【試合後コメント】名波 浩監督 第21節 北九州戦 ※無料配信

――まずは試合の総括をお願いします。

戦前のホワイトボードに書いたのが、言葉を強く「崩壊した守備を立て直そう」。自分たちの守備を構築しようと思っていました。

3バックとウイングバックを含めて前半の立ち上がり30分くらいは我々の左サイドで数的優位を作られて、何度か危険なエリアにボールを運ばれて、ボックス脇まで行くことが何度もありました。最後のところはギリギリ防いだり、シュートブロックやビクトルのファインセーブもありましたが、そこだけ重くなっていると思っていました。

30分過ぎからはスライドも縦ズレもスムーズにできるようになったのと、大野が早めにカバーリングという意識が出たので、後半の70分でも80分でも85分でも、3回くらいあったスライドの速さ、ラインコントロールの速さというところで相手にとっていやらしい守備が構築できたと思います。

守備では球際、対人を非常に強く求めていました。我々の覚悟をこのゲームで見せようと。相手も5人替えてきて、このゲームに覚悟を示した中で、立ち上がりは五分五分のシーソーゲームになるかと思っていましたが、最後は自分たちも十分にチャンスを作れたと思います。

特に2トップの連動が今季一番…というよりも、私がここ松本山雅に来てから2トップでやってきた中で一番良かったと思います。お互いにコミュニケーションもよく取れていましたし、付かず離れずの距離感、それからノーアングルの立ち位置もなくて、小気味よくカウンターを発動できました。特に前半は菊井、佐藤、プラスアルファでウイングバックがゴール前まで絡んでいって、迫力のある攻撃ができたと思います。

いわきが45、鹿児島が44という勝ち点の中で、もしも次節や最終節にそのクラブとの直接対決があったら、引き分けた時点で我々はノーチャンスになるということを最後に選手に伝えました。目的意識を共有している中でサッカーのことを考えながら、味方のことを思いながら、しっかりとリスペクトしながらこういうゲームを続けていけば、サポーターはもっと入ってくれると思いますし、もっと拍手が大きいと思いますし、もっと我々の背中を押してくれるのではないかということで締めました。

――野々村選手は先制点の起点になって、それ以外の空中戦でもほぼ勝利していました。パスをつけるところも良かったと思いますが、評価はいかがですか?

3、4週間前からずっと良いのはわかっていました。ゲーム感覚も含めて、どこで使おうかといった中で、(第18節)いわき戦で1回完封ゲームをしっかりと披露してくれました。ただ鹿児島戦は4バックでスタートしようと決めていたのでチャンスはなかったですが、それでもきょうの彼のパフォーマンスを見たら、もしも次の讃岐戦で4バックを考えていても3バックでやりたくなるようなパフォーマンスだったと思います。攻撃に入るスイッチのパスもそうですし、空中戦もそうですし、ゴールに繋がったアシストもそうですが、躍動していました。おそらくファーストタッチだったと思いますが、足元がおぼつかなかったシーンがありましたが、あれでリラックスしなければと自覚したのではないかと。その通りに90分躍動してくれたと思います。

――最後の交代は橋内選手ではなく、FWを2枚替えました。その狙いはいかがですか?

菊井と(横山)歩夢が疲れていたので、どこかで替えたいと思っている中で、トップ下はカズ(佐藤)をイメージしていました。パウリーニョがあまり動けなくなってしまった時間だったので、そこに稲福を入れてダブルボランチにしたら、もう(外山)凌をトップ下にするしかないと。そういった中で小松、田中想来が躍動してくれたと思いますし、凌も振られる時間帯が長かったですが、十分に走りきってくれたと思います。

――2トップのパフォーマンスに呼応するように、佐藤選手や外山選手が何度も長い距離を走っていました。欲を言えばもう1人、2人くらい厚みがあるとさらに迫力を持てると感じましたが、いかがですか?

3+1というのはクロス練習もしくはフォーメーション練習でもイメージしてきました。暑さというところがだいぶ引っかかる点ではありましたが、下川も点に絡みたいという意識が出たり、野々村がヘディングで弾いた後にそのまま上がっていったり。常田もクロスにそのまま入っていったシーンがあったりしました。ボードに大きく書いたのは、3バックやウイングバックの攻撃参加は絶対に迷わないこと。それが一番いわきや鹿児島より我々が劣っている点だと思います。J3の中で一番練習量が多いと自負している中では、この暑さでも行き切ってほしいというのが今日は出たと思います。

――アウェイ3連戦が終わって、次節はようやくホームとなります。そこに対する思いはいかがですか?

暑さも含めてこの3連戦は非常に難しかったと思います。本来ならこの1勝1分1敗は良しとしなければいけないと思いますが、直接対決が2度あったので、シックスポイントゲームで(勝ち点)3を与えてしまったことは今後に十分響いてくると思います。我々は取り返さないといけない中で、次のホームゲームで確実に取れるようなゲームをしたいですし、確実という意味ではもっと積極的に(ペナルティ)ボックス内やボックス近くで決定的な仕事、もしくはシュートエリアでチャンスを多く作り出せるようにやっていきたいです。