【キャンプレポート】若手もベテランも横一線から GK陣の争いは ※一部無料

第2次鹿児島キャンプ第15日の14日、午前と午後の2部練習を鹿児島県立鴨池補助競技場で行った。2回とも時間は70分前後とコンパクトにして強度もコントロール。その中でも一つずつのセッションは抽出すべき要素が明確となっており、パスアンドムーブやクロス対応、ゴール前でのアイデア共有など要素を絞ってブラッシュアップした。

当てる、落とす、刺す。ラインブレイクしてシュートへ。縦長のフィールドで行うパスアンドコントロールのセッションから、ボールを前進させていく手法が意識付けられた。あくまでもポゼッションではなく、プログレッション(前進)が根幹をなすコンセプト。今季はイメージの共有がより鮮明になってクオリティも伴い、円滑さは目に見えて高まってきた。

「前進していくのが僕らのテーマ。当ててどんどん追い越していく躍動感が出ればいいし、まずは『パスを出して止まる』という意識をなるべく減らしていきたい」と霜田監督。連続性と流動性を追求する営みが続く。クロスに対するディフェンスや最終局面の崩しも含め、各シチュエーションとも精度を求めていく。

フィールドプレーヤーの練習から視線をずらすと、GK陣がトレーニングを積む。今季の「GKチーム」は大内を新たに加えた4人。経験と実績あるベテラン2人と若い2人で、互いにリスペクトし合いながら守護神の座を射止めるべく汗を流している。霜田監督は「全員が1番手と思って平等にやらせてみて、誰が1番手になるのか――を見ているイメージ。切磋琢磨できるようになってきた」と話す。

昨季から指導する吉本哲朗GKコーチは、松本山雅のGKのコンセプトとして「チームの勝利に貢献できるGKを目指す」というテーマがあると語る。それをプレーモデルに落とし込んでおり、既存の3人は引き続き積み上げていく。「若手は昨年からレベルアップできているし、ベテランも昨年多くゲームに出て細かな部分をたくさん改善できてきた。底上げができている手応えはある」という。

新加入の大内も含め、4人ともシュートストップは一定水準以上の評価。「GK4人はいつでも行けるというスタンスにしておきたい」と吉本GKコーチは力を込める。理想論ではなく実現するにはまず、最も実戦経験の少ない神田のボトムアップを重視。本人も4年目で「勝負の年」と位置付けており、トレーニングマッチごとに成長を示した。もちろん村山とビクトルの安定感も不変。開幕の足音が近付く中、引き続き切磋琢磨の日々が続いていく。

霜田監督とGK4人のコメントは以下の通り。


霜田 正浩監督

――GK陣はそれぞれ良い競争ができているのではないでしょうか?

今年は序列を最初から度外視して、「全員が1番手」と思って平等にやらせてみて、誰が1番手になるのか――を見ているようなイメージです。(大内)一生は将来性があるし、ビクトルにはビクトルの強みがあります。村山はベテランでいろんなことがわかっています。(神田)渉馬もだいぶ成長していることを考えると、切磋琢磨できるようになってきたと感じています。

4人ともそれぞれストロングがあり、それぞれ課題があります。DFラインとの組み合わせ、どういうサッカーをやるかという組み合わせ、何を求めるかという基準を踏まえて誰がいいのかを考えます。ただ、うれしい悩みではあります。

――ベテランの2選手にとっても、大きな刺激になるのではないでしょうか?

彼らは毎年刺激を受けていると思います。どんどん若い選手たちが出てきます。橋内もそうですけどベテランの選手は歳を取るごとに安泰かというと、そうではありません。年齢との戦い、居場所との戦い、時間との戦い。現役を続けるかどうかという決断も含め、いろんな戦いが増えてきます。そういう意味では毎年勝負して勝っていくからこそ、こうやって長くいられています。安泰だとは思っていないし、チャレンジャーとも思っていない。ビクトルと村山に関しては実績も経験もあるので、なんの心配もしていないです。

――ビルドアップへの参加も求めたいところだとは思いますが、やはり最優先は「ゴールを守る」という部分になってくるのでしょうか?

それはどのチームも同じだと思います。いくらビルドアップがうまくても、しっかり守れないのではGKではありません。センターバックも同じですが、DFは守ることが第一。最後の砦なので、GKにはいつも「安定感と安心感」と言っています。前の10人を安心させることです。

そして守ってから攻めるのではなくて、守りながらどう攻めるのか、攻めながらどう守るのか。そう考えることが求められる時代になってきています。両方できたほうがいいですけど、まずはしっかり守れないとプラスアルファにはなりません。守れないのをカバーするのがビルドアップの能力ではなく、守れてビルドアップできるのが一番。シュートストップに関しては距離とかコースの得意、不得意はありますけど、(4人とも)一定の水準まで上がってきているように思います。

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