【試合後コメント】名波 浩監督 第19節 八戸戦 ※無料配信

――まずは試合の総括をお願いします。

前半は強い追い風を受けて、(ペナルティ)ボックス近くに起点を作る、もしくはクロスのタイミングから圧倒したかったですが、なかなかそういう機会が生まれませんでした。途中に下川や宮部からタイミングの良いクロスはありましたが、あのあたりが1本合っていれば…というところもありますし、相手に脅威を与えるという意味ではセカンドボールを拾って、そこから厚みのある攻撃を45分続けたかったと思います。単発感がゲームとして構築されてしまったのは、相手が意図的に時間を使ったプレーにピッチ内で抗議することもなく、レフェリーも全体的に流す傾向があったので、その流れに乗ってしまいました。我々としたらゲームスピードが格段と落ちてしまって、強度のあるゲームというのを90分披露することができなかったのが最大の敗因だと思います。ましてや先に点を取られればそういう展開になるのは当たり前だと思うので、失点も痛かったです。(横山)歩夢を入れてからも(八戸が)だいぶ後ろに下がっていて、背後に出ていく回数が3回。(榎本)樹に関しては1回しかなかったので、そのあたりが相手の裏を取ることができなかった原因だと思います。

選手たちに最後に言ったのは、結果は仕方がないということ。ゲームの中で修正する能力、セカンドボールを拾ってもう一回厚みのある攻撃という意味では、テンポが上がりませんでした。止めて、見直して、出す、の連続で、ワンタッチパスのトライアングルやワンタッチのクサビが入ってくると、相手がもう少し自分たちのお尻を追いかけるようなシーンが生まれると思いますが、それがなかったです。ユニット同士のスピード感もそうですし、シンキングスピードも含めてですが、勝手な判断が多かったかなと。もう少し慌てずにボールを動かしたり、見方が上がってくるのを待ったりするシーンが増えれば、もっとセカンドボールを拾えたと思いますと、自滅感がこれだけあるようなゲームにはならなかったと思います。

8月に入ってからアウェイ3連戦で非常に厳しい相手が続くので、暑さも含めて覚悟しなければいけません。勝って首位になって、モチベーションを上げていわきに乗り込みたかったというのが本音です。上に3つもいるので、追い上げていくしかないという気持ちです。

――新型コロナの影響でいわき戦が延期になって、練習ができない期間もありました。ゲーム勘やコンディション、起用する選手の選択肢など、多くの制約があった中でのゲームだったと思います。そのあたりはどう感じていますか?

逆にピンチをチャンスに変えようというのは、当たり前のようにサポーターやクラブ関係者も思っていたと思います。そこを前面に押し出して今週はチームを作ってきたつもりですし、メンバーに関しては自信満々で送り出していて、ほぼ迷うことなく組んだメンバーです。コロナに関しては先週に立ち上げる前の休みから1人、2人、3人と出て、毎朝ビクビクしながらいつも電話の音を聞いて、ものすごくストレスの溜まる1週間でした。活動停止の期間も誰と接することもできない中で、選手たちも相当ストレスを感じていたのではないかと思います。きのうのゲームで我々のように10人以上感染者が出ているところが軒並み結果が出ませんでした。水戸以外は勝ち点3を取ったところが一つもなかったですし、そういうモチベーションもこのゲームに対してあったのではないかと思います。

――どのチームもコロナの影響でリセットが迫られています。残り試合でいかに早く4連勝したときのような波に乗せるかという意味では、どんなことがポイントになると思いますか?

一つひとつ研ぎ澄まさなければいけないと思います。攻撃はこれ、守備はこれというふうに分割して考えるのではなく、攻守一体化のチームをずっと作り上げてきました。ましてや誰一人欠けることなく、全員が戦力だと言ってずっとやってきているので、しっかりと前を向かせたいと思います。紙一重のところで結果が出る、もしくは結果が出ないというところになってきますし、きょうの失点シーンも本当はマイボールのゴールキックだったと思います。そういう外的要因も含めて研ぎ澄まさなくてはいけません。

――神田選手、田中選手、小松選手とアカデミー出身の3人がスタメンに名を連ねました。その意義はどう感じていますか?

生え抜きベースというのはクラブ力を高めていくと思います。アカデミー育ちはもちろんそうですし、高卒や大卒で入ってくる選手も、松本山雅というクラブのユニフォームに初めて袖を通すという意味では生え抜きと考えて良いと思います。今日出した16人の多くがそういう生え抜きの立場でプレーしたと思うので、そういうところはステータスという意味でも底上げを含めてやっていきたいです。ただ、上のカテゴリーに行ったりもっと高みを目指すという意味では、望むべき選手を獲得しないといけないと思いますし、そういった競争をどんどん生み出さなければいけないです。課題は山積かもしれないですが、そういう意味の方向性としては間違っていないと信じてやっています。

――ハーフタイムコメントで「ワンタッチを増やす」というところがありました。結果的にはワンタッチが増えず、なかなかスイッチが入らなかったように思います。

単純にサッカーの熱量だけで見ると、ゲーム強度、ゲームスピードが上がらなかったのは自分たちが相手に合わせてしまったのが最大の原因だと思います。前半からファーストコントロールがうまくいって、少し余裕を持った中で後ろからつつかれてというシーンが1回や2回ではなかったです。ハーフタイムも試合中も、最後に稲福を送り出すときにもすべて伝えてはいましたが、そのシーンが7、8回。あそこでロストしたら、もしくは相手に触られたらスピードが上がらないというのは当たり前の光景だったと思います。

――活動停止明けからきょうのゲームまでフォーカスしてきた部分は?

泥くさく勝つことはもちろんですし、いわき戦、鹿児島戦に向けてこの試合はものすごく大事でした。5連勝、ホーム6連勝がかかっているという状況を迎えられた選手は素晴らしいと思いますし、そういう雰囲気をサポーターが作り出してくれて、ゴール裏の横断幕も本当に勇気をくれたと思います。その期待に応えたかったというのが本音です。

――チームとして底力が試された中で、今できるベストを尽くせたと感じますか?

現状のベストは尽くしたと思いますが、ゲーム強度が上がらなかったという反省点は残り半年必ず付きまとうと思います。ここでぬるく入るといわき、鹿児島にコテンパンにやられると思いますし、もう一回締め直さないといけないというのが率直な感想です。コロナの影響もあって練習試合が2つ飛んだので、普段ゲームに絡めなかった選手がゲーム勘を取り戻すにも時間がかかる、というのも現実にはあると思います。