【試合後コメント】名波 浩監督 第15節 八戸戦 ※無料配信

――まずは試合の総括をお願いします。

自分たちが何度もシステムを替えるということはうまくいっていない証拠であって、替えたタイミングでリズムができたり、得点も入ったりして良い面もありました。相手の背後の意識が非常に強くて我々の左サイドの後ろをだいぶ有効に使われたので、そのあたりは次節以降に改善しないといけないと思います。

(試合に際しては)アウェイの鳥取戦を引き合いに出しました。ゲーム強度が低かったですし、モチベーションも低かったと。八戸は監督が交代して、選手もギラギラ感が出ているでしょうし、チームとしても戦術が多少変わってモチベーションが上向きになっているところで、自分たちがまず気持ちの面で負けないこと。先に点を取って自信の上積みをしっかりとすること。それがこのゲームのキーだったと思います。

ゲーム中に一番大きなキーになったのはセカンドボール。40%、30%くらいはたまたまこぼれたのが選手の前に来ることが多くて、そのこぼれた先で前にグッと推進力を持たれるようなシーンが前後半ともに何度かありました。そこは一番改善しなければいけなかったですし、結果的に苦しんだ原因だと思います。最初はワンアンカーからダブルボランチにして少し落ち着きましたが、奪った後の質の中では斜めのボールをサイドチェンジも含めてテーマとしていました。

それも時間とともに本数が減ったりして、うまくいかないという感じをピッチの選手たちが少しずつ抱えているのかなという中で、4-4-2に変えました。(浜崎)拓磨が入ることによって少しショートパスの出し入れがあって、食い付かせてボールの距離を変えるというシーンが何度かありました。ゴールシーンもそういうところから生まれたと思いますし、逆サイドのウイングバックではなくてサイドバックの下川が飛び込んだというのも練習でやっていることです。当たり損ねのシュートはラッキーでしたし、芯を捉えていたらGKにファインセーブされていたのではないかと思います。

ゲームの終わらせ方はいつも通りに橋内が入って5バック気味でいきましたが、CKはもちろんロングスローが脅威だったと思います。相手が高い選手を入れてきたので、非常に難しいセットプレーの対応になったと思いますが、しぶとくやってくれたのではないかと思います。

数字的な話をすると、昨季のJ3の最多勝チームが3位の宮崎で16勝。ということはハーフシーズンで8勝以上ということを考えると、9勝は決して悪い数字ではないです。ましてや前半戦はあと2試合あるので、最低でも半分終わるまでに2ケタに数字を伸ばしたいです。きょうも松本からサポーターが約400人も来てくださったので、勝って気持ちよく帰ることができて良かったと思います。

――下川選手が今季初ゴールを決めて、チームを勝利に導いたことについては。

3シーズンぶりくらいのゴールになるという話もしていましたし、シュートエリアに入ってもシュートで終わるというのがなかなかなかった中で、ああやってブラインドでしっかりと飛び込んでくれたので、それは結果として素晴らしいことだと思います。点を取った後はほぼノーミスの立ち位置とボールチャレンジのタイミングだったと思うので、苦言を言うのであれば0分からスタートしてからそれをやり切るべきキャリアと年齢だと思いますし、それくらいの期待値はこちらも持っています。まだまだ個人戦術として改善するところはたくさんあると思います。

――苦しい展開の中でも1点を与えず、1点を取り切ったことについては。

J3は今日開催のゲームがほとんど終わっていたので、松本には負けてほしいと思っていたと思います。そういう中で結果を出す難しさは毎試合感じていますが、しぶとさの中にも偶発的な感じではなくて、トレーニングを意識したシュートシーンやゴールシーンが生まれているのは、我々にとって非常にポジティブだと思います。榎本の(ペナルティー)ボックス内でのヘディングシュートも彼の一番ストロングだと思いますが、佐藤があれだけ特徴を生かしたラストパスを出したというのも、練習から口酸っぱく言っていることです。そういう積み重ねがゴールにつながって、しぶとさや粘り強さとか、開幕近辺からずっと言っていた「ぬるっと勝ち点を積み上げている」というところにつながっていると思います。ただきょうが最終節だとしたら、私たちは何も得られない順位にいるので、まだまだ上がいるということでもっと努力しなければいけないです。

――特に前半はサイドチェンジを多用して、相手を押し切りたかったように思います。そこは攻撃の一つの形として、ストロングにしていきたい部分でしょうか?

一つはパウリーニョがダブルボランチだろうがアンカーだろうが、少し後ろ目に最終ラインのサポートを攻守ともにやっています。住田はダブルボランチだろうがアンカーだろうが、顔出しでもう少し前にいれれば、菊井ももう少し前にサポートできたり、ボールサイドに多く顔を出せたりして、彼のアイデアで同サイドを崩したり、さらに逆サイドというのがあったと思います。サイドチェンジしてからは少し力ずくで、ラフなアーリークロスでみすみすチャンスを潰してしまうシーンがありました。そこは終わった後にも少し言いましたが、もったいないところがたくさんあったと思います。

――セカンドボールは試合によって拾えていない部分もありますが、そのアベレージを上げるための取り組みは?

一番の課題は2トップの戻るエリア。2人が並行に並んで、2センターバックに対して2対2で守っているようで、「俺はこの選手のマークだ」という意識しかないです。それによって菊井も含めて、ダブルボランチも含めて2センターバックを4枚で管理しようということは口酸っぱく言っていて、今週のトレーニングでもあの2トップはほとんど変えていませんでした。それがコミュニケーションを取れずに並行でずっといるということが罪。あそこはサボっていたわけではなくて意識がなかったですし、お互いのコミュニケーションがなかった。一番前の立ち位置というのは求めていかないといけないと思います。

――アウェイで久々の勝利を飾れたことについては。

アウェイゲームはうまくいかないゲームが続いていました。最初にポンポンと勝っていたのでプレッシャーはないのかなと思っていましたが、ホームチームがしっかりと分析して、強気に前の選択を多くして戦われると、前の愛媛戦や鳥取戦のようになってしまいます。そこをしっかりと受けずに、決して強度の低くはない内容を出せたと思います。

ただ、セカンドボールが拾えないという意味では、体には触れていても相手にこぼれている回数が多い。30〜40%は相手の前にこぼれてしまって、推進力を持たれてしまう。そこはより深くとか、より予測の速さというのは求めていかないといけないです。それはボランチに限らずチーム全体としてそういう意識を最後まで出さないと、鹿児島、いわき、富山、藤枝、福島しかり、そういった順位の近い相手に対してセカンドボールを拾われた圧力で圧倒されてしまうと思います。