【試合後コメント】名波 浩監督 第40節 山口戦

――まずは試合の総括をお願いします。

相手が札幌や大分のように、人数が前に5人いて、ウイングバックが高い位置を取って、後ろ5枚、前5枚でポゼッションするような形を好んでやってくると思っていました。ウイングバックがロックされてなかなか上下動できないという中で、上下動するためにはどうしたらいいのか。自分の前に人が必ずいるのが良いと思ったので、攻撃的な守備ということも含めて、2トップ2シャドーのシステムで入りました。

(2シャドーの河合)秀人とセルジ(ーニョ)のところは少し守備でストレスを感じていたかもしれないですが、佐藤が自分たちの深いエリアで人数をそろえに行ったとき、そこができ始めたのが前半の30分くらい。そこからは危険なシーンも縦パス1本くらいしかなくて、山口がやりたいサッカーはほとんど押さえられたと思います。

後半の立ち上がりに、高井(和馬)がおそらく2トップ気味になって、池上(丈二)と田中(渉)のシャドーに、佐藤謙介の1アンカーにシステムを変えてきたので、こちらとしては守備の主導権を握れたのではないかと。そこから攻撃に行くという意味でダブルボランチにして、セルジをトップ下にして、今度はスペースが空いてワイドが出やすくなるので、引っ張り合いで勝てるような形に変えました。先制しましたし、その後もチャンスがありましたが、高い位置で奪った時に勢いでありがちで、慌てて難しいプレーを選択したシーンが終盤まで何回かありました。

そこはもったいなかったですし、ノートに最初に記したのは「複数得点」。2点取らないと勝てないと思っていましたし、2点を取るチャンスがあって、それを逃したのがこういった結果になったと思います。山口のセットプレーも最初は中とボールの質が全く合っていなかったですが、あの時間帯から徐々に合い始めて、失点シーンの前のバーに当たったところで嫌な空気がありました。あのあたりをしのぎ切ってほしかったのは本音です。

――先制した後は20分近くある中で、2点目を取りに行くのか、ゲームを落ち着かせるのか。どういうふうに時間を使わせたかったかのでしょうか。

75〜80分くらいはお互いに中盤でのミスがあって、引っ掛け合いのような感じでしたが、それでも我々に分があったと思います。そこから決定的になりかけたシーンが2回くらいありましたが、フィニッシュや決め切るところまで行ければ良かったです。複数得点を取らなければ勝てないと思っていたので、「下がって守れ」ということは全くなかったですし、セットプレーが相手のストロングの一部ということも分かっていました。選手たちも感じていたかもしれないですが、最初は全く合っていなかったのに、時間とともにボールの質が良くなっていきました。入る人のタイミングというよりも、スタンディングヘッドみたいな形で失点の前に合わせられているので、そのあたりから徐々に脅威に感じていたのではないかと思います。

――失点はニアでフリックされたところからでしたが、高さを補強したかったという考えは。

(鈴木)国友と野々村を入れても、梅木(翼)のところは(前)貴之のマークだったので、そこは変わらないということで自重しました。

――下位が勝ちきれずに状況は大きく変わりませんが、残り2試合に向けての気持ちは。

(残留圏内との勝ち点差)4という意味では、ここで勝っていれば状況もモチベーションも全然違ったと思います。前節の負け方と今節の追い付かれ方という意味では、ショックも大きいだろうし、責任を十分に感じています。勝てるゲームが続いていく中で、ちょっとした歯車で勝ったり負けたりすると思いますが、今はそういうサイクルにありません。本来の自分たちのゲームパフォーマンスは見せられているとは思います。

――開始3分に榎本選手のロングスローがありましたが。

練習でもやっていましたが、自分がいつ足をつるかがわからないところもあったと思うので、投げられるうちに投げておこうという意味で開始から投げたのだと思います。こちらの指示ではないので、上がっていく選手も少しびっくりしたのではないかと。体が暖まってから出ないと、肩甲骨周りが痛んだりするので、そういう意味でもどうかと思いましたが、最初からすごい距離が出ていました。

――今季は大事なところで勝ちきれないゲームが続いています。どのように受け止めていますか?

今は失点シーンの前くらいから遡って見てみましたが、まだまだ今週に言い続けたことが浸透していなくて、CKになってしまったところはありました。そういうところは改善しなければいけないです。「やられるんじゃないか」という空気感がスタジアム全体にあって、それが案の定という形になると、ため息も大きくなりますし、「まさか」というメンタルにみんなが変わってしまうと思います。「絶対にやられない」「どんなに泥臭くてもしのぐ」というメンタルにしていかなければいけません。もっと言えば、サインプレーとかでやられたのであればフィードバックもしやすいですが、ノーマルな形でやられているので、トレーニングからやってきたことがゲームで発揮できなかったということになります。

――残り2試合の勝利へのこだわりは。

こだわってゲームはやっていますし、攻撃なカードを切る時や、システムを変えるときも含めて、自分なりに選手のパワーバランスを考えながらやってるつもりです。80メートルのロングシュートで入ったり、2点ともオウンゴールで入ったり、泥くさくてもいいので結果が出れば、チーム全体の矢印がより前に向くと思います。こういうゲームが続くと、メンタル的に厳しい状況です。10〜15試合前にこういうゲームが続かなければいけなかったというのは改めて思いますし、ホームゲームでの先制が2試合続いているにもかかわらず、(勝ち点)3が取れないという問題は引き続きあります。