【キャンプレポート】マリノス戦の記憶を忘れずに リカバリー返上 ※一部無料

第2次鹿児島キャンプ第3日の2日、午前練習が鹿児島県立サッカー・ラグビー場で行われた。前日に高強度のトレーニングマッチをこなしたばかりだが、リカバリーではなくボールトレーニングを敢行。前日の記憶がフレッシュなタイミングを逃さず、横浜F・マリノス戦で出た攻守の改善に取り組んだ。

雨中で長時間の移動も伴う、消耗度の高いトレーニングマッチから一夜明けたこの日。3日連続で雨に降られながらも、リカバリーではなくトレーニングに取り組んだ。「回復と休養よりも昨日の感触を覚えているうちにやることを優先させたほうがいいと思った」と霜田監督。横浜FMとの対戦で実感した、攻守両面の差を埋めるべく汗を流した。

まず一つは、プレッシングの強度を上回るビルドアップ。立ち位置だけでの解決ではなく、個人の能力にアプローチした。具体的に最もフォーカスしたのはパススピード。レシーバーが下がりながら受けるよりも、出し手のパスを速くすることを解決策の一つとして打ち出した。

縦長に設定したフィールドで、相手の圧を受けながら速いパスを回していく。止める、蹴るのより高精度な技術が求められるうえ、その前に首を振って確認することもさらに必要。それでいて、危険な位置でロストすれば命取りになる。「取られたら勝点3を失う。できないと試合には出られない」と霜田監督が声を張る。

守備側は逆に、速いボール回しに対して複数人でプレスをかけていく。ファーストディフェンダーがパスコースを切り、後ろの選手が連動。自分のポジショニングを修正しながら、前の選手に指示を出す。機を見て一気にスピードアップし、刈り取る。攻守両面でのレベルアップを図った。

最終セッションも同様に、横浜FM戦での気づきにクローズアップ。パスアンドゴー、ボールホルダーを追い越すシームレスな動きの意識付けだ。サイドを変えるパスを禁じ、左右いずれかの同サイドでクロスまでやり切る設定。人数をかけて追い越しながらモビリティーを生み出そうとしていた。

逆に守備側にとっては、サイド対応のレッスン。前日で4失点した3本目に出ていた村越は「守備の規律や基本は串本でやってきたけど、それが機能していなかった」と振り返る。当該サイドの2人だけでなくボランチやセンターバックとも連係しながら食い止めるよう意識していた。

霜田監督と選手2人(山本康裕、村越)のコメントは以下の通り。


霜田 正浩監督

――今日のトレーニングは、試合の改善点を踏まえながら組んだのでしょうか?

リカバリーにしようと思っていましたけど、回復と休養よりも昨日の感触を覚えているうちにやることを優先させたほうがいいと思って、中2日ですけど普通に練習しました。やると決めたら、リカバリーではありません。昨日できなかったことを今日練習でやらないと、休養を度外視してやった意味がないです。若いので大丈夫だし、疲れていたっていいです(笑)。

――最後のセッションでは、ボールホルダーを追い越していく意識付けをしていました。

できている選手もいるし、言われなくても意識している選手もいます。その基準をみんなで揃えようと思っています。マリノスの真似をするわけではないですけど、僕らがやられて嫌だったことをできるようになったら、またさらに強くなります。

――ボールを預けて止まってしまうこともまだあります。それはチームとしてのカルチャーであって、マインドも含めて変えていく必要があるということでしょうか?

昨日マリノスの関係者とも話をしましたけど、監督が代わっても染みついたものはなかなか変わりません。メンバーもそんなに大きく変わっていないし、(アンジェ)ポステコグルーがやっていて1年目は残留争いをしましたけど、2年目で優勝した。それが(ケヴィン)マスカットになろうが、(ハリー)キューウェルになろうが、監督が代わってもマリノスは何も変わりません。それが一番の強みだと、長くいる松永成立さんが言っていました。そういうサッカーをみんなができるようになるまでにはそれなりに時間がかかるので、そのバックボーンが必要です。でも目の前の試合は絶対に勝たないといけないので、そのバランスをどう取るか。そこだけだと思います。

僕らも先のことはわからないですけど、今年はこうやって続けていく。去年、今年と続けていく。そうやってチームの文化を作っていくところが、勝ちながらできるといいと思います。

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