【キャンプレポート】中2日の3連戦をくぐり抜け リカバリーの一日 ※一部無料

第2次鹿児島キャンプ第9日の8日、午前練習を鹿児島県立サッカー・ラグビー場で行った。鹿児島入りしてから続いた中2日での3連戦をくぐり抜け、この日は約1時間のリカバリー。選手たちはリラックスした表情を浮かべながら、ボールを使った軽めのメニューをこなした。終了後には霜田監督らが取材に応じ、チーム構築の進捗などを語った。

リカバリーもボールを使う。「サッカーチームなので、どんなときにもボールは必要。僕らはボールを大事にしたいし、止めて蹴る技術をもっと上げたい。身体、頭、心は休ませても、ボールタッチはしっかりやる」と霜田監督。ジョギングなどの後にパスアンドコントロールなどを入れ、ボールの感覚を保つよう意識付けていた。

エンジョイの要素も交え、選手たちからは朗らかな笑みもこぼれていた。サポートスタッフらはリカバリーも関係なく、普段通りピッチ内外を奔走。陰日向に汗をかきながら、鹿児島キャンプは折り返しを迎えた。

これで公開されている中2日のトレーニングマッチ3試合が終了。実戦の中でこそ見つかる改善を繰り返してブラッシュアップする――という狙いの中で、ここまでの感触や完成度をどのように感じているのか。霜田監督と選手2人(佐相、野々村)に話を聞いた。


霜田 正浩監督

――昨日のトレーニングマッチを整理して、改めてどんな課題を洗い出しましたか?

全体的にネガティブには全くなっていません。失点の原因ははっきりしているし、時間帯は反省すべきですけど、公式戦でそれが起きなければいいと思っています。そうやってアラートを鳴らすためには、練習試合でやられて、公式戦のときに「絶対にこの時間はやめよう」とピリッとしてくれればやられた甲斐はあります。点の取り方が非常に素晴らしいので、そこはベンチで見ていてもワクワクするし、楽しそうにプレーしていると伝わってきます。それは本当にポジティブです。

――短いスパンで練習試合を組んできました。それぞれにテーマを設けているとのことですが、昨日はどんなテーマがありましたか?

「流動性」と「連続性」をテーマにしました。ボールが流れる、人が流れる、テンポが落ちない、ノッキングしない。攻撃と守備がスムーズに流れる流動性やポジションチェンジの流動性もそうだし、しっかりみんなで流れるように動くことです。一個ずつのプレーで流れを止めない、足を止めない、思考を止めない。プレーに連続して関わっていく。自分たちがどんどん出して、動いていく。そういうテーマを決めて、それに沿って振り返りをすると、動けていて、流れていて、連続しているのがわかります。

結果的には相手にボールを取られていなくても、そこで3タッチすることは流れを止めていないか。ノッキングしていないか。味方の足を止めていないか。それも振り返りの基準になります。別に取られていないし、何も問題ないですけど、本当にそれでいいのか。それで僕らの流動性が出るのか。それを振り返るのが、基準を高くすることにつながります。

――霜田監督はまず設計図の大枠を共有して、そこから作り込んでいく手法を去年から続けています。今年はすでに細かな部分に目を向けていく時期に入ったのでしょうか?

昔の自分の反省も踏まえていますが、サッカーは相手が変わったり、試合の日のコンディションが変わったり、いろんなことが変わる再現性の低いスポーツです。その中でその日に起きたミスとか課題をないがしろにはしないですが、細かなところに先に目を向けてしまうと、大きなデザインが見えなくなってきてしまいます。ディテールにこだわるのは、公式戦が始まってからで良いと思います。もちろんこだわっていないわけではないですけど、こうやってボールを奪う、こうやってゴールに向かうというデザインが選手の頭の中にあれば、うまくいかなくなったときにそこに立ち戻ることができます。

大枠から入っていくところは、去年、今年とやっていてすごく手応えがあります。そのほうが選手もわかりやすいと思います。僕らがわかるよりも、選手がわかるほうが大事。横道にそれるよりもメインストリーム、王道が大事で、その道を太くしていく作業が良いと思っています。

――開幕週になるまでは、大枠を共有していく作業が続くのでしょうか?

そうです。キャンプ中の練習試合のフィードバックは、公式戦のフィードバックとは違います。一つしかない現象をどちらから見るか。取り上げ方が少し違ってきます。今は「なぜミスをしたのか」「なぜこれが起きたのか」というよりは、「何をやろうとしたのか」が一番大事です。

――90分を通したゲームマネジメントなどは、公式戦を通じて洗練していくことになりますか?

選手たちはみんなわかっているので、聞けば「絶対に開始5分は失点してはいけない」「最後の3分は失点してはいけない」と言うはずです。それをなぜやってしまったか、なぜやられてしまったか。それぞれの原因だけがわかっていれば、今はそこまで気にしなくていいです。やられてしまったことはみんなわかっているし、さらに意識をグレードアップするために、やられる経験は必要だと思っています。

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