【試合後コメント】霜田 正浩監督 第11節 富山戦 ※無料配信
――試合の総括をお願いします。
1万人を超えるサポーター、富山のサポーターも本当に大勢来てくれて、素晴らしい雰囲気を作ってくれました。まず感謝いたします。いつも言っているように、J3でもこれだけの熱気があるスタジアムはないので、その中でサポーターに気持ちを伝える、勝利と感動を届けることを今日のテーマにしていました。感動してくれたかどうかはわかりませんが、勝利をまず届けることができてよかったと思います。
非常に暑くて、まだまだ身体が暑さに慣れてない中でお互いにキツい中、90分勝負の消耗戦になると思っていました。前半は1-1でOKですし、後半に点を取ってから守り切るだけではなくて3点目を取りに行く姿勢が出て、3点目を取れました。それもすごく評価できると思います。
――浅川選手が復帰初戦で2ゴールを挙げました。その評価と、彼が戻ってきたことの意義をどのように考えているか聞かせてください。
彼には「また開幕だ」という話をしました。点を取る能力が高く、うちの攻撃の形であれば彼に得点チャンスが増えるというのは、ケガをする前からわかっていたことです。もちろんコンディションの面もあるので途中から行くことも考えましたが、やはり彼がたくさん点を取るには時間が必要なので頭から使いました。「行けるところまで行け」という話をして、守備も含めて2点目もああやってプレッシャーをかけて相手のミスを誘うのは彼らしいと思いますし、非常に僕らにゴールだけではなくてエネルギーを与えてくれたと思います。
――試合は前半、プレッシングがハマらない展開だったと思います。後半はうまく改善できたように見えましたし、そこから横幅を使いながら攻撃ができていたように感じます。ハーフタイムにどのような修正を加えましたか?
前半はプレスに行くところでなかなか行き切れず、相手に長いボールを蹴らせてもセカンドボールを拾われてしまっていました。「崩された」というよりは「運ばれてしまった」「前進させてしまった」前半だったので、後半は少しプレスのやり方を変えて、相手にもっとシンプルにボールを蹴らせようと、蹴らせる部隊と(ボールを)拾う部隊に分けて、相手陣地でサッカーができるようにプレスのやり方を変えました。
取ったボールはまだまだ繋がなければいけないし、僕らはそのボールを動かして相手を動かして、相手の裏を取るオープンプレーでの崩しがもっとなければダメだと思っているので、そこは大いに反省をすべき点です。ただ、それでも相手の矢印をひっくり返して背中向きに走らせることで、相当彼らのディフェンスラインは消耗していました。こちらが途中から元気な選手をどんどん送り込めば、相手の裏が取れるのではないかとずっと思ってました。
――オープンプレーでの崩しが理想的ではあったと思いますが、セットプレーであれ相手のミスを誘ったものであれ1点は1点です。前節同様、自分たちの内容でなくても勝点3を取ることが今日もできました。それは日々の取り組みから厳しさやシビアさにクローズアップして追求してきた成果も徐々に出てきたのではないでしょうか?
自分たちの思ったようなサッカーができなくて、綺麗な崩しができなくて点がもし取れなくても、点を取らせなければ負けることはありません。自分たちのビルドアップのミスから失点してしまいましたけど、それ以外にシュートブロックをする、クロスに対してゴール前でマークをする。僕らが今まで厳しさを伴いながらやってきたプレーモデルは攻撃だけではないので、守備のモデルに関してもしっかりみんながやり切ってくれました。
サイドバックの選手が足をつったので(村越)凱光が自発的にサイドバックをやってくれたように、味方を助けるプレーが90分間出ました。「ハードワーク勝負になる」という話をしていた中で、ハードワークで相手を上回ることができたと思います。
――ハードワークを売りにしている相手にその部分で上回って勝ちました。過信になってはいけないでしょうが、今季初の連勝であるという部分も含め、一つステップアップして連戦に向かえる良いファクターだったのではないでしょうか?
今の僕らの順位を見ると、過信になど絶対にならないと思っています。一つずつ上が勝っても僕らも勝ち続けなければいけないので、次の対戦相手から目の前の勝点3を取ることだけを考えて準備をします。基本的には練習が全てで、試合に起こることは全て練習で起こると思っています。やはり練習から、相手がどこであれ、連戦であれ、暑さであれ、関係なくやり切ることが大事です。
――失点についてもうかがいます。ビルドアップの局面のミスで、相手も前向きのハイプレスが効いていた時間帯でもありました。「低い位置でのミスはやめよう」という話をしていた中でのミスではありましたが、かといって怖がってチャレンジを止めるのも本意ではないと思います。当然、映像を見返して噛み砕いてのフィードバックにはなると思いますが、現時点ではそこに対する評価はいかがですか?
「ビルドアップのそもそもの目的は何か?」を、ハーフタイムに選手たちに問いかけました。ボールをもらいに来る後ろ向きな選手に当てるだけがビルドアップではなくて、どうやって前を向くか、どうやって前線の4人にボールを届けるかが僕らのビルドアップです。後ろを向いている選手につけて、それをさらわれてカウンターを受けるのは、そもそもビルドアップが何かを1回忘れてしまっています。
そこをもう一回リマインドして、相手がどんなにプレッシャーに来ても誰がどこから来るかがわかっていれば、きちんと準備ができるし立ち位置も取れるし、身体の動きも作れます。怖がるかどうかは勇気やメンタル的な要素もありますが、個人戦術をもっと上げていくこと。相手のプレッシングをしっかりはがしていかなければいけないと思っています。そこはまたこの間(前節)と一緒ですが、勝ちながら反省をしたいです。
途中から橋内が長いボールで相手を引っくり返しましたが、それも僕らのビルドアップ。究極的には大内一生から(浅川)隼人に出た2点目もビルドアップの一つだと思っています。前に出た相手GKのミスを誘うようなボールを(大内)一生が蹴って、そこに(浅川)隼人が走るコミュニケーションが取れていました。すごくいいプレーだったと思います。
――ホームの連戦の中で連勝を飾れた意義はどう受け止めていますか?
ホームで続けて試合ができます。この間のルヴァンカップもそうですけど、地の利を生かさなければいけないと思っています。連勝するのは僕らにとっても絶対的に必要なことなので、内容もそうですけど、やはり勝ちながら反省していくことです。この2試合で勝点6を積み上げたわけですから、勝った後を大事にして、勝ちながら次のことをまた考えて準備をして、ホームでは絶対に負けたくないと思っています。
内容にも結果にもこだわっていきたいと思っていますが、内容が良くて結果が出ない試合がずっと続いていました。やはり結果が出るとみんなが本当に喜んでくれるし、次に向かうエネルギーが出ます。全然満足はしていませんが、一つ区切りというか、連勝ができたのはすごくうれしいです。