【試合後コメント】名波 浩監督 第39節 甲府戦※無料配信

■名波浩監督記者会見のコメント

――まずは試合の総括を。

甲府は積極的に可変してくるシステムで、新井が3バックの真ん中から出てきてボランチエリアに入ったり、ボランチエリアが少し引いたところでワイドに幅を取ったり。それからウイングバックがより高い位置を取りに両サイドに行った中で、そのエリアにシャドーが落ちてきたり。その可変に対して自分たちが、曖昧なポジションを積極的に取ろうという表現で、今週はずっとセットして練習してきました。曖昧なポジションと言ったら50:50の時もあれば、40:60、30:70の時もある。そこでストレスを感じずに2度追いさせたり、自分が2度追いしたりという中で、積極的にスライド、縦ずれをするのではなくて、ここぞというチャンス以外はスペースを埋めるような守備をしていこうという形で入りました。

セットプレーで先制されましたが、前半のウォーターブレイクの後からは自分たちがボールを握れるようになりましたし、相手の可変の裏をつくような自分たちの可変。特に左サイドの外山と常田がボランチやセルジ、2トップと絡んだりしながら、だいぶボールは動いていたと思います。決定的なシーンこそなかったですが、形としては戦前に僕が予想していたよりはボールが動いていましたし、人も積極的に動いていたと思います。前半の相手との差で考えると、奪った後の質で、特に空中戦のヘディングの質が明らかに甲府のほうが高かったです。そこで甲府は繋ぐ意識、我々はクリアする意識で、その差でボールを握られてしまったと思います。

後半の同点に追いつく前までは、若干相手にゲームの流れが行きそうでしたが、まず最終ラインで踏ん張れていたことと、徹底して(ウィリアン)リラのところに入らないように。そしてリラがボックス脇に行った時に、パワーやスピードを持った形を作られないようにということはできました。そこで0-1の状況が長く続いたことが、同点にできた一つのポイントだと思います。セットプレーからでしたが、押し込める時間帯は伊藤がスルーパスに抜けて中で榎本が左足で打ったシーンも含めて、何個かチャンスは生まれたと思っています。問題は自分たちがシーズンを通して点が取れていない中で、苦労して点を取った後に勝ち越されてしまうこと。2点目も苦労して取った後に勝ち越されてしまう。下位クラブの苦しいところですが、追いかける展開というのはだいぶ厳しいゲーム状況になってしまうとまた痛感しました。

2-2に追いついた後はメンバーを変えて、パワープレーというところで、セットプレーでクイックでやられてしまいました。そこは少しゾーンなのかマンツーマンなのかはっきりしていなかったことと、クイックで始められた中で危険なところをしっかりとケアするというアラートさがなかったです。ボックスの中を一回使われたのも良くなかったところですし、クロッサーに対してのアプローチが若干甘かったのも3失点目の原因だと思います。あれがなければ相手もだいぶあたふたしていたので、可能性のあるゲームだったと思います。

――点を取った後に2回取られてしまいましたが、防ぐために足りなかったことは。

前がかりになるのは分かりますが、それでも自分たちがボールを握った時が初めて前がかりになれるチャンスだと思います。少しふわふわしていたのか、特に3失点目は全くやる必要のないシチュエーションでした。もう少し中で声かけしながら、アラートに対応できたと思います。中と外のコーチングなり、コミュニケーションなりが上手くいかなかったのが大きなポイントだと思います。

――試合後に選手は厳しい表情をしていましたが、ロッカーでの様子は。

だいぶ頭は下がっていたと思います。前日に北九州が勝っていたので、しがみつくという意味では3ポイントしか考えていませんでした。そこでこういったゲームで1も取れなかったのはショックだと思います。ただ選手たちに言ったのは、10試合、15試合前にこういう展開のゲームを増やさないといけなかったですが、その時期だとしたらもう0-3で負けていたようなゲームだったと思います。そこで1点返して、2点返して、自分たちの時間も何回かできたので、決して下を向く必要はないと伝えました。

――残り3試合も勝利が求められますが、どう切り替えて臨んでいきたいでしょうか。

しっかりとコミュニケーションができて、球際で戦える選手を積極的に起用するとは選手たちにも言っています。10試合、15試合前からこういうゲームを続けなければいけなかったというのは大いにある反省点ですが、選手たちの危機感ももっと煽りながら残り3試合をやりたいです。幸いホームで2試合ありますし、地の利も活かしながらやっていきたいと思います。

――残り3試合で勝ち点9を取りに行くための手段や考えは。

前日練習も含めて準備したことを選手には提示して送り出したいですし、それ以外はあまり考えていないです。突拍子もないことをやってバラバラになるのが最悪だと思います。今日の4バックと3トップ気味というのも、前日練習でやっています。やったことをとにかく連続性、継続性を持ってやりたいですし、やってほしいです。あとはものすごく抽象的な言い方になってしまいますが、気持ちというのは大切になってくると思います。多くのサポーターがアウェイに来てくれているので「もう動けない」「声が出ない」というくらいの姿をしっかりと見せないといけないですし、それがプロとしての姿だと思います。そして最後まで諦めない姿を示し続けなればいけないと思います。