【試合後コメント】名波 浩監督 第25節 鳥取戦 ※無料配信

――まずは試合の総括をお願いします。

まずはサポーターが掲げてくれたゴール裏のキャッチーな「残り10戦 勝ち点30を共に掴み取ろう」というフレーズをそのままホワイトボードに書かせていただいて、選手たちとしっかりと共有しました。決して夢物語ではなくて、自分たちが全部勝てばオートマチックに昇格できるというモチベーションのもと、気持ちが入ったのではないかと思います。

ここから残りゲームの中では、きょうももしかしたらケガをしたかもしれない人間がいます。出場停止なりゲーム中の体調なりケガ人なりいろいろなイレギュラーが起きるかもしれないですが、総合力という意味で常田、外山、横山がいない中でしっかりと3ポイントを取れた。それから先制して主導権を握れた。その展開は選手たちをしっかりと褒めたいですし、また次節以降に繋がるのではないかと思います。

内容としては立ち上がりからセカンドボールを拾えて、前体重になって外がシンプル、中の動き出しもシンプルという回数が非常にありました。厚みもありましたし、相手のポゼッションにしてもどんどん後ろに下げさせるような、やり直させるようなシーンが多くて、自分たちの守備のコンセプトを徹底できていたと思います。

石川(大地)のボレーのロングシュートだけ肝を冷やしましたし、あれが入っていれば1-1でしたが、2点目が取れたタイミングも良かったですし、できれば野々村のセットプレーで3点目が取れればこのゲームは終わっていたのではないかと思います。

オウンゴールは事故のような失点だったので仕方ないとして、後半はもう少し先ほど言った厚み、ボールを奪った後の質が上がってこないと決定的なシーンは作れません。くさびを入れて(小松)蓮が落として菊井のミドルシュートを打ったようないい崩しもありました。さらに相手を脅かすような回数を増やすことと、(ペナルティ)ボックス脇に2トップが流れたときのウイングバックもしくは菊井のサポートの速さ、そこから相手が戻る前に攻め切ってしまう崩しの迫力がもっとついてこないと3点目は取れないかなと。そこはまた課題として、残り9試合を戦いたいと思います。

5連勝というのはきょうの18人のメンバーの中で、橋内と村山くらいしかしたことがないらしく、現役のキャリアの中でもなかなかできない数字だと思いますし、5連勝することによってさらに自信がついたと思います。ここからまた連勝を繋げていって、上位陣、それから我々と同じく彼らに食らいついている上位陣に対してプレッシャーを与えたいと思います。気持ちよく明日のファン感謝デーを迎えられることに少し安堵しています。

――小松選手は先制点を決めて、2点目も自身のプレスバックで演出しました。彼は試合に出られない時期もありましたが、どう評価していますか?

非常によかったと思いますし、80分前後にボールデッドしたときにストレッチをしましたが、それさえしなければ恐らく最後まで出ていたと思います。プレスバック、守備の質というのはセンターフォワードなので二の次、三の次になると思いますが、それでもチームを助けることは最優先にできていると思います。

(横山)歩夢がいない中で、自分とルカオのどちらかが外されるというプレッシャーがあって、自分がベンチ外のときにしっかりと謙虚に学ぶ心を持ってトレーニングをして、リーグ戦の試合も上から見ていたと思います。それがいまピッチの中で躍動している要因だと思いますし、(小松)蓮に限らずスタートから出た2トップが2人とも点を取ったのは初だと思うので、そこが一番喜ばしいことかなと。私自身もアタッカーの居残り練習に付き合っているので、そういう成果も出たと思います。(1点目の)シモ(下川)のクロスの質も含めて、練習の成果が出ていると思います。

――オウンゴールの時間が早かったことによって、そこからプレーの質や強度が下がった印象もありました。

スタッフと話した中では70分くらいまではゲーム強度があったと思います。特に両アウトサイドが前に出られないとか、ロックをかけられてピン留め状態から縦ズレが難しく、特に(中山)陸のサイドは広大に人数をかけられて使われた印象があります。宮部を入れて陸をトップ下に入れるファーストチョイスでしたが、橋内が痛んだことによってそのプランが崩れたのも一つの原因です。

あとはゲーム強度が落ちたところでいうと、アタッカーが出ていくときに菊井+2トップしかいないとか、ウイングバック+2トップしかいないというシーンがあって、もう少し3バックのワイドだったりボランチの片割れが前サポートに加担できれば、もっと厚みが生まれたと思います。最後のほうは石川(大地)、田村(亮介)あたりがそこまで戻らなくてもなんとかなる形になってしまいました。このままゲームを終わらせようという時間になるまでの攻撃の形や回数は課題だと思います。

――前半は守備の出足が非常によく、そこから主導権を握れたような印象がありました。鳥取のパフォーマンスもあると思いますが、前半に主導権を握れた要因は?

(鳥取は)前々泊とはいえ8時間バスで移動して、蓄積疲労を感じる前半でした。出足、球際で我々が圧倒できたというよりも、鳥取が今までのゲームより少し落ちていたというのは一つあります。ただ前節に福島とやれて、そこで700本以上テンポよくボールを回されて、なかなか取りどころを見つけられずに自分たちが中締めして危険なエリアを消すサッカーに終始した中では、(きょうは)ボールにチャレンジするが何回かあって、取れないにしてもボールを触っているようなプレスアプローチが何度もありました。カズ(佐藤)、パウリーニョ、菊井、2トップ…。最後の下川の前へのインターセプトも含めて選択できていたのではないかと。それは今後も継続したいですし、福島や藤枝のようにたくさんボールを回すチームでも、ここがチャンスだとか、一か八かも含めてかもしれないですが、取れると思ったときにアクションを起こすことは今の自分たちにとって大切なことだと思います。

――中山選手は加入後初先発で右ウイングバックを務めました。起用の意図と評価を教えてください。

前所属の甲府であのポジションをやっていたというのが決断の理由ですし、ほぼほぼロストがなくて前選択も非常に多かったです。シュートエリアにもインサイドに顔を出して入っている。そこは戦前に言ったことや今週トレーニングしたことを彼自身がしっかりと受け止めて、あのパーソナリティなので謙虚に愚直にやってくれたと思います。終わったあとすぐ本人にも言いましたが、70分過ぎにバテてしまって、少しブラインドの対応が甘くなりました。そのあたりは今後の課題ですし、ゲームコンディションという意味では出続けている選手ではなかったので、例えラスト5分だろうが頭から出ようがスッとゲームに入れるように準備してほしいです。きょうのゲームの出来は非常に良かったと思います。