【試合後コメント】名波 浩監督 第24節 福島戦 ※無料配信

――まずは試合の総括をお願いします。

前回の対戦と似たような感じになったと思います。最初から崩して、見えないところから出てきた選手が決める。それから20分くらいまで自分たちのリズムができていましたが、70分間相手にボールを握られてしまいました。

その中でポイントが3つあったと思います。1つ目はPKのシーン。もう1つは自分たちがセンターバック間でミスをして高橋(潤哉)がビクトルと1対1になって左足で外したシーン。それから最後のパワープレーの時間がアディショナルタイム6分を含めて12〜3分あったと思いますが、クロス対応が多くなってしまったという部分。

このポイント3つのうち、ビクトルの貢献度が非常に高かったなと。PKストップはもちろん彼の予測、反射神経によると思いますが、それ以上にクロス対応やシュート反応含めてきょうは彼がよかったです。ちょうど家族がスペインから来日して気分的にも乗っていたところもあったと思います。この完封劇を作ってくれた本当の立役者だと思います。

終わった後に服部(年宏)監督と少し話した時に「最終ラインが高かったので背後を狙う回数を増やした」と言ってた通り、背後の動き出しに対して、リアクションとは言わないまでも少しタイミングが遅く、ついていく最終ラインの姿が後半特にあり、福島の出し手の選手のボールの質が良くて、動き出しの質はもともとよかったので何度も何度もそこで深みを取られてゴールに直結するプレー、もしくは(ペナルティ)ボックス内のポイント作りをやられてしまいました。逆に我々があれをやらないといけないし、回数を増やして最後外山が左ポストに当てたように、時間を作りながら相手を押し込んでワイドからワイドへ…というのが我々の本来の姿。その回数も時間が経つにつれて激減してしまったのが、このゲームの苦しんだ原因です。

ともあれ、皆さんもわかっている通り、このゲームの重要性は大きかったです。10代とはいえエースが抜けて、それからコロナで苦しんだ7月の終わりから8月序盤の姿を払拭する4連勝になったと思います。明日ある上位2クラブ、いわきと鹿児島に対しても我々の結果はプレッシャーになってくれると思います。最後にまた手放しで喜べない、外山、常田が4回(目の警告を)もらってしまったので、またやりくりが大変ですが、元気な選手で5連勝めがけてやっていきたいです。

きょうの合言葉としては、「5時間半の行き帰りを笑って帰るかそうじゃないかは自分たち次第だ」というところでいくと笑って帰れるので、その道中も楽しんでまた来週に向けて準備をしていきたいと思います。

――福島がボールを握るのは想定されていたと思いますが、中を締め切れていなかったシーンもかなりあったと思いますし、奪った後のボールのパスの質で自分たちの時間を作るのも不十分だったと感じました。

全くその通りです。讃岐戦で雷を落とした時よりは相手のテンポが早くて、そのテンポに対して自分たちの守備の捕まえや奪えそうなエリア決めを立ち上がり20分以外はできなくなってきていました。スライドのところで間に合っていないところが多々あったと思うので改善の余地があります。あとはちょっとなすりつけ合いをピッチの中でしていたので、それも反省材料。前向きに捉えるとそこを課題として、また次の(次節のホーム)鳥取戦はアウェイの時に少しラスト30分ボール回されたので、そういう状況にならないように積極的に参加できればいいと思います。

――外山選手はきょう不在の横山選手を除けばチームのトップスコアラーです。チームが苦しい状況の時に決めてくれたというのは、彼の評価はいかがですか?

開幕戦からレギュラー候補だったとはいえ、途中交代で決勝ゴールを決めてくれた段階の讃岐から考えると、コンディションが数倍〜数十倍よくなっています。プレー選択の中で、ゴールに直結するイメージを常に持っているので、あそこまで入っていけます。後半の足もそうですが、しっかりと走り切れる。彼がいなくなる次節はちょっと苦しいかなと思います。

――奪った後の選択で相手のプレッシャーも早い中で縦パス1本の選択が多かったですが、それは相手の特徴を踏まえた監督の指示でしょうか?

その通りで、縦に付けられる瞬間、もしく早いボールを出せる瞬間は見逃すなと指示しました。五分五分のボールの背後の部分で、足元でしっかりポストプレー作って欲しいと。そのボールの質はしっかり考えようと伝えました。

それから試合前ハーフタイム、試合後も全部同じことを言いましたが、単発、淡白だと。そういうシーンが多かったのは、前パスのミスや前の選手のコントロールミス、判断のなかでボールとの距離がありすぎて2人目3人目が関われず、そこで単発感が出ました。ロストして淡白感が出たシーンが増えてしまいました。そういうところを反省しないといけません。相手のパスの距離感が近いので、そこでロストしたら相手も近くにいるわけで、そこをはがすという意味ではアイデアとしては悪くなかったし、前半の15分くらいの高い位置で奪ってからフィニッシュエリアまで運んだ姿もありました。90分ではないが、あれを40%でも我々の時間の中で作れていれば、もう少し福島も後ろに重たくなったのではないかと思います。