【報道対応】下條 佳明スポーツダイレクター(2024.12.12)※無料配信
――霜田監督の契約満了について、経緯と背景を教えてください。
シーズンを通して、クラブサイドと協議した結果です。評価を含め、シーズンを通して、それから先々を見越して協議した結果がこのような形になりました。
――J2昇格の可否が大きなポイントだったのでしょうか。
それだけではありませんが、ミッションではありました。2年間という時間の中でいろいろご努力されてチームも改善された部分もありましたが、プレーオフの試合のように、少し土俵際でうっちゃられたような展開になってしまいました。当初は自動昇格圏内を目指して頑張ってきましたが、最後も含めて成果に繋がらなかったところが大きかったと思います。
――2年間の取り組みをどのように評価されていますか。
(5連勝でリーグ戦を終えてJ2昇格プレーオフに突入した)最後の7試合。このタイミングがもう少し早ければ…というところはあります。引き分けになってしまった試合のうち、追い付かれる試合が多かった印象があります。我々は得点は2点以上、失点は1試合1失点以下を掲げていました。データ的には実はトップの大宮以外に、それを越えているチームはいません。
順位的にも最後は4位で終わるのですが、4位に至ったのは最後の5連勝があってのことです。それまでは7、8、9位といったところでした。終わりの方が手応えのある試合運びができたので、もっと長く、早いタイミングでそれができればよかったと思います。
霜田体制の監督・コーチは非常に細部まで分析していました。私たちのイメージ以上に細かい分析で、特にリスタートからの得点など効果も出ていました。勝負事は「細部に宿る」と言いますが、オンザピッチ以外の部分、普段の生活など、振り返ればそういったものが少しずつ足りなかったのかもしれません。
結果は「出てしまうもの」で、大切なのはその結果を出すプロセス。それがチームが変わっていくヒントになる。こういうサッカーをやりたいからこの選手を、このポジションにはこういうピースが必要だと。その過程を大事にしていかないと、クラブに残っていくものがなくなってしまいます。
――クラブとして目指すチームの姿はどのようなものですか。
トレンドを感じつつも、山雅が作ってきたものの中で「変えるもの」と「変えなくていいもの」を見極めることです。ホームタウンや地域文化を感じながらやっていく。(サンプロ)アルウィンという素晴らしいスタジアムで、お客様に単なる勝ち負け以上のエンターテイメントを提供したい。結果を出しながら、より喜んでいただけるサッカーを目指しています。
そのためには選手がどんどん成長していくことが大事で、その部分では霜田監督の功績は大きかったと思います。システムの話ではなく、サッカーを主体的にやるというベースの上で、何を積み上げていけるかが重要です。
――後任の監督には何を求めていきますか。
一つは継続です。ただコピーしてそれを継続するのではなく、それぞれの監督にオリジナルがあると思います。この戦術が得意で詳しい、というものです。新しく来る方もそういうものを持ち合わせていると思いますが、それをやろうとしたときに、選手たちがそのサッカーにフィットするかが大きなポイントです。
サッカーはシンプルにできるのが一番いいと思っています。ただしポゼッションは重要な要素で、ポゼッションできないチームは強くなれません。チャンスメイクのためにボールを保持しないと、オーバーラップをかけるにしても複数人数で攻めるにしても、ある程度ボールを持つ自信がないと分厚い攻撃にはつながりません。そういう中にショートカウンター、ロングカウンターが入ってくる。今のサッカーはそういうことだと思います。
霜田監督が作ってくれたベース、今年積み上げたもの、歴史的に培ってきたものを大切にしたい。「4バックか3バックか」といったシステムの話ではなく、相手の隙を突き、ボールを主体的に動かしてプレーする。そういったベースは霜田監督が作ってくれました。次のステップについては決定次第、クラブから発表させていただきます。
――クラブとして厚くしていくために補ってほしい部分はなんでしょうか?
データ的にはどうしても失点が多かったです。サッカーは不用意な失点が早い時間帯に入ると、リスクを負いながら試合を進めることになります。失点をしないことは重要な要素。ただ、失点をしないからといってべったり引いてサッカーをやるのも、エンターテイメント性に欠けます。ただ勝つためには、ある時間帯それも必要なことになってくる。使い分けをすることが一番だと思います。
――監督以外のスタッフの編成についてはいかがでしょうか?
もちろん継続的にやられる方もいますが、監督の意向を聞きながらまた再編成するということになります。こちらもすぐに決まる話ではなくて、いろいろ協議しながら進むことになります。
――マネジメントの面で、選手への起用やアプローチについて課題を感じる部分はありましたか。
どこのチームでもある話だと思います。選手によって受け止め方は違いますし、その辺は表現の仕方も含めて、どちらかというとポジティブな答えというより、振り向けば「ここがダメだった」「あそこがうまくいかなかった」という話になりがちです。
出ている選手が不満を持ったときには、コーチとか監督に相談する。それもコミュニケーションの一つです。大事なコミュニケーションですね。そのあたりは選手にもそうしてやっていかないと修正が難しいものです。
言葉のキャッチボールができれば一番いい。そのストレスが本当にストレスになっているのか、自分だけではないのか、いろんな問題点が出てきます。コンビネーションとか、自分の近くにいる選手との連係を考えたらこうじゃないああじゃないと。それも含めてサッカーなので、そういうことを積極的にもっともっと話し合わなければいけないと思います。
――トップチーム強化本部としての今年の振り返りと、来季への思いをお聞かせください。
もちろん私も立場が立場ですから責任もありますし、それは監督と同様です。ただ、我々の責任はチームの未来に向けて、今やっているサッカーのいい部分を継続しながら、いろんな意味で私も年齢が高くなってきていますので、後進に伝えながら。この先々のことはまた協議しながら、みなさんにお伝えしたいと思います。