霜田 正浩監督
――収穫と課題も多くを得られたように感じますが、振り返っていかがですか?
勝ちたかったです。(選手が)勝てると本気で思っていたかまではわからないですけど、僕は本気で勝ちにいきました。終わってからそう言えるだけの内容も、1本目と2本目はある程度見せてくれました。胸を借りるのではなくて、うまくて強いチームに対してどういうことが通用して、どういうことが足りなかったのか。良い練習試合になりました。
――立ち上がりはプレスがハマって、20分の先制点も含めていい形で試合を運べていました。
ビルドアップに長けているJ1のビッグクラブとはいえ、僕らがはめ方の仕組みだけではなくて、気持ちも込めるとそう簡単にははがされない。それを体感できたのは収穫だったと思います。ただ、試合は20分で終わりません。相手も2本目は修正してきたし、それに対して僕らがどうやって修正していくか。そこはまだまだです。