【試合後コメント】名波 浩監督 第32節 富山戦 ※無料配信

――まずは試合の総括をお願いします。

まず対戦相手の富山が連敗中ということで、1点目のスーパーFKと2点目のヘディングシュートがチームに勇気と余裕を与えたことを顕著に表すような前半の内容だったと思います。プレッシャーも非常に連動していましたし、セカンドボールを拾えそうなときも相手にポロッとこぼれるような、ラフなクリアも味方に繋がるような、とにかく90%以上富山がゲームを支配したような展開になってしまいました。裏を返せば不必要な自陣でのロスト、もしくは不必要なファウルで与えてしまったFKなので、そこはもったいなかったと思います。

後半は全く動きがなかった前線をフレキシブルに、モビリティを持たせるためにルカオを入れて、それから榎本を入れたときくらいから自分たちの体重が少し前になったと思いますし、相手の前線の脅威というのを十分に感じながらビルドアップできたと思います。もう一回原点に立ち返ると、自分たちの良さというのは600本、700本パスを繋ぐサッカーではありません。前の選手の動き出し、それからスピード、パワーを生かさない手はないというふうに年間やってきて、前半はそれが使えなかった。使わせてもらえなかったのではなくて、動きがなかったので使えなかったというところが全てだったと思います。

ゲームを終わらせてしまったのは3点目のゴールかもしれないですが、0-4からよく3点を返したと思います。2,000人以上来ていただいたサポーターに対して申し訳ない気持ちがありますが、背中を押してくれて3点返せたと思うので、これを次に繋げたいです。幸い藤枝と鹿児島が負けているので、まだ我々にはチャンスがあるというふうに前向きにやっていきたいです。

数字上の話ですが、今の自分たちの課題はここ7試合で1試合しか先制していないところが大きな要素だと思います。何度も言っていますがJ3はメンタルのリーグなので、先制してメンタル的なアドバンテージを持った状況で残り2試合は戦いたいと思います。

――前半はボールの取りどころが定まらなかった印象がありますが、狙いと実際についてはどう捉えていますか?

アルトゥールシルバと安藤(由翔)で2トップでのスタートだったと思いますが、ほとんど2トップならずにどちらかが1人落ちてくるような、自由にファジーなところでボールを受けるようなくさび、ポイント作りをうまくやられてしまいました。3枚(3バック)の特に常田と篠原のところがインサイドに少し重くなってしまったところが一つ。それから吉原(翼)と松岡(大智)のところでピン留めしてくるのは戦前の予想通りでしたが、思いのほか彼らに入るボールのタイミングが良くて、もしくは背後に出ていかれるようなタイミングも受け手と出し手のイメージが共有できていて、そこでリアクションになって相手のお尻を追いかけるシーンがたくさん生まれたと思います。小田切(道治)監督になってから3連勝でスタートしましたが、ゲームの入りから前半の終わらせ方まではベストゲームではないかと思います。

――以前から仰っていたトーナメント戦という意味では敗退しましたが、藤枝と鹿児島が負けたことによって敗者復活戦とも捉えられると思います。そこに向けてはいかがですか?

その通りだと思います。残り2試合でまた自分たちがチャンスを得たというのは、山雅に関わる全ての人、後押ししてくれる全ての人にとって希望だと思います。その希望の灯というのをさらに燃やせるように来週頭からまたやりたいですし、選手たちに言ったのはしっかりと個別で分析しようということ。全体の分析は私がして映像提供していますが、個別でしっかりと自己分析だけして、来週頭には戦える準備をして、笑顔でまたピッチに戻ってくるように伝えました。

――失点シーンは不用意なロストやファウルが起点となりましたが、その要因はどう考えていますか?

落ち着いたボールワークというのがここ何試合かのテーマだったと思いますが、昇格のプレッシャー、対戦相手の分析なども含めると、当たり前のようにボールを動かせて当たり前のように崩せるような形はもう皆無に近いです。そのあたりは自分たちがもう少しトレーニングの中で突き詰めないといけないと思いますし、不用意なファウルはロストしてしまった選手がやることが大多数だと、それが悪い方に出てしまったと。先ほども言いましたが、あの1、2点目は相当な勇気と余裕を与えてしまったと思います。

――榎本選手が2点に絡んだことはチームにとっても好材料ではないでしょうか?

ルカオにしてもPJ(田中パウロ)にしてもゴールに向かってくれたと思いますし、(得点が)ゼロで終わるとそうでないのとでは大きな違いがあります。3点目を返してからまた残り時間もあったので、そのあたりも含めて非常に前体重でやってくれたのではないかと思います。