【キャンプレポート】待望のキャンプイン 天然芝で追い込む8日間 ※一部無料
第1次串本キャンプが22日、和歌山県串本町の串本総合運動公園サン・ナンタンランドで始まった。前日に静岡でトレーニングマッチを行ってからバスで約430km移動したため、さすがに強度は控えめ。それでも待望の天然芝ピッチで練習できる喜びを噛みしめながら、ボールトレーニングに汗を流した。
午前中はリカバリーとし、午後から本格始動。ペース走などを挟み、パス&コントロールを経てからビルドアップ/フィニッシュを組み込んだ。
ビルドアップは4バック+ボランチの1チーム6人で、同数の相手を置く設定。距離感や見るべきポイント、ボールのルートなどを確認。早川監督が主導し、パススピードを上げるよう指示も飛んでいた。
根源となるのは、直前のパートで組み込んだパス&コントロール。距離、角度、タイミング、身体の向きなどに関する細かな指示がなされ、根底に「ボールを前進させる」狙いが色濃くにじんだ。
午後練習は1時間余と短めで終了。早川監督は選手たちに「明日からは、やるよ」と告知しており、23日からは強度にこだわったハイ・インテンシティのトレーニングになりそうだ。
この地でのキャンプは8日間。中3日でトレーニングマッチ2試合が予定されているものの、基本的には「追い込む期間」として位置付ける考えだ。
このほか午前練習の前には歓迎セレモニーを実施。和歌山県串本町からは特産のブランドみかんが寄贈された。
キャンプ初日までの手応えなどはどうか。早川監督と選手2人(杉田、佐相)のコメントをお届けする。
早川 知伸監督
――いよいよ串本キャンプが始まりました。この8日間の進め方のイメージはいかがですか?
一つは(天然)芝なので、個人の強度を上げていく作業。身体の順応も含めてもう少し上げられるので、そこを重点的にやりたいです。強度というところでもっと行けるような、筋持久力も含めたトレーニングを國保塁さん(フィジカルコーチ)と一緒にやっていくのが一つです。
戦術的な部分としては、グループ戦術を攻守ともにそろえていきたいと思っています。全体の大枠のイメージがある中で、7人までくらいのイメージで、グループ戦術を浸透させたいです。
――昨年も國保フィジカルコーチとともに身体づくりを進めていきましたが、どんなサッカーを目指すのかによって求められるフィジカル能力も異なると思います。今年に関しては目指す姿から逆算した時、土台をより鍛えていく必要をあるのでしょうか?
一番は短い距離での連続した動きです。方向転換も含め、よりやっていかないといけないと思っています。自分たちがトランジションでの強みを出していく、そこを求めていくための方向転換と、短い距離での連続した動き。
その部分では、去年とは明らかに違うところにチャレンジします。そこにフォーカスしながら、フィジカルのパートとテクニカルのパートの両方で進めていきたいです。それがこの和歌山キャンプでの一番のメインになると思います。
――開幕戦が他チームより1週間遅れますが、結果的にキャンプインもやや遅いタイミングで例年よりも短い期間となりました。開幕から逆算してどう進めていきますか?
そこは全然ネガティブに思っていませんし、現状の中でやっていくしかないです。開幕が1週間遅れることで、より自分たちの都合のいい形にもなると思っています。
その時間を有効に活用できるかどうか。1週間遅れたぶん、相手を他のチームよりも見られるのはすごくポジティブだと思います。
――ビルドアップの考え方は、昨季と変わったところもあるのでしょうか?
そもそもの考え方が大きく変わることはないと思いますけど、より自分たちが安心・確実に前進していくために、原則を伴ってやっていきたいです。
その原則を理解するために、より自分たちが優位に立っていく。それは一つ考えないといけない部分です。
その基準は少し今日の中で話をしたり、プレーモデルを見せている中で原則に則るというところはあります。頭と体と両方で理解していくと、少し違う形にはなると思います。
――パス&コントロールから、前を向いて前進することを意識づけていました。それもビルドアップの根源になってくるのではないでしょうか?
そこはコーチたちとも話をしていて、昨日のゲームもそうだったし、ここまでのゲームでも多く感じていた部分です。
自分自身もそこは去年からずっとやっていたものの、やろうとしていることと起きている現象が違う部分もあったと思います。本当にベースの部分ですけれど、そこはしっかりとまずやって、継続することです。
距離、角度、タイミング、体の向き、方向…。これは意識してやっていかないといけないところです。今日もコーチたちと話をして、ポジティブなところがありました。
そこは続けてやっていこうと思いますし、こちらがどれだけ見張っていけるかだと思います。
――霜田正浩前監督は、全体像を見せて概念を共有していくことに長けていました。そのベースをうまく活用しながら、バージョンアップしていくようなイメージになるのでしょうか?
そこは間違いないです。霜田さんが考えていたものと真逆なものは全然ないと思いますし、せっかく積み上げてきたものを生かせるのは、自分が続けている強みでもあります。それは選手たちもそうです。
――それは立ち位置や奪い方などといった要素にも宿ってくるのでしょうか?
そこがないとできないと思っています。意識だけではできないし、そこの局面だけでもできないです。
自分たちが「いつ」「どこで」「誰が」「どうするのか」。そういう具体的なものがしっかり明記できないと、選手たちは動かないと思います。
それが出せるかどうかは、こちらの提示次第だと思います。
――「主体性」もキーワードになる中で、それらはすべてがルールなのではなく、一定のプレーモデルがある中で共有していくイメージでしょうか?
基本的に主体性というのは、あくまで規律がある中での主体性。その中でチョイスしていく上で、自分がどうすべきかを考えてほしいです。規律があるのが大事で、その中で自分が判断できる材料を持っていければいいと思います。