【試合後コメント】名波 浩監督 第14節 いわき戦 ※無料配信
――まずは試合の総括をお願いします。
いわきはいつもゴールを意識していて、セカンドボールはもちろんですが前へ前への推進力を持っていて、技術とパワーのある両サイドバックがいるチーム。自分たちのほうが押し込まれる回数が多くなるかなと思っていました。
きょうはスタートが追い風だったので、先に点が取れればいいと思っていましたが、背後に出るボールが風に乗って、水を撒いた分スリッピーなピッチの難しさも重なりました。なかなか良い形ができなかったですが、そんなに守備で破綻するようなところもなかったのかなと思います。
(いわきの)ミドルシュートが入って相手は勢いが生まれますし、先制したゲームも非常に多いチームなので、若さゆえの自信の上塗りが芽生えて難しいゲームになると思っていました。(前半は)0-1で帰ってくれればいいと思っていたところを選手たちがゴールに向かうことを忘れずにやってくれて、リスクを負って(外山)凌が入っていって同点ゴールを決めました。いわきに感化された同点ゴールかもしれないですし、もちろんトレーニングでやってきたものが生まれたゴールかもしれないですし、非常に良い同点ゴールだったと思います。
後半の立ち上がりは追い風に乗ったいわきが出てきた中でしのいで、そこから自分たちの時間が少しできた中で逆転ゴールが生まれました。あれも同じように、(横山)歩夢に対して相手が引っ張られたところでクロス、それからセカンドボール、もちろん凌がまた中にいるという形も非常にシンプルで良かったと思いますし、ゲーム展開的にもすぐにひっくり返せたというのもチームに自信を与えたと思います。
課題となるところで、1人少ない中でというのは頭に入れていたわけではないですが、偶然にも今週は1人少ないフリーズゲームをやっていました。中の選手たちも「練習でやっていたことが」と言ってくれましたし、コーチ陣とも「今週の練習が生きたね」と共有しました。セカンドボールを拾う選手たちが後ろから湧き出てくるようにやってくるというところで、対戦相手のモデルとして1人多く入れたトレーニングだったのですが、それが功を奏したと思います。
試合が終わって、パウリーニョがみんなの前で「ああいうゲームをやっていけば」ということを言ってくれました。「山雅魂再び」と言えるような魂の入ったゲームで、きょう見に来ていただいた方やテレビで見た方も思ってくれたと思います。反町イズムというのはこういうものだと思うので、そこはしっかりと見習ってやっていきたいです。
見習うという意味では、いわきのゴールに向かっていく姿勢というのもしっかりと見習おうと。我々だって2人ではなくて3人、3人ではなくて5人、5人ではなくて6人くらい入れるのではないかというシーンはたくさんあると思います。ゴールに向かっていく回数を増やすという意味も含めて、いわきのサッカーを見習っていこうと選手たちに伝えました。
――前節・愛媛戦に続いて先制されました。愛媛戦はメンタル的に下がってしまった部分を反省していましたが、そのときとの違いは?
パウリーニョがいることによって鼓舞する力というのは生まれると思いますし、選手もそれに連動したと思います。0-1になってから我々がたくさんチャンスを作ったかといえばそうでもなかったと思いますが、前への推進力をどうにか持っていこうという気はありました。最終的にそれが同点ゴールにつながったので、時間帯といい、自分たちに勇気を与えるタイミングといい、同点ゴールが価値のあるものだったと思います。
――横山選手の左サイドの裏へのランが2点につながりました。自陣でのサイドチェンジも含めて、スペースを使うことが意図的にできていたのでは?
1カ月後にまた対戦するので細かいことは言えないですが、横山のスピードと(小松)蓮の人を引っ張れるボックス内でのポストプレーは生かしたいと思っていました。
――2得点を決めた外山選手への評価はいかがですか?
こういう相手に対しては守備のブラインドのケアを徹底してやらないといけないですし、嵯峨(理久)は技術とパワーとスピードと、いろいろなものを兼ね備えてJ3では抜けた選手だと思います。そこへの対峙もあって、非常に難しい仕事だったと思いますが、最終的に仕留めるところに彼がいたというのが、回数自体はそこまで多くなくても我々が攻撃に比重を置いたときに良い形で終われていた大きな要因だと思います。あとは自分がゴールに絡むというメンタリティ。彼は特にクロスにこだわりがありましたが、点を取るところに顔を出せるようになったので、そういった部分も大きく成長しているのではないかと思います。
――2位・いわきとの前半戦のビッグマッチに勝利しました。山雅魂を見せて、勝負の夏場を見据えて勝てたというのは、どんな意味を持ちますか?
相手はそういうふうにして勝ってきたチームですし、走ったり球際で戦ったりして圧倒してきたチームなので、そこに対してのピッチの中での戦い方とすれば、もちろん100点満点ではないですが合格点を与えても良いのかなと。ただ、すぐにまた対戦しないといけないですし、相手は一番点を取っている選手が出ていなかったりしたので、そういったところでまたパワーバランスが崩れるかもしれません。しっかりと身を引き締めたいですし、そこまでの残り3つで連勝した中で、またいわき戦を迎えられれば最高だと思います。
――一人少ない状況になって選手たちに伝えた指示は?
外からラフに入ってくる長いボールに対して、ボックスの中で人数を揃えるというのは試合前から言っていたので、しっかりとできていたのかなと。問題は(安東)輝がいなくなってから、締めの状況をしっかりとしないといけない中で、あえて歩夢と菊井を縦に並べて、その後は(榎本)樹と住田を縦に並べたことによって、出し入れをあまりさせなかった。自分たちの最終ラインが釣り出されるようなことをさせなかったのが、まず一つ踏ん張れたポイントだと思います。
――いわきには昨季まで山雅に在籍していた村主博正監督や星キョーワァン選手がいました。
ホワイトボードにも「村主とキョーワァンに自分たちが成長した姿を見せよう」と書いていましたし、結果として示せたのは我々としては良かったです。今度の対戦では相手がそういう気持ちをさらに強く持ってくると思うので、それを受け止めるのではなくて、自分たちは常に挑戦者ということを忘れずにやっていきたいと思います。あと、大倉さん(大倉智社長)は磐田の時の先輩なので、いいところを見せられて良かったです。
――次節に向けて意気込みを。
いわきも鹿児島もそうですし、もちろん今勝ち続けている富山もそうですし、ビッグウェーブがないと昇格というのは夢物語に終わってしまう思うので、今こそビッグウェーブを、と。難しい相手が続く中でも連勝するというのを念頭に置いてやっていきたいです。あとは連敗しなかったのが本当に良かったと思います。