【試合後コメント】霜田 正浩監督 第38節 沼津戦 ※無料配信

――本日の試合の総括をお願いします。

最後に点を取ったのは安永玲央ですが、あれがゴールに入ったのは本当に(沼津まで駆けつけたサポーター)2,700人のおかげだと思います。ホームのような雰囲気を作ってもらいました。これは当たり前のことではないし、そのサポーターの応援声援にふさわしいゲームをやろうと話をしてきました。

まだまだ課題はたくさんあるし完璧なチームではないですけれども、こうやってゼロで抑える。守備で身体を張ること、相手のシュートをゴールに入れさせないことができていればゲームが壊れなくて済むし、こうやって最後の最後にピンチの後にチャンスが出てきます。そのチャンスを決めきれるかどうかで今日は本当に気持ちが安永のシュートに乗り移ったと思います。

でもまだ何も成し遂げたわけではなく、ここから2つが勝負です。1年間の締めくくりとして勝って5連勝で終えられたことはすごく選手たちを褒めたいと思いますが、まだあと2つ大きな仕事が残っています。何も緩めることなく、次の準備をしたいと思います。

――特に前半は沼津にボールを一方的に動かされてしまいました。準備してきたものがある中で、実際のプレーはどのようにご覧になりましたか?

どう耐えるかが一番大事だと思ってました。選手たちが一番「なかなかボールが取れない」とか、いろんなことを感じていたと思います。沼津さんは本当にボール回しがうまいので、やらせていいところとやらせてはいけないところ(を整理することが大事)。

この気温もあってだんだん疲弊するのが嫌だったので前半は0ー0でOKだなと思っていましたけれど、向こうも落ちてくるし、こちらは逆に上がってくる。0-0の時間が長くなれば、逆にこちらにチャンスが出てくるなと思っていました。試合が前半だけで終わるのであれば判定負けですけれども、試合は90分あります。後半をどれだけ余力を残しながらギアを上げて形勢を逆転していくか、それだけを考えていました。前半シュートがポストに当たったり向こうが外してくれたりと運もありますが、それらも全てひっくるめて、ちゃんと前半をゼロ(失点)で終えたことがよかったと思います。

――浅川選手、山口選手を投入したタイミングで4バックに切り替えました。そこも勝ち越すために勝負をかけた場面だったと思いますが、どのような狙いでしたか?

0-0で勝点1では絶対ダメだと思っていたので、どこかで勝負をかけようと。0-0とか負けていたりとか、どうしても点を取らなければいけない時には、点を取るためのシステムがありますので、システムを替えました。

齊藤学選手が出てきて嫌だったので、宮部をつけてやらせないようにする。そこで宮部が頑張って、前にトップ下に菊井を入れれば、攻撃の厚みも出ます。練習ですごく調子が良かったので山口一真の右足に期待する。そうした、点を取るためのオプションを全部行使して点を取れたので、あとはもう橋内を入れてクローズするだけでした。

――プレーオフとして試合は続きますが、リーグ戦38試合は終了です。振り返ってどのような成長があったでしょうか?

選手をうまくさせたい、選手を成長させたい。それでチームを強くしたい。二兎を追おうと思ってやっていました。うまくなった選手も成長した選手もいますけれど、なかなか勝ちきれなかったり、勝点を落としたり。引き分けの数がこの順位になってしまったと思っています。「守り切る」あるいは「勝ち切る」ことがリーグ戦の中では足りなかったと思います。

ただ、その中でも勝負強さ、あるいは最後のキワのところ。だんだん終盤戦につれて、選手たちが自分たちの中で修正をしたり、どう勝つかを主体的に考えて行動するチームになりました。今日もハーフタイムでよく選手たちが話し合っていました。それは選手だけではなく、チームとしての成長をとても感じます。

まだ何も終わっていません。ルール上はあと4チームのうちの1チームだけが上がれることになります。4分の1の確率をかけて戦いたいと思います。

――ボールを持たれる中で、捕まえきれなかったりイメージ通りの奪い方ができなかったり、あるいは奪った後の落ち着きどころがなく難しい展開を余儀なくされたように映りました。

「セカンドボールが拾えない」という話は、ハーフタイムに選手たちみんなが言っていました。僕らは前からプレッシャーをかける。でもそれをGKも含めてロングボールでひっくり返す、後ろの5人は相手が3枚しかいないのに、裏も怖いので5対3ができてしまう。そうするとどうしても中盤に数的不利ができてしまって、いくら走れるダブルボランチだとしても、やっぱり広大なスペースをカバーしなければいけませんでした。

相手が3トップでうちの5枚をピン留めしているので、逆に言うと前の3枚が行かない時は行かない、あるいは後ろの5枚が勇気を持ってもう少し押し上げる。いろんな方法論がありますけれども、やはりロングボールを蹴られたときにセカンドボールを拾うにはどうしたらいいか。それはもう選手の体力や能力に任せないでセカンドボールを拾える仕組みはまたやらなければいけないと思っています。

僕らもボールを持ちたいチームなので、勇気を持って繋いでいくことにはもう一回トライをしなければいけないと思っています。ただやはりボールを奪うのにかなりパワーを使ってしまうと、取った後にみんな休みたくなってしまう。カウンターに行くパワー、あるいは取ってカウンターに行かないでもう1回繋ぎ直すパワーはメンタルが大事だと思っています。

そういう意味では、良い形で奪えば簡単に行くし、低い位置で奪えばしっかりプログレッションしていく。今までずっとやってきたことをもう一回、原点に返ってやらなければいけないと思っています。

――紆余曲折がありながらも終盤戦で存在感を発揮し、決勝ゴールを切れた安永選手の評価はいかがですか?

簡単なシーズンを送っている選手は誰もいません。試合に出られなかったり、ケガをしたり、メンバーから外れたり、レギュラーから外されたり…。そういう困難な時にどれだけ自分に矢印を向けて頑張れるか。そこで頑張った人間は最後の最後でやっぱりご褒美が来ると思っています。

それができるようになってほしいし、困難なときに逃げないでほしい。戦ってほしい。選手としてだけではなく、人間として成長する。そういう選手が18人いないと本当に強いチームは作れないと思っています。それは去年もそうですけど、1年間ずっと、人として成長させることがどれだけ必要なのか。ただサッカーがうまいだけではなくて、こういう厳しい時にちゃんと戦える人間、味方のために走れる人間…そういうメンバーが最後の最後に18人そろってきたと思っています。安永は本当に「ここぞ」という時に、大きな仕事をしてもらえるような選手に成長しつつあると思っています。

――5連勝でリーグ戦を終えました。この結果についての受け止めなどを聞かせてください。

結果として5連勝しているんですけど、そこの「何が良かったか」という総括を、次の2試合に繋げなければいけないと思っています。この5試合で2失点しかしていないし、今日も無失点。守備の堅さはやっぱり僕らのベースにしなければいけないと思っています。

それはシュートブロックだとか、あるいはカバーリングだとか、チャレンジアンドカバーだとか、当たり前のことを当たり前にやり、それで相手を上回る。いくらボールを回されても最後にシュートを打たせない、あるいはシュートブロックする。GKも含めて全員で守ってゼロで抑えることができればゲームは壊れないで済むし、そうやっていけば僕らもチャンスは作れると思います。そのピンチの時にしっかり戦ってチャンスをものにする勝負強さを、残りの2試合でも発揮したいと思っています。

――4位でJ2昇格プレーオフとなり、準決勝はホーム開催となります。

今日の2,700人(の雰囲気)をもう一回、次はホームで、もっと多くの松本の人たちに来てもらいたいと思っています。プレーオフに行くことは試合前から決まっていましたが、必ずホームでやることに強い執念を出そうということで最後まで戦ってくれた結果だと思います。やはりホームのアルウィンでちゃんと勝って、プレーオフの最終戦までいきたいと思っています。

もちろん、最終的に90分のスコアで相手よりも1点多く取ることがサッカーの原点です。僕らもボールを持ちたいし、パスも繋ぎたいし、今まで61点を取っています。そういう意味では守備的なチームではないし、「守って、守って」というチームでもありません。ただ相手のストロングはリスペクトしなければいけないと思っていますので、きちんと対策を練って戦っていきたいと思います。