コラソン試合レポート Jリーグ プレシーズンマッチ AED普及マッチ 横浜F・マリノス戦
第3次となる鹿児島キャンプの合間を縫って臨んだ横浜F・マリノスとのプレシーズンマッチ。
僕なりに注目したこの試合のポイントは、ズバリ『新戦力と既存戦力との融合』。
これがどの程度、こなされて形となっているか?この部分は特に注視したので、
本稿でもその点について重点的に書いてみたいと思う。
松本山雅のスターティングメンバーとしてピッチに立った新戦力は4人。
順番に見ていきたいと思うが、先ずは2人が入れ替わった3バックのディフェンス陣から。
当たり前の話ではあるが、サッカーの守備というものは3人でするものではない。チーム全体で「どのように守るか」が重要だ。
この観点から見てみると、前半立ち上がりの8分、そして25分。
それぞれ、前線が守備のスイッチを入れた時に連動出来ていなかったプレーが見受けられた。
しかし、試合が進み時間が経過するにつれて、上記のようなプレーは減っていった。
そして、有効なプレスから高い位置でボールを奪いチャンスへとつなげる場面も多く見られたのは好材料。
もっと引いて守備に専念せざるを得ない時間が多くなるか、とも思っていたのだが、実際はDFラインを押し上げて、より前でアグレッシブにボールを取ろうとするチームの意識が強く感じられた。
高い位置でボールを奪い、チャンスがあれば積極的にゴールを決めようとするチームの狙いも見ることが出来たのも嬉しい点。
もちろん、強力なオフェンス陣を誇る横浜F・マリノスが相手なだけに、選手個人の能力の高さの前にしてやられる場面もあったのは事実。それでも、最後は3バックがボランチを中心に体を張れていた。
いくらチームとして守れていたとしても、ゴール前、最後の局面では3バックのDF陣がいかに体を張ってゴールを割らせないか、が生命線となってくる。そういう意味では、今後を感じさせてくれるディフェンス陣の奮闘が見られたのはよかったと思う。
後は、チームのエースだった船山貴之選手が去った前線。シャドーには池元友樹選手を配し、1トップに入ったのは9番のオビナ選手。
池元選手は、チームが求めている守備について献身的に良くやっていたと思う。今後はこの部分をベースとして、敵陣に攻め入る場面ではDFラインの裏へと抜けて得点を取るところまでが求められる。体力的にもしんどく、非常に難しい要求だが是非とも頑張って欲しい。
いい意味での驚きだったのが、1トップを務めたオビナ選手だ。横浜F・マリノスは、J1でも屈指のセンターバックを擁するチーム。その自慢のセンターバックを相手に、タメを作っていたし、献身的に守備にも参加していた。残念ながら得点こそ奪えなかったが、相手に脅威を与えていたのは間違いない。プレシーズンマッチとはいえ、ここまでやってもらえれば本番でも大いに期待が出来る。松本山雅が、これから迎える初のJ1のリーグ戦を戦うにあたって、オビナ選手は頼れる楽しみな存在であり、非常に明るい材料だろう。
しかしシャドーとの距離感、そして連携に関してはまだまだ上げて行ける部分なので、開幕までに更なるレベルアップを目指して欲しい。そうすれば、面白い攻撃が見られる筈だ。
最後に一つ。J1を代表する名門チームを相手にフルタイムを力負けせず戦い抜き、そして勝てたことは自信にもなるし、とても重要なことだと思う。但し、プレシーズンマッチと本番である公式戦は違うものであることも事実だ。
この点を選手、そしてスタッフは十分分かっていると思うが、サポーターの皆さんもこの勝利で楽観することなく気を引き締めて開幕に備えてほしいと思う。
文章:コラソン 飯尾 和也
元 松本山雅FC センターバック。
ヴェルディ川崎、ベガルタ仙台、サガン鳥栖、横浜FCなどでのプレーを経て、2011年 松本山雅FCへ加入。松本山雅FCのJFL→J2→J1昇格へ貢献し、2014年シーズン終了後引退。 現在はメンタルサロン コラソンの代表を務める傍ら、講演会等も行っている。
Jリーグ通算311試合出場
U-16、U-18、U-19日本代表